【背景】公的な医療技術評価において,費用効果分析に含むべき費用は各国・地域の医療制度によって異なる。本研究では,各国・地域で推奨される分析の立場,さらに費用のうち生産性損失の取り扱いの違いを明らかにする。
【方法】ヨーロッパとアジアの国・地域の分析ガイドライン(GL)等の記載内容を確認し,推奨される分析の立場と生産性損失の取り扱いを検討した。
【結果】33か国・地域が調査対象であった。14か国・地域(42.4%)で社会もしくはその他の立場のどちらかが推奨されていた。14か国・地域全て(100.0%)で患者本人の生産性損失を,さらにそのうちの9か国・地域(64.3%)で介護者の生産性損失を認めることがGLに明記されていた。
【結論】調査対象のうち,約4割で基本分析に生産性損失を含めることが認められていた。生産性損失を考慮する対象や算出方法は国・地域で異なるため,分析結果の相互比較には注意を要する。
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