日本医療・病院管理学会誌
Online ISSN : 2185-422X
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60 巻, 2 号
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巻頭言
研究論文
  • 岡田 理沙, 後藤 悦, 愼 重虎, 佐々木 典子, 今中 雄一
    2023 年 60 巻 2 号 p. 44-52
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    介護保険サービス利用の地域差については,多角的な分析を行い,適切に対応していくことが求められている。本研究では,市区町村単位での介護保険サービス利用の地域差を明らかにしたうえで,その地域差に関連する因子を検討した。まず,介護保険者単位で居宅,地域密着型,施設サービスの利用割合を,全国及び大都市部,地方都市部,過疎地域の3つの地域別に記述した。次に,各サービス利用割合と5つの曝露因子の関連について,交絡因子を調整して調べるため,回帰分析を行った。本研究の結果,各利用割合は大きなばらつきを認め,特に居宅サービスは0%から20.4%まで分布していた。また,居宅サービス利用は大都市部,地域密着型及び施設サービス利用は過疎地域に多い傾向にあった。さらに,高齢単身者世帯の割合,女性の就業割合,高齢者の就業割合,居宅介護支援事業所のケアマネジャー数,施設サービス定員数の全ての曝露因子が各利用割合と関連を示した。

研究資料
  • 孟 華川, 島崎 謙治
    2023 年 60 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,①日本の医師(D)が中国国内患者(P)に対し遠隔画像の読影結果を伝える場合,②Pの中国の主治医(D1)に対し日本の医師(D2)が読影結果を伝える場合に分け,遠隔画像診断の事業スキームが合法的に成立するか否かを検討するとともに,その過程で明確化される法的課題について考察することである。①は,日本のオンライン診療指針の実施要件(原則として初診は「かかりつけの医師」が行うこと等)を充足せず医師法に違反する。また,中国ではオンライン診療は慢性疾患等の再診に限定されており,中国の医師法にも違反する。②は,日本の医師法上,D2の行為はD1に対する単なる助言だと解釈されており同法違反にはならない。また,中国の医師法上も合法であるが,インターネットセキュリティ法等に基づき,Pの個人情報等を国外移転するための安全評価の手続をとる必要がある。日本のオンライン診療指針では医師–医師間(D to D)の行為は適用対象外であるが,遠隔画像診断は治療方針の決定等に影響を及ぼす行為であり,読影医の責任を明確化すること等が必要である。

  • 永野 満大, 湯淺 晃, 米本 直裕, 池田 俊也
    2023 年 60 巻 2 号 p. 62-72
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー

    【背景】公的な医療技術評価において,費用効果分析に含むべき費用は各国・地域の医療制度によって異なる。本研究では,各国・地域で推奨される分析の立場,さらに費用のうち生産性損失の取り扱いの違いを明らかにする。

    【方法】ヨーロッパとアジアの国・地域の分析ガイドライン(GL)等の記載内容を確認し,推奨される分析の立場と生産性損失の取り扱いを検討した。

    【結果】33か国・地域が調査対象であった。14か国・地域(42.4%)で社会もしくはその他の立場のどちらかが推奨されていた。14か国・地域全て(100.0%)で患者本人の生産性損失を,さらにそのうちの9か国・地域(64.3%)で介護者の生産性損失を認めることがGLに明記されていた。

    【結論】調査対象のうち,約4割で基本分析に生産性損失を含めることが認められていた。生産性損失を考慮する対象や算出方法は国・地域で異なるため,分析結果の相互比較には注意を要する。

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編集後記
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