日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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49 巻, 1 号
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理事長挨拶
巻頭言
研究論叢
  • 柿原 浩明, 水野 成人
    2012 年 49 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    臨床能力の高い薬剤師を育てるために,薬学部の薬剤師教育課程は6年制になった。薬学部の新設により薬剤師の過剰が懸念される一方,医師・看護師不足は解決の見通しがない。薬剤師は,病棟薬剤業務へ進出するのが自然である。病棟の薬剤業務を薬剤師に任せることができれば,看護師は固有業務に専念できる。そのためには,薬剤師に注射実施を可能にさせることと,診療報酬上,看護基準と同様に薬剤師をカウントすることが必要と考えた。看護業務に占める薬剤業務の割合等について調査した。看護業務量の約3割が薬剤業務で,看護師の多くは薬剤師の常駐を希望していた。薬剤師の注射について,薬剤師非常駐病棟の看護師は49%の賛成であったが,常駐病棟の看護師は65%が賛成していた。薬剤師に注射実施を認め,病棟配置に診療報酬上カウントすれば,医療の質と安全性が向上し,医師・看護師不足,薬剤師過剰を解決できる可能性がある。
研究資料
  • 伊藤 てる子, 金子 さゆり, 濃沼 信夫
    2012 年 49 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    本研究は,看護スタッフの人材育成に繋がる方策を検討することを目的として,看護スタッフが認識する「看護管理者との関わり」と,看護スタッフの認知レベル(有能感,成長感,有意義感等)と学習行動との関係を明らかにした。臨床研修病院に勤務する看護スタッフを対象に,自記式質問紙調査を実施した。「看護管理者との関わり」の因子構造は,5因子,個別配慮,業務刷新,管理指導,対人調整,知的喚起が抽出された。「看護管理者との関わり」と認知レベル,学習行動の関係は,経験年数別(若手,中堅,ベテラン)に差異が認められ,若手は,有能感等に知的喚起,管理指導,個別配慮,業務刷新が影響する可能性が示唆された。中堅は,成長感等に個別配慮が影響し,学習行動を増すには有能感が関連している可能性が示唆された。ベテランは,有能感等に個別配慮,業務刷新,対人調整が影響し,有能感への働きかけは学習行動を増す可能性が示唆された。
  • 福田 治久
    2012 年 49 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    厚生労働省は21世紀の医療提供体制の方向性として地域連携を掲げており,これを達成するツールとして地域連携パスがある。本研究は,(1)地域連携を積極的に実施している病院の特徴,および,(2)連携パス運用による機能分化の促進効果,を明らかにすることを目的に実施した。
    地域連携診療計画管理料(計画管理料)を算定している全計画管理病院(625病院)を対象に,質問票調査を行った。データ解析には線形回帰モデルを用いた。
    232病院(37.1%)から回答を得た。大腿骨頸部骨折症例に対する計画管理料算定割合の高い病院の特徴として,患者数の多さ(p=0.002),短い平均在院日数(p=0.005)などが検出された。診療計画に転院基準を定めた病院は,定めのない病院に比べて,大腿骨頸部骨折の急性期平均在院日数が12.8%短かった(p=0.036)。
    本研究は,地域連携を実施する上で,診療計画に転院基準を定めることの重要性を示唆するものである。
  • 小林 美亜, 尾藤 誠司, 岡田 千春, 伏見 清秀
    2012 年 49 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    欧米諸国においては,医療の質保証に向け,臨床指標を用いた医療の質の定量的な評価がすすんでいる。近年,我が国でもこのような取り組みが行われるようになり,国立病院機構も,臨床評価指標(国立病院機構における臨床指標の呼称)を活用して医療の質の実態の可視化を図り,医療の質評価を行っている。平成22年度には,厚生労働省医政局による「医療の質の評価・公表等推進事業」に参加し,国立病院機構45病院の各結果について病院名と併せて公表を試みた。また,国立病院機構以外のDPC対象・準備病院でも,当該臨床評価指標が計測可能なように,算出方法のロジックを示した計測マニュアルの公開を行った。臨床評価指標は,病院間の計測結果のばらつき等を通して,潜在的な問題の発見に役立つ。今後は,現場の医療の質を適切に反映しているかどうかといった臨床評価指標の妥当性について検証することが必要である。
学術シンポジウム
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