厚生労働省は21世紀の医療提供体制の方向性として地域連携を掲げており,これを達成するツールとして地域連携パスがある。本研究は,(1)地域連携を積極的に実施している病院の特徴,および,(2)連携パス運用による機能分化の促進効果,を明らかにすることを目的に実施した。
地域連携診療計画管理料(計画管理料)を算定している全計画管理病院(625病院)を対象に,質問票調査を行った。データ解析には線形回帰モデルを用いた。
232病院(37.1%)から回答を得た。大腿骨頸部骨折症例に対する計画管理料算定割合の高い病院の特徴として,患者数の多さ(
p=0.002),短い平均在院日数(
p=0.005)などが検出された。診療計画に転院基準を定めた病院は,定めのない病院に比べて,大腿骨頸部骨折の急性期平均在院日数が12.8%短かった(
p=0.036)。
本研究は,地域連携を実施する上で,診療計画に転院基準を定めることの重要性を示唆するものである。
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