日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
29 巻, 3 号
29巻3号(通巻79号)
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
表紙
原著
  • 江川 安紀子, 羽入 千悦子, 穴澤 貞夫, 中島 紳太郎, 諏訪 勝仁, 岡本 友好, 大村 裕子
    原稿種別: 原著
    2013 年 29 巻 3 号 p. 53-59
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     本研究はストーマケアの評価ツール作成を目的として行われた。
     ストーマケアにおいて本来ストーマ装具装着条件を評価することがケア方法を決める第一歩である。しかしストーマ装具装着条件は多様な因子が関与するため、総合的に評価することは困難である。そこで我々は、ストーマの装具装着条件の如何にかかわらず「一定の管理で一定の成績が得られたものに一定の評価を与える」という概念の評価法を提唱し,これを「ストーマ管理度」とした。120例のストーマ保有者を対象にこの管理度とストーマ局所諸因子との関係を検討した結果、両者間に相関を示した。これによりストーマ管理度はストーマケアの評価ツールとして有用性があることが示唆された。
  • 橋爪 良輔, 中島 紳太郎, 諏訪 勝仁, 岡本 友好, 江川 安紀子, 上出 良一, 柴崎 真澄, 矢永 勝彦
    2013 年 29 巻 3 号 p. 60-66
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     症例は53歳の男性で、左腎細胞癌術後の多臓器転移に対してsunitinibが投与されていた。2009年に直腸憩室穿孔による汎発性腹膜炎を発症し、人工肛門造設術を施行した。その後、内服を再開したところ難治性有痛性潰瘍を繰り返し発症した。
     病理組織学的に特異的所見は得られなかったが、皮膚病変の発生部位がストーマから2.5cm以内で、面板の貼付範囲内に限局していたことから、sunitinbによる皮膚のバリア機能の低下が関与した可能性が考えられた。
臨床報告
  • 逢沢 舞子, 吉村 稔, 堀口 ゆかり, 永井 雅子, 坂爪 友美, 北澤 隆二, 貞廣 莊太郎, 鈴木 俊之, 田中 彰, 岡田 和丈, ...
    2013 年 29 巻 3 号 p. 67-72
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     オストメイトにとって臭いは深刻な問題である。消臭機能を有する線維を用いて従来使用している採便袋に被せるだけのストーマ袋カバーを開発し、その消臭効果を通常の綿で作成したカバーと比較した。まず手術直後のイレオストミー患者とコロストミー患者に試作し、コロストミー患者で有用な傾向がみられたため、二次研究ではケアの安定したコロストミー患者34名を対象にして比較した。消臭機能を有するストーマ袋カバーはコロストミー患者の自覚的な臭いの改善に有効であった。
「第30回 JSSCRシンポジウム」「ストーマ・排泄リハビリテーション30年の変遷と将来予測」(6論文)
  • 進藤 勝久
    原稿種別: [原著] SRリテラシー:ストーマリハ学将来の到達点
    2013 年 29 巻 3 号 p. 73-76
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     50年余りのSR臨床と研究からえた現在の内面的な個人的到達点を紹介し、今後の抱負をビッグデータ ダイナミックシステム(BDDS)に託して、より深いSR学の将来到達点を探る。
    SRがリテラシーとして到達している現在は、局所の医療からヒト全体を視野に入れた医療へと発展してきている。日常から臨床経験を科学的に分析することによって、自分なりの定理や原理に到達する。単に帰納するだけでなく、会得したものを演繹することによって、症例ごとの裏にあるものが見えてくるようになる。
     表裏一体現象の発見からさらに敷術していく時、Qなるもの(時空を超えて流転変転しながら全一統体として永久に続く)に到達する。これの臨床応用に言及すれば、医師/看護師は患者/家族と一体化することによって、SR的医療が成立することに気付く。
  • 佐藤 エキ子
    2013 年 29 巻 3 号 p. 77-81
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     日本人の二人にひとりが「がん」に罹患し、「大腸がん」も増加の一途をたどっている。大腸がんの場合はストーマ造設を余儀なく受けている患者も少なくなく、より専門的な医療・看護サービスの提供が求められており、その専門的な教育が重要である。
     ストーマを造設した患者のケアに関わる専門者の教育の始まりは米国のクリーブランドクリニックからである。当時はEnterostomal Therapy(ET)と呼ばれ、ストーマ造設患者の入院から退院までのケアを全面的に担っていた。その後、WOC(wound ostomy continence)ナースとして活躍している。日本でもET教育から始まり、その後日本看護協会においてWOC看護認定看護師の教育が始まった。今日では「皮膚・排泄ケア認定看護師」の教育が各県の看護協会はじめ多くの機関で行われている。
  • 中條 俊夫
    2013 年 29 巻 3 号 p. 82-87
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
    [経緯]わが国で小児ストーマケアが本格的に開始されたのは、第一回ストーマリハビリテーション講習会において小児ストーマが講義項目となった1980年、または第一回日本小児ストーマ研究会が開催された1987年であろう。最初の小児専門のストーマ外来は国立小児病院に1982年開設された。年1回の研究会継続により小児演題が急増し、小児ストーマセミナー開催、小児用ストーマ装具開発、小児患者会結成などが促進された。
    [展望]今後に期待したい事項としては、疾患によっては新生児期より永久ストーマを最終目標とするガイドラインを検討すること、生涯にわたる適切な継続フォローと支援システムの体制を確立することなどが挙げられる。
  • 安富 正幸
    2013 年 29 巻 3 号 p. 88-96
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     今日のストーマ・排泄リハビリテーションの姿は、1970年代を端緒とする黎明期の医師、ET、看護師の情熱とたゆまぬ努力なくしては成し得ないものであった,今後、高齢化が進み日本の医療も大きな転換期を迎えることが予想される中、ストーマ・排泄リハビリの姿も時代の変遷に応じて形を変えながら適応していかなければならない、,そのような中で、黎明期以前からストーマ・ケアの歩んできた道程を後世に伝えるとともに、医師と看護師が全く対等な立場であくまでオストメイトの社会復帰のために尽力したその精神を忘れてはならない。本シンポジウムでは黎明期以前のストーマ・ケアの取り組みから、講習会の発足、JAETの設立、本学会の成り立ち等について述べる。
  • 田澤 賢次
    2013 年 29 巻 3 号 p. 97-102
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     皮膚保護剤によりストーマ周囲皮膚管理が大きく進歩発展し、これを起点に失禁装具や創傷ドレッシング材に著しい進歩がもたらされた。R.Turnbull博士がストーマケアにカラヤガムを応用したのは偶然であったがストーマ皮膚障害対策に苦慮し、重要な解決課題となり、カラヤガムの臨床への導入というアイデアは皮膚保護剤を用いた皮膚障害発生を予防するスキンケアへの道を拓くことになった。カラヤガムの特性が如何に優れているかの報告が第12回日本消化器外科学会総会(昭和53年7月)において本邦で初めて発表された。皮膚保護剤のpHが殆ど3.5~ 5.0の間にあり、皮膚表面のpHが5.0ということから化学的中性と生理的中性が存在することを知ることになり、化学的中性のシリコン皮膚保護剤が臨床から自然淘汰的に消失することの理由が理解できた。ストーマ周囲皮膚管理は予防する時代になって久しいが、ここ30年間のストーマケアを考えた時、皮膚構築に準じた生理的機能と物性的機能の要件を満たす新たなる挑戦を今後の研究に望みたい。
  • 登坂 有子
    2013 年 29 巻 3 号 p. 103-108
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/11/02
    ジャーナル フリー
     50年前のストーマケアは必発する皮膚障害やストーマに心理反応を示す患者を前に、なす術がなく試行錯誤する時代が長く続いた。
     オストメイトの集まりで、ストーマ医療の貧しさを痛感し、看護師の意識を変えていくことが優先すべき問題であると考えた。1)患者への説明 2)計画されたケア 3)装具に関することを整理する必要があった。ストーマ医療者への教育は1980年から始まった。併せて、ストーマ医学の進歩、装具の改良、日本ストーマ協会の活動、社会制度の整備、その他の法制化が行われ、ストーマ医療は確実に進化してきた。しかし、時代が変わろうとも、ストーマケアの良否は看護の質そのものが問われるものであることには変わりがない。
地方会抄録(地域研究会記録)
編集後記
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