【目的】肛門温存手術に伴って造設した一時的ストーマの転帰とストーマ閉鎖前の直腸肛門機能検査・排便造影検査(以下、検査)の有用性を検討する。
【方法】2014~2019年に肛門温存手術に伴って一時的ストーマを造設した患者を対象に、その転帰と検査結果に関して後方視的に検討した。
【結果】解析対象は97例(年齢中央値62歳、男72例)で、一時的ストーマは91例(94%)で閉鎖された。検査は11例に施行され、全例で新直腸容量低下を認めた。非閉鎖6例のうち4例(67%)は原病悪化や吻合部狭窄、縫合不全が理由であったが、2例(33%)は閉鎖を希望しなかった。その2例のうち検査結果が比較的良好であった1例は検査結果を非閉鎖の理由に挙げ、検査結果が不良であった1例は検査結果以外の理由で非閉鎖を希望した。
【結論】検査は、その結果だけにしたがってストーマ閉鎖の意思決定がなされるわけではないが、閉鎖後の排便障害に関する患者との話し合いの契機になることで、ストーマ閉鎖に関するShared Decision Makingに役立つと考える。
抄録全体を表示