日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
37 巻, 3 号
37巻3号(通巻103号)
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歴史に学ぶ:先達の回想録 第1回
特集 「ストーマ装具選択基準」標準化への挑戦
  • 舟山 裕士, 大村 裕子
    2021 年 37 巻 3 号 p. 42
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー
  • 石澤 美保子, 佐竹 陽子, 溝尻 由美, 堀井 えりな
    2021 年 37 巻 3 号 p. 43-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】ストーマ装具選択基準検討委員会が2009年に作成した「ストーマ装具選択基準」に関する文献レビューによって、ストーマ装具選択基準の標準化の現状と今後の課題を考察する。

    【方法】2007年8月~2019年8月に発表されたストーマ装具の選択に関する国内外の論文を対象に、「ストーマ装具選択基準」に関する文献を検索・分析した。

    【結果】「ストーマ装具選択基準」に関する文献は47件で、内訳は原著3件、会議録4件、解説文40件であった。「ストーマ装具選択基準」は、その発表以降ストーマケアに関与する医療者に対し、標準的なストーマ装具の選択基準確立が取り組むべき課題であることを印象付けたが、それを検証する研究や報告はなかった。また、2007年7月以降の12年間で発表されたストーマ装具選択に関する文献28件のうち、装具名が特定できたのは13件で、エビデンスレベルは低かった。

    【結論】ストーマ装具選択基準の標準化に向けて前向き調査研究や比較研究を実施していくことは不可欠だが、その方法や課題などを再検討する必要性が示唆された。

  • 秋山 結美子
    2021 年 37 巻 3 号 p. 55-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
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    適切なストーマ装具選択に必要な「粘着性ストーマ装具分類」、「ストーマ・フィジカルアセスメントツール」、「ストーマ装具選択基準」が2009年に発表され、筆者もその研究に関与した。この装具分類作成から10年以上が経ち、2020年の第37回本学会総会においてシンポジウム『「ストーマ装具選択基準」標準化への挑戦』が企画され、筆者は「ストーマ装具の分類と評価」を担当した。本論文では、2009年の研究成果を概説し、それに基づいたストーマ装具選択に重要な装具分類の要素を抽出するとともに、今後の課題を提言する。

    粘着性ストーマ装具は、構造面と機能面から14項目に分類されるが、ストーマ装具選択基準の検討に基づくと、この14項目のうちストーマ装具選択に重要となるのは、①システム(消化器・尿路用)、面板の②形状・③柔軟性・④皮膚保護剤の耐久性・⑤ストーマ孔、面板機能補助具の⑥アクセサリーと⑦ベルト連結部、⑧ストーマ袋構造の8項目であった。

  • 山田 陽子, 三好 綾子, 秋山 泰樹, 永田 淳, 平田 敬冶
    2021 年 37 巻 3 号 p. 64-69
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

    【目的】ストーマ状況は変化するため、装具選択の再評価が必要である。今回術後3ヵ月間のストーマ状況の変化を明らかにし、変化に応じた装具選択の重要観察項目について検討した。

    【方法】2017年4月から2年間、術後2ヵ月以上観察した消化管ストーマ症例を対象に、ストーマ・フィジカルアセスメントツール(以下SPAツール)の観察項目で、術後3ヵ月間のストーマ状況と装具変更の有無を調査した。

    【結果】対象症例は63例(内44例は3ヵ月まで)。術後1ヵ月はストーマサイズ横径が減少し、腹壁の硬度、皮膚の平坦度、便の性状に変化がみられた。2ヵ月はストーマサイズ縦・横径が減少し、その後の変化は緩やかであった。3ヵ月ではストーマ高さが有意に減少した。装具変更率は、術後1ヵ月9.5%、2ヵ月11.1%、3ヵ月2.3%であった。

    【結語】ストーマ状況の変化に応じた装具選択をするために、術後の継続的なストーマ状況の評価が必要である。重要観察項目は、術直後は全項目、1ヵ月はストーマサイズ、腹壁の硬度、皮膚の平坦度、便の性状、2ヵ月以降はストーマサイズであった。

  • 山本 由利子
    2021 年 37 巻 3 号 p. 70-73
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
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    【背景】適切なストーマ装具選択を目的に、著者が参加した研究チームは、「ストーマ装具分類」「ストーマ・フィジカルアセスメントツール」「ストーマ装具選択基準(以下、本基準)」を2009年に発表した。著者が担当している四国ストーマリハビリテーション講習会(以下、四国講習会)では基礎コース修了者を対象にフォローアップコースを開催し、本基準を利用して講義を行っている。

    【目的】四国講習会で本基準を活用してストーマリハビリテーション教育を実践した結果を検討する。

    【結果】本基準はストーマリハビリテーション教育に非常に有用なツールであるが、ストーマ装具選択の手順として活用するには、その解説と演習が必要である。また、本基準と「ストーマ装具分類」「ストーマ・フィジカルアセスメントツール」はそれぞれ単独で使用するのではなく、一連の手順として活用する必要がある。

    【考察・結論】ストーマ装具の選択は、「誰でも適切に選択できること」は必要だが、「簡単に」ストーマ装具を選択してはいけない。エビデンスのある本基準に基づいて、医療者はストーマ保有者の日常生活の質向上のために、悩んで選択することが重要である。

原著
  • 茂野 敬, 伊井 みず穂, 梅村 俊彰, 安田 智美
    2021 年 37 巻 3 号 p. 74-84
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
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    【目的】ストーマ保有者のストーマセルフケア能力評価尺度を開発する。

    【方法】日本オストミー協会所属のストーマ保有者に無記名自記式質問紙調査を実施した。解析は、ストーマセルフケア能力評価項目について、項目分析、探索的因子分析、Cronbachのα係数の算出、外的基準との単相関分析を行った。

    【結果】241名(有効回答率:24.1%)を分析対象とした。ストーマセルフケア能力評価項目47項目中、項目分析で10項目、探索的因子分析で10項目を削除し、「基本的なストーマ管理」、「ストーマ管理による社会生活の維持」、「ストーマ管理に関連した適切な評価」の3因子27項目を抽出した。因子毎のCronbachのα係数は、0.819~0.890で内的整合性を認めた。外的基準との単相関分析では、相関係数の最大値が0.623、ほとんどが0.3未満であり、明らかな相関関係は認めなかった。

    【結論】ストーマセルフケア能力評価尺度を開発したが、その信頼性と妥当性に関しては、今後更なる検討が必要である。

  • 深野 利恵子, 辻仲 眞康, 大島 美津子, 力山 敏樹
    2021 年 37 巻 3 号 p. 85-97
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
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    【目的】術後早期のストーマケア確立に影響を及ぼす因子を検討する。

    【方法】消化管ストーマ造設後に装具交換に参加した症例を対象とし、退院までのストーマケア確立状況を後方視的に調査した。対象患者をストーマケア確立群と未確立群に分け、さらに確立群を早期確立群と遅延確立群に分けて検討した。

    【結果】解析対象は89例(年齢中央値70歳、男/女:49/40)であった。ストーマケア確立に影響を及ぼす因子は、緊急手術・術後疼痛・離床の遅延・ストーマサイトマーキング不実施・ストーマ合併症であった。また、高齢・ケアの複雑性・非円形ストーマは、ケア確立遅延に影響していた。

    【結論】緊急手術や高齢患者では、ストーマケア確立が困難または確立に時間を要する可能性がある。効果的なストーマケア指導には、術前ストーマサイトマーキング、術後疼痛コントロール、離床促進、管理しやすいストーマ装具と管理方法および早期からの退院支援が重要である。

研究報告
  • 白石 卓也, 小川 博臣, 中林 つかさ, 佐藤 名帆美, 調 憲, 佐伯 浩司
    2021 年 37 巻 3 号 p. 98-105
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/01
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    【目的】ストーマ関連合併症の危険因子と一時的ストーマ閉鎖割合や術後成績を検討する。

    【方法】2019年1~12月の直腸癌手術時にストーマを造設した症例を対象に、ストーマ関連合併症の有無で2群に分けて比較検討した。また、一時的ストーマ閉鎖割合や閉鎖術後合併症も検討した。

    【結果】対象症例は28例(年齢中央値67.5歳、男/女:19/9)で、ストーマは一時的回腸双孔式15例、永久結腸単孔式13例であった。ストーマ関連合併症を18例(64.3%)に認め、ストーマ周囲皮膚障害が16例と最多で、主に回腸双孔式ストーマに発症していた。多変量解析によるストーマ関連合併症の危険因子は回腸双孔式ストーマ(p=0.02)であった。一時的回腸ストーマ15例中14例(93.3%)で閉鎖術が施行され、1例(7.1%)に軽度の術後合併症として麻痺性イレウスを認めたのみであった。

    【結論】回腸双孔式ストーマは、ストーマ関連合併症の中で特に皮膚障害に注意すべきだが、重篤なストーマ閉鎖術後合併症を認めず、一時的ストーマとして適していると考える。

地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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