日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
40 巻, 3 号
40巻3号(通巻112号)
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歴史に学ぶ:先達の回想録 第7回
文献紹介
委員会報告
  • 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 プロジェクト委員会
    2024 年 40 巻 3 号 p. 189-200
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
     本邦のストーマ造設状況を明らかとするため、全国多施設調査を行った。
    (1)ストーマ造設と閉鎖の実施件数に関する調査
     101施設より回答あり。ストーマ造設件数は2017年が5,494件、2018年が5,637件、2019年が5,705件であった。ストーマ閉鎖件数は2017年が1,925件、2018年が1,992件、2019年が2,063件であった。同じ年の一時的ストーマ造設件数に対するストーマ閉鎖件数の比、すなわち一時的ストーマ閉鎖比率は73.6%であった。
    (2)直腸癌手術の基本方針とストーマサイトマーキングに関するアンケート調査
     131施設より回答あり。低位前方切除術、腹会陰式直腸切断術それぞれについて77%、73%の施設で腹腔鏡下手術を、18%、17%の施設でロボット支援手術を基本としていた。Diverting stomaについては、回腸ストーマを基本とする施設が85%であった。ストーマサイトマーキングは、待機手術では実施率100%の施設が66%を占めていたが、緊急手術では18%のみであった。
症例報告
  • 小椋 遼治, 船橋 公彦, 三浦 康之, 甲田 貴丸, 長嶋 康雄, 保刈 伸代, 斎藤 容子, 守口 淳子, 山西 由里子, 古田 雅
    2024 年 40 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    【背景】直腸癌術後の低位前方切除後症候群に対する治療法として、バイオフィードバック療法(BF)による骨盤底筋訓練がある。欧米では理学療法士(PT)がBFを担っているが、本邦のPTは肛門に電極を挿入できないためPT単独でBFを実施できない現状がある。そこで今回、貼付型電極を用いてPTによる筋電計BFを施行した。
    【症例】50歳代後半男性。局所進行下部直腸癌に対する一時的回腸ストーマ造設後、術前化学療法を施行し、その後に経肛門吻合を伴う超低位前方切除術を施行した。一時的ストーマ閉鎖術前は週1回のBFを6回直接指導し、術後は2週に1回のBFを5回直接指導した。
    【結果】術前のBF前後で、外肛門括約筋最大随意収縮時の電気的活動度平均値は169.3μVから250.6μVに上昇した。術後の便失禁発症を防げなかったが、PTによるBFに伴う有害事象は発生しなかった。
    【結論】PT単独で行う貼付型電極を用いた筋電計BFは安全に実施可能で、外肛門括約筋収縮力を改善する可能性がある。
短報
  • 吉田 和枝, 前川 厚子, 本田 育美, 吉川 尚美, 榎本 喜彦, 伊藤 康宏, 問山 裕二
    2024 年 40 巻 3 号 p. 211-218
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    【目的】腸電位計を24時間装着して大腸蠕動運動可視化の方法や可能性を探求することである。
    【方法】健康成人1名を対象に、腸電位計電極を下腹部の3点に24時間装着し、測定中はイベントシートに食事、排泄、睡眠、行動の記載を依頼した。腸電位計によるデータを用いて、周波数と時間に基づいて大腸の活動電位としてのパワースペクトルを解析した。
    【結果】対象者は60歳代の女性1名であった。腸電位計データの解析では大腸周期を51.2秒、呼吸周期を5.1秒と推定することで、大腸と呼吸の活動電位を分離することができた。また、イベントに合わせて解析した大腸電位のパワースペクトルは、排便の20~30分前から上昇し始め、排便時に最大となっていた。
    【考察・結論】電位計を24時間装着して大腸の活動電位を測定することで、大腸蠕動運動を可視化できる可能性が示唆された。排便前後でパワースペクトルが異なることから、本測定法は、便意を喪失したストーマ保有者のケアに活用できる可能性がある。
研究報告
  • 岩井 潤, 齋藤 武, 中江 絵美, 鈴木 香織
    2024 年 40 巻 3 号 p. 219-225
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    【目的】二分脊椎症において、洗腸手技の自立を目的とした従来法からぺリスティーンによる経肛門的洗腸療法への移行の有用性を検討する。
    【方法】従来法による洗腸中で手技自立困難のためにペリスティーンに移行した症例を対象に、移行後の手技自立達成率と洗腸継続状況を後方視的に検討した。
    【結果】対象は脊髄髄膜瘤の11例(年齢:12-21歳、男7/女4)で、ペリスティーンへの移行時年齢は10-18歳(中央値13歳)であった。ペリスティーンを継続できたのは9例(82%)で、5-38ヵ月(中央値21ヵ月)間継続しており、手技自立が達成できたのは8例(自立達成率:73%)であった。非自立の1例は、介助者の負担軽減と排便状況改善が得られていたため洗腸が継続されていた。ペリスティーン中止2例の原因は、導入初期のカテーテル脱出や嘔吐の出現であった。
    【結論】二分脊椎症において、従来法で洗腸手技の自立が困難な症例に対するぺリスティーンへの移行は、自立促進に有用である。
実践報告
  • 神山 篤史, 渡辺 和宏, 高橋 真紀, 渡邊 涼子, 大沼 忍, 海野 倫明
    2024 年 40 巻 3 号 p. 226-232
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/02
    ジャーナル フリー
    【緒言】2020年のCOVID-19感染拡大以降、従来型の集合研修によるストーマリハビリテーション(以下、SR)講習会の開催は困難となった。東北SR講習会で行ったe-learningを併用した地域講習会開催のための工夫と課題を報告する。
    実践Ⅰ.2021年度東北SR講習会開催の可否に関する検討
    【方法】東北SR講習会世話人の所属施設32施設を対象とし、講習会開催の可否に関してアンケート調査を行った。
    【結果】28施設(88%)から回答が得られ、79%が「できれば開催すべきである」と考えていたため開催を決定した。
    実践Ⅱ.講習会開催に関する実践内容
    【方法】2021年度と2022年度の2年間、座学をe-learningで行い、実習は対面での小グループ演習とした。感染対策として、小グループ演習は17地域に細分化して実施した。総合討論は小グループ討論後のレポート作成と解説のWEB配信とした。
    【結果】講習会参加者は2年間の合計で242名、年齢中央値33歳(範囲:23-57歳)、女性220名であった。e-learningは時間の融通や繰り返し聴講できる点で好評であった。実習では小グループ毎に工夫して対応し、実習参加によるCOVID-19感染者やクラスターは発生しなかった。指導教官の質担保や双方向型討論の確保などが今後の課題であった。
    【結論】地域SR講習会は今後もe-learningを併用すると思われ、転換期を迎えたといえる。
地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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