日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
36 巻, 2 号
36巻2号(通巻99号)
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学会総会報告
学会賞報告
委員会報告
原著
  • 進藤 勝久, 山口 富士子, 上川 禎則, 本田 優子, 大西 直, 福永 睦, 中田 健
    2020 年 36 巻 2 号 p. 22-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    【目的】外来で使用するQOL調査票として短縮版オストメイトQOL調査票(以下、短縮版)を作成し、短縮版による調査を行う。

    【方法】改訂版オストメイトQOL調査票(以下、改訂版)の因子分析や類似性検討から重複性の強い質問を削除・統合して短縮版を作成し、その信頼性を検証する。短縮版をオストメイト500例に配布し、回収データの因子分析で因子分類した上で、QOLスコアを患者背景・因子別に検討する。

    【結果】改訂版のQOL関連質問数38項目を20項目まで削減して短縮版を作成した。短縮版による調査では470例(回収率94%)から回答を得て、Cronbach α係数0.873と信頼性を確認した。因子分析で基本、日常、適応、ストーマ、関連の5因子に分類した。QOLスコアが最低値のストーマ因子では、炎症性腸疾患、回腸ストーマ、女性の順に低値であった。

    【結語】今後、短縮版による因子ごとのQOLを評価した上で、個々人のQOL改善を目指したオストメイトQOL外来システムの構築が必要と考える。

総説
  • 進藤 勝久, 山口 富士子, 上川 禎則, 本田 優子, 大西 直, 福永 睦, 中田 健
    2020 年 36 巻 2 号 p. 39-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    オストメイトのQOLを改善・向上するためには、QOLを障害している要因を分析・分類し、要因別に専門家グループが対処して、解決するまで支援を継続することが必要である。そのために本論文では、多職種協働による「オストメイトQOL外来」の開設を提言する。本外来の定義は、「オストメイトのQOLをケアする外来部門」であり、それを運営するための「QOL外来システム」とは、「ストーマ外来で行うQOL評価の結果、オストメイトにQOL問題があることが判明した場合に、QOL外来を利用して、専門家で構成される専門職業グループがPDCA(Plan-Do-Check-Action)を行う体制」を意味する。

    本論文では、従来のストーマ外来との関係、短縮版QOL調査票の活用方法、各QOL要素の分析方法、同定された問題解決に適した職種・団体、問題解決のためのプロセス、オストメイトQOL外来研究会の結成や保険診療への導入を含めた将来的な展望について述べることで、オストメイトQOL外来のシステムに関して概説する。

実践報告
  • 藪本 斉子
    2020 年 36 巻 2 号 p. 50-57
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    【目的】抗がん薬曝露対策指導時のストーマ保有者・介護者の反応を明らかにし、患者・介護者支援の示唆を得る。

    【方法】対象は、2017年1月~7月に当院でがん薬物療法を受けており、ストーマ外来を受診して、当院で新たに作成した抗がん薬曝露対策指導パンフレットを用いた指導を受けた患者と介護者である。指導時の患者・介護者の反応に関する情報は、診療録の看護記録より収集して分析した。

    【結果】対象は20名であった。指導時の反応は、【おおむねこれまでの生活の継続でよいことを確認した安心感】、【新しい情報を知り得たことに対する感謝】、【抗がん薬曝露対策を実践しようという意思】の3つのカテゴリーで構成され、いずれも前向きな反応が得られた。

    【結論】がん薬物療法開始前に、恐怖心や不安に配慮して正確な情報提供を行い、生活背景を把握した上で負担の少ない方法を共に考え、継続して実践できる指導を行うことが重要である。

地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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