日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2434-3056
Print ISSN : 1882-0115
23 巻, 3 号
23巻3号(通巻61号)
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
表紙
原著
  • 安田 智美, 八塚 美樹, 吉井 美穂, 寺境 夕起子, 吉井 忍, 田中 三千雄
    2007 年 23 巻 3 号 p. 59-68
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
     男性オストメイトのセクシャリティを明らかにし、夫婦の関係性から性機能障害を持つ男性オストメイトと配偶者への援助を考える指標にする事を目的に70歳未満の男性オストメイト13名に面接調査を行った。その結果、男性オストメイトのセクシャリティを表すものとして、【不安定な自己観】、【現状を受け入れる】、【夫婦の絆】、【支えとなるもの】、【性行為について話し合うことの困難】、【夫婦の親密性の揺らぎ】、【性行為への思い】、【性行為への価値観】の8つのカテゴリーが抽出された。夫婦の関係性は、性機能の変化によって変化することは無く、むしろ妻からのサポートによって夫婦の絆は保たれていた。今後は、オストメイトをサポートする妻の言動を促進するような教育が必要である。また、性の悩みや相談の表出を敏感に察知し、オストメイトと妻の代弁者となって夫婦間の調整を行うことが必要である。
  • 梶原 睦子, 根本 秀美, 高橋 知勢子
    2007 年 23 巻 3 号 p. 69-78
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
     60歳以上の在宅高齢ストーマ保有者953名の高齢化意識と不安を調査し以下の知見を得た。
     ①在宅高齢ストーマ保有者の高齢化意識はストーマを持たない集団より低かった。ストーマ保有者の高齢化不安はストーマを持たない集団より低く、高齢化によりケアができなくなる不安に対抗するため自身を駆り立てている可能性が考えられた。
     ②高齢化不安は、後期高齢者では、自分の健康(72%)、ねたきり(41.1%)やぼける(36.9%)などの老化現象が多く、前期高齢者では、年金問題(39.2%)、税金問題(15.1%)の経済的問題が多かった。
     ③高齢化不安は女性のほうが高く、配偶者に将来装具交換を委ねたいとする割合は男性(68.5%)、女性(24.3%)で有意な差があった。
     ④今後高齢期にむけた指導やケアをストーマリハビリテーションの中に積極的に位置付けていくことが必要である。
シンポジウム1
シンポジウム2
  • 斎藤 忠則, 武田 信子
    2007 年 23 巻 3 号 p. 81-82
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
  • 山口 茂樹, 森田 浩文, 石井 正之, 齋藤 修治, 河合 俊乃, 青木 和恵, 谷口 貴子, 吉川 敦子, 石久保 雪江
    2007 年 23 巻 3 号 p. 83-88
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
     Intersphincteric resection(ISR)の登場によって直腸癌の肛門温存手術の割合は増加したが、その適応は施設によって異なる。静岡がんセンター195例の下部直腸癌根治手術の経験で77%に肛門温存手術が、22%にISRが行われた。ISRの方法は腹腔操作で大部分の剥離を終え、肛門操作は短時間で行い局所再発のリスクを減らすよう心掛けた。その結果、195例の累積3年無再発生存率は86%(Stage I:96%、Ⅱ:88%、Ⅲ:73%)と良好だった。また、ISR後の排便は1日3回以内が41%で最も多いものの、ソイリング腸性55%、パット使用59%だった。肛門温存術後は排便に関するQOLが低下するが、生活全体のQOLは意見が分かれる。癌手術としての根治性とともに、患者の性格や社会復帰後の生活も考慮して術式選択をするべきである。
  • 佐藤 正美
    2007 年 23 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
     低位前方切除術後の排便パターンの詳細を明らかにすることを目的とし、自記式排便記録と面接内容をもとに、特徴的な排便パターンを示した3事例について分析した。
     排便はあるが残便感や便意にさいなまれ、夜間も頻便のため、睡眠が妨げられているケースもあった。日によって排便回数やリズムが異なり、事例によっても異なっていた。
     イレウスへの恐怖から、排便があるにもかかわらず下剤を内服し、便性がゆるくなり排便回数が増え、soilingが生じていた。便意があったらすぐに排便しないとイレウスになる、という誤った認識から頻回にトイレ通いをし、長時間力む行動が生じていた。
     いつでもトイレに駆け込める自宅以外の場所に身をおくことで「便」のことに執着せず、便意をやり過ごす効果があると示唆された。
  • 加藤 正典, 竹田 篤史, 並木 俊一, 荒井 陽一, 吉村 耕治, 小川 修, 瀧 洋二, 寺井 章人, 加藤 慎之介, 岡田 裕作
    2007 年 23 巻 3 号 p. 97-102
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    [目 的]自排尿型代用膀胱とストーマを有する失禁型尿路変向術のQOLの比較検討を行った。[方 法]対象は自排尿型代用膀胱21例(男性19例女性2例)と失禁型尿路変向術14例(男性11例、女性3例)合計35例。使用した調査票はFACT-BL(Functional Assessment of Cancer Therapy-Bladder Cancer)と、健康関連QOL調査票SF-36.[結 果]FACT-Gでは、身体状態と活動性の2つの項目で、また、FACT-BLでは、Cosmeticな部分に関する項目のみで代用膀胱のQOLが失禁型尿路変向術を上回った。一方SG-36においては、全体的健康感、活力、心の健康の3項目で代用膀胱のQOLが失禁型尿路変向術を上回った。[結 論]自排尿型代用膀胱と失禁型尿路変向術の術式間QOLの比較検討をFACT-BLと、SF-36を用いて行った。いくつかの項目で代用膀胱のQOLがストーマとを有する尿路変向術を上回った。
  • 篠原 信雄
    2007 年 23 巻 3 号 p. 103-107
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
    [目 的]:尿路変向術後QOL調査結果の術式選択におよぼす影響を検討。
    [方 法]:1990年以後2007年までに、進行性膀胱癌120例に対し実施された尿路変向術を失禁型、自己導尿型、自排尿型の3つにわけ、施行症例数を経時的にまとめ、それぞれに時期に行われた尿路変向術の術式選択に対するQOL研究の影響を検討した。
    [結 果]:当初、自己導尿型・自排尿型は、失禁型より優れていると考えたが、第1期(1990-1995)のQOL研究より自己導尿型の問題が明らかになり、必ずしもこの考えが正しくないことが明らかになった。第2期(1996-2003)のQOL研究では自排尿型が優れているとなった。第3期 2004-現在)は尿道が残せる症例には自排尿型を推奨している。最近のQOL研究でも自排尿型の優位性が再確認された。
    [結 語]:尿路変向術の術式選択にあたっては、「術者の思い」が大きく関与していた。「術者の思い」も観察期間中に実施されたQOL調査の結果に影響されていた。
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