病院を3つのタイプ─国公立,公的,私立─に種別したうえで,厚生労働省DPC病院データと地域医療情報ネットから得た公開データをリンクさせて,脳梗塞(手術なし),および股関節大腿近位骨折の在院日数について重回帰分析を行なった。股関節大腿近位骨折では私立病院の在院日数が長く,脳梗塞(手術なし)では公的病院の在院日数が短かった。病院の組織構造から生じる固有の性質が,医師のインセンティブ(努力の誘因)に作用して,医療連携の成果に影響を与え得ることを議論した。
我が国では2014年度診療報酬改定で一入院包括支払い方式(PPS)である短期滞在手術等基本料3が水晶体再建術等に導入され,入退院支援の強化や病棟機能再編の必要性が再認識されている。また,韓国においても同疾患に対して同様のPPSが施行されている。しかし,PPSについて臨床現場でどのように意識されているかに関する調査は両国ともほとんどない。そこで,水晶体再建術の治療・ケアに関わる日本78名,韓国84名の医療者に対し,現行PPSにおける診療の効率性とケアに関する意識調査を実施した。その結果,両国とも現行のPPSに対し,医療の質の低下を懸念する意識を持っていることが明らかになった。また,日本の医療者はPhysician Feeについて出来高払いで評価を求める意識が高かった。PPSにおける医療経済的な側面と医療技術的側面の両方を評価する診療報酬体系の確立及び客観的な質の評価システム構築は,両国が同様に抱えている課題であることが示唆された。
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