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川原 浩一, 須田 聖一, 鈴木 雅也, 川野 光伸, 吉田 洋之, 稲垣 亨
セッションID: 2D31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
SOFC発電特性の低下をもたらすNi-SDC/LSGM界面反応相の形成を抑制するために、燃料極焼き付け温度を低下する検討を行った。被覆型のNiO-SDC複合微粒子とポリエチレングリコールの混合物を燃料極用スラリーとして用いた場合、燃料極焼き付け温度1150℃では電子伝導パスの形成が不十分で、導電率は著しく低下した。電子伝導パスの形成を促進するために、Ni相の結合が生じやすい分散型NiO-SDC複合微粒子と、キレート化した溶液の混合物を燃料極用スラリーとして用い、1150℃で構築した場合には1250℃と比較して約1.3倍の導電率を示し、焼き付け温度の低温化による反応相形成抑制の効果であると考えられる。
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伊藤 孝憲, 白崎 紗央里, 藤江 良紀, 王 臻偉, 森 昌史, 大坂 恵一, 廣沢 一郎
セッションID: 2D32
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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SOFCは高温での長時間耐久が重要課題である。現状、ラマン分光によって電解質劣化原因の解析が行われている。しかし、高精度で定量的な構造解析がなされていない。本研究では放射光X線を用いて、600、800℃にてアニールした電解質材料の精密構造解析を行った。
電解質材料を焼結させ、600℃、800℃、空気中にて500、1000、2000時間アニールを行った。サンプルを乳鉢で粉砕し、SPring-8,BL19B2にて回折測定を行った。(重点産業利用課題2008B1877)リートベルト、MEM解析にRIETAN-FP、PRIMAを用いた。
YSZは空間群Fm-3mに帰属され、R因子から高精度で解析されたことがわかる。しかし、酸素サイトのUisoに関して、通常の8cサイトで解析すると0.03を超え、通常の3倍となった。よってサイト分割し対称性を下げ、Uisoを低下させた。
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棟方 裕一, 大谷 将司, 金村 聖志
セッションID: 2D33
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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電極中のガス拡散性を向上させ、過電圧を低減させる方法として、電極の三次元規則配列多孔(3DOM)化を検討した。また、3DOM燃料極の表面を酸素イオン伝導性と電子伝導性を有する混合導電性酸化物(サマリアドープセリア, SDC)で被覆し、新しい三相界面を創出することで、発電特性を向上させた。作製した3DOM燃料極支持型SOFC(LSM-YSZ / YSZ / 3DOM Ni-YSZ)は、600 °Cで最大出力密度0.075 W cm
-2を示した。SDCで燃料極を被覆することで、最大出力密度は約70 %向上し、0.13 W cm
-2となった。
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諏佐 俊輔, 山下 貴之, 黒木 雄一郎, 岡元 智一郎, 高田 雅介
セッションID: 2E02
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ナノカーボン材料はその機能性から、多くの分野で実用化に向けて研究されている。しかし、実用化のためには構造の均一なナノカーボン材料の作製が必要である。我々はこれまでSiC 線材を通電加熱することで、炭素でできた繊維状物質が作製できる事を報告してきた。また、通電加熱と外部電界の印加を組み合わせることにより、繊維状物質の直径が5 nmから40 nmへと増加することを報告してきた。本研究では、外部電界の印加によって、繊維状物質の直径が増加するメカニズムを検討した結果を報告する。外部電界を印加すると、SiO(g)が除去されるため、アクティブ酸化が促進され、SiC線材におけるC(s)の生成量が増加する。このC(s)の生成量の増加が、繊維状物質の直径増加をもたらしたものと考えられる。
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塗 溶, 後藤 孝
セッションID: 2E03
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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HfB
2-SiC系の共晶組成は40HfB
2-60SiC(mol%)であり、共晶組織は幅数100 nm、長さ数μmの迷路状構造であった。55~65 mol%SiCを含む共晶系材料にも迷路状の共晶組織が広範囲に観察された。一方、20および80 mol%SiCの組成ではほとんど共晶組織がなく、多くのクラックやボイドがあった。20 mol%SiCを含む共晶系材料の硬度および破壊靭性は、それぞれ約20 GPaおよび2.6 MPa m
1/2であり、SiC含有量の上昇につれて増大し、共晶組成の60 mol%SiCにおいて極大値(H
V = 26 GPa、K
IC = 8 MPa m
1/2)を示した。
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楠瀬 尚史, 関野 徹, 安藤 陽一
セッションID: 2E04
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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出発原料としてシリカ、ホウ酸、カーボンを用い、この均一な混合物を窒素雰囲気中で800℃で熱処理することにより、ホウ珪酸ガラスが生成し、続いて1550℃で熱処理することにより、SiC-BNナノ複合粉末の合成を行った。本報告では、出発原料のカーボン量の影響について報告を行う。
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成澤 雅紀, 門 寛之, 間渕 博
セッションID: 2E05
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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広く市販されており、セラミックス化過程、粘弾性的特性についても、広くデータが蓄積されているシリコーン樹脂の一種であるポリメチルシルセスキオキサンに、アルミナのナノ粉末、およびアルミのマイクロ、ナノ粉末を添加して焼成を行い、セラミックス化過程に対する効果について調べるとともに、微細構造の観察を行なった。特に金属状態のアルミ粉末を添加した場合に1000℃以下の低温でSiCやアルミナの形成が進行し、これはアルミによるSi-O-Cガラスの還元反応に相当するものと考えられる。アルミナ添加の場合には開気孔の少ない緻密な焼成物が得られれたのに対し、アルミのマイクロ粉末を添加した場合には多孔質、ナノ粉末を添加した場合にはナノ多孔質の焼成物が得られる。
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平田 好洋, 松永 直樹, 有馬 峻, 鮫島 宗一郎
セッションID: 2E06
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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緻密なSiC焼結体を空気中1100または1300℃で1-24h酸化処理して、この上下層両面に複合材A: SiC-アルミナシートとSiC 織物、B:ムライトシートとSiC 織物、C:ムライト-アルミナシートと SiC 織物とムライトシートをそれぞれ積層させて1100-1300℃, 2-39MPa, 1-2h, Ar 中で接合させた。荷重98Nでビッカース圧痕を複合材表面に導入して、四点曲げ試験強度を測定した。SiC焼結体の酸化処理(24 h)で生成したシリカ表面層の厚さは、1100℃で0.6μm, 1300℃で1.6-1.8μmであった。複合材 A,CではSiC焼結体の表面シリカと中間層中のアルミナの反応で生成するムライトにより、SiC焼結体とSiC長繊維層を接合できた。複合材 A,Cの圧痕は表面から2層目のSiC長繊維層で進展が阻害され、高い損傷許容性を示した。接合圧力 2MPaではSiCの強度低下は小さく、圧痕導入による影響を受けないことが分かった。
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村田 裕茂, 中村 武志, 石崎 雅人
セッションID: 2E07
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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朴 二玄, 檜木 達也, 香山 晃
セッションID: 2E29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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次世代原子力エネルギーシステムにおいて高効率性・高安定性を確保するためには、高温での高性能・多機能性を持つ新たな材料の開発が必要である。特に、超高温照射環境下で用いられる機能性構造材料としてポーラスSiCセラミックスの適用が検討されている。本研究では、ポーラスSiCセラミックスの微細構造を簡潔なプロセスで制御できる製法の確立、高性能・多機能性ポーラスSiCセラミックスの作製及び強度・断熱・耐熱衝撃特性等の評価を行い、次世代原子力エネルギーシステム用機能性構造材料の開発を目的とした。
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安田 公一, 張 るい, 塩田 忠
セッションID: 2E30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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耐火物などの多孔質セラミックスでは,巨視的破壊の直前に,応力/ひずみ曲線に非線型性が現れる場合が知られている.これまで,この非線型性は,材料中に局所的な損傷が発生し,それらが累積することによって起こると定性的に理解されてきた.そこで,著者の一人は,並列モデルに対して,損傷発生に関する確率密度関数を導入して,これらの材料の構成方程式を導出した.本発表では,この理論解析の妥当性を実験的に検証することを目的とした.試料には,耐火断熱レンガを用いた.これより直方体状の試験片を切り出し,1軸圧縮荷重を負荷させながら,AEセンサーでAEの計数率も同時に測定した.その結果,応力/ひずみ曲線の非線型性から求めた損傷発生に関する確率密度関数は,AEデータと良く対応した.このことから,本理論解析の有効性を示すことができた.
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吉田 克己, シー チンチェット, 矢野 豊彦, 日向 秀樹, 北 英紀
セッションID: 2E31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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本研究では,造孔材として球状PMMAを用いてMg-Alスピネル添加ムライトの多孔体を作製し,その気孔径,気孔率及び微構造を評価した.スピネル無添加のムライト多孔体は,かさ密度1.6-1.7g/cm
3,開気孔率は46-50%であった.一方,ムライト粉末にスピネルを10mass%添加した場合,30μmの造孔剤を添加しても開気孔率は5%程度であり,ほとんど気孔は形成されなかった.粒径が60μmおよび90μmのPMMAを造孔剤として添加した場合は,開気孔率がそれぞれ21%および28%であり,スピネル無添加ムライト多孔体の開気孔率よりも小さい値となった.これはスピネル添加の有無によるムライトの焼結性の差によるものと考えられる.
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稲葉 悠介, 吉岡 朋彦, 桜井 修, 田中 順三, 篠崎 和夫
セッションID: 2E32
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ガスセンサの感度を向上させるための従来のアプローチとしては、バルクや厚膜で多孔質な構造を作製し、比表面積を増加させてガスの吸着量そのものを増加させるという手法が取られてきた。しかし私は平滑な半導性フェライト薄膜を用い、他の手法、即ち薄膜の全膜厚に対する膜表面部分の割合を増加させることによりガス吸着によって起こる抵抗変化の影響を増大させることで感度を向上させるというアプローチを試み、従来のものには及ばないまでもガスの検出が可能であることを確認した。
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堀田 翔平, 野上 正行
セッションID: 2E33
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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シリカエアロゲルは極めて低い熱伝導率と高い可視光透過率を持ち、透明断熱材への応用が期待されているが、非常に脆い性質と超臨界乾燥による高コスト化の問題から実用には至っていない。そこで、有機の柔軟性と無機の強度を兼ね備え、亜臨界や常圧乾燥によるエアロゲルの作製が可能な有機修飾シリカエアロゲルが注目されている。しかし、有機修飾シリカエアロゲルは細孔構造の制御が困難で、一般的なシリカエアロゲルと比べて可視光透過率が低い。本研究では、界面活性剤を用いて有機修飾シリカエアロゲルを作製し、界面活性剤の形成するミセルに依存した細孔構造を形成させることで、可視光透過率の向上を目指した。
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白井 孝, 東 昌輝, 加藤 丈明, 渡辺 秀夫, 藤 正督, 高橋 実
セッションID: 2F01
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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近年,ヒートアイランド現象緩和のため,植物による温熱蓄積の軽減効果を期待した建物の屋上緑化が推進されている.しかし屋上での緑化は,緑化スペースの確保という点で効率的ではあるが,建物の蓄積荷重に制限があることから,普及が十分に図られていないのが現状である.一方,窯業分野において,粘土原料を中心とした天然原料の枯渇が危惧されており,廃棄物のリサイクル利用が求められている.この様な背景から,我々は廃棄物を原料とした超軽量多孔体セラミックス建材の開発を行い,ヒートアイランド現象の緩和材としての利用について検討を行っている.本研究では,廃棄物を使用し作製した多孔質セラミックスの吸水性・保水性及び冷却効果の検証を行った.さらにヒートアイランド現象緩和効果を確認するために,当大学キャンパス内の施設棟屋上に施工、フィールドテストを行い,その環境効果について検討した.
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武田 はやみ, 浅野 智子, 橋本 忍, 本多 沢雄, 岩本 雄二, 野田 英智
セッションID: 2F02
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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日本では, 石炭灰が火力発電所から年間約800万トン排出されている. 石炭灰の90%がフライアッシュ(FA)と呼ばれる飛灰である. このFAの80%はセメント・コンクリート原料として再利用されているが, 残りの20%は埋め立て処分されている。新たなFAの再利用法として人工ゼオライトへの転換技術が開発された. しかし得られるゼオライトは微粒子の粉末状であり用途が限定されるため, ゼオライトを担持したバルク体の作製が求められている. 本研究において,フライアッシュを型枠に充填してアルカリ処理することによりゼオライトを担持したバルク硬化体を得ることができた.このバルク硬化体の物理的特性を分析した.
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荻原 俊夫, 野田 佳雅, 木村 修
セッションID: 2F03
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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石炭灰を原料とし、これに塩基性炭酸マグネシウムおよび非晶質酸化アルミニウムを加えてコーディエライト組成の出発物質を調整した。これをCIPで圧縮成形して成形体を作製した。この成形体を1100℃から1250℃で焼結し、コ-ディエライトセラミックスを作製した。すべての温度範囲でコ-ディエライト(僅かなサフィリ-ンを含む)とガラス相からなる焼結体が得られた。1150℃、2時間加熱した焼結体の相対密度が最も大きく、98%であった。また、3点曲げ強さは132MPa(n=12,σ=26),弾性率は184GPa (n=12, σ=21),ビッカース硬度は7.1GPa、破壊壊靭性値は3.0MPa・m1/2であった。いずれも、これまで報告されているものよりも大きな値を示した。 室温から400℃までの平均線膨張係数は、2.6×10-6 K-1であった。
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片山 正貴, 小林 雄一
セッションID: 2F04
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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日本における籾殻の排出量は、年間約110万tにも及ぶ。籾殻は腐敗しにくいことから堆肥として土壌に還元することが困難で、多くが焼却または埋め立て処分されているのが現状である。籾殻中にはシリカが多く含まれているため、工業材料などへの利用が研究されている。本研究では継続的に排出される植物系廃棄物籾殻を利用し、籾殻:カオリンを30:70から60:40mas%で混合して炭素-酸化物複合多孔体を調製した。得られた多孔体は低嵩密度で高吸水率となった。吸水速度測定により多孔体の吸水能及び保水能の検討を行った。
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竹内 信行, 國重 昌志, 小林 久芳
セッションID: 2F05
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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下水汚泥焼却灰の発生量は,下水道の普及に伴って年々増加し,多くの自治体では,その再資源化の取り組みがなされ,リサイクルレンガへの利用などが試みられている。本研究では,焼却灰に微量の炭素を添加してAr雰囲気で焼成することにより,軽量セラミックスの作製を試みた。焼却灰に炭素を1wt%添加し、水を適量加えて攪拌した後、乾燥し,一軸加圧成形(10 MPa)した。これを所定の温度でArガス中焼成した。焼成物の見かけ密度は焼成温度が1075 ℃以下で1 gcm
-3以下となったが,それ以上高くなると,急激に増加した。これは,1075 ℃以下では,内部で発生した気体が密封気孔となるが,1100 ℃以上では,発生した気体が表面から放出され開気孔を形成した。
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松井 久仁雄, 菊間 淳
セッションID: 2F06
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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コンクリートに代表される多孔質材料の水分由来の体積変化機構を解明する目的で、その比較材料として5nmの均一細孔から成るとされる多孔質ガラスを研究対象とて用いた。それらの微構造をSAXS,STEMおよびSEMにより解析を行った。SAXSより、約30nm付近の周期構造および約5.4nmの空隙構造の存在が推定された。さらにSTEMおよぴSEM観察により、これらSAXSで測定された構造がほぼ特定できた。これらの結果より、従来報告されている5nmの細孔は、直径約30nmの球状粒子の隙間に存在する細孔と推定された。
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亀島 欣一, 磯部 敏宏, 中島 章, 岡田 清
セッションID: 2F07
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ジルコニアゾルとスメクタイト系粘土であるモンモリロナイトの複合化について,超音波の照射効果と固体酸性の発現について調査した.ジルコニアゾル/スメクタイト複合体は,膨潤したモンモリロナイトとオキシ塩化ジルコニウム溶液の混合物に超音波照射(42 kHz)することで調製した.得られた複合体はXRD,窒素吸着法,アンモニア昇温脱離(TPD)法で分析した.いずれの複合体でも底面間隔のピークが低角側にシフトし,ジルコニアゾルの層間導入が見られた.細孔径分布ではミクロ孔だけでなく,メソ孔の生成が認められた.得られた複合体は市販品(K10)を越える固体酸量を示し,60分照射試料230mmol/gとなった.
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本橋 英一, 島 裕和, 持田 裕美, 立屋敷 久志
セッションID: 2F08
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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低コストのアスベスト処理技術の確立が求められており、CaとClとを含む融剤を用い700℃程度の低温加熱によるクリソタイル分解が知られている。今回はクリソタイルの低温分解に係わるCl添加量の影響及び無害化の評価方法について検討した。CaCO3及びCaCl2試薬による低温分解(800℃)での有効な添加量範囲を把握、CaO存在下でCaCl2の増加に伴い繊維状粒子数が減少して無害化が進行することを確認した。JIS A1481は無害化判定として十分でなく、結晶構造解析による鉱物同定と共に、繊維状粒子に着目することで非繊維化まで含めた無害化の評価が有効と考えた。
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酒井 宗寿, 河野 広希, 中島 章, 酒井 秀樹, 阿部 正彦, 藤嶋 昭
セッションID: 2F09
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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近年、低エネルギー表面に適当な凹凸構造を持たせることにより、超撥水性表面(接触角>150o)が得られるという概念は広く認知され、多くの超撥水性表面の作製事例が報告されている。これらは、Cassieモードを好適に実現することで、凹凸構造の凸部分の先端で水を支える状態(空気が噛み込む)が得られ、水と固体表面との間の粘性抵抗を著しく低減させる効果をもつ。例えば、一定の傾斜角で超撥水表面上を液滴が転落する場合、ほぼ斜面方向の重力加速度a = g・sin (g:重力加速度,:表面の傾斜角)で転落し、粘性抵抗がほとんど寄与しないことが明らかにされている。加えて、水平な超撥水性表面上に設置された液滴に、数千ボルト(AC・DC)の電界を掛けた際に、電極間を振動運動させる方法が確立されている。このような液滴の振動運動を閉鎖系の管内で実現すれば、MEMS等のマイクロポンプの駆動源として期待される。今回は、超撥水処理を施された平面上に設置された液滴を電界で運動させ、その際の内部流動と液滴の変形過程について報告する。
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矢野 秀樹, 森 秀次, 山本 徳治, 中川 晴雄
セッションID: 2F10
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
現在、絵画等の工芸美術で用いる無機系絵具の殆どは有鉛絵具であり、鉛による環境汚染や有鉛絵具の脆弱な耐ガス特性が問題となっている。それ故、絵具の改善が強く求められている。この研究では、製造方法の異なる2種類の顔料を用いて、新開発の無鉛絵画絵具用フリットと絵具製造法により、絵画用無鉛絵具を作成し、それを用いて、通常の日本画の手法により混合ガス処理評価用の描画試料を作成した。そして、それらをフロー形ガス腐食試験装置により亜硫酸ガス、二化窒素、硫化水素ガスの環境汚染混合ガスで処理して、絵画用無鉛絵具の特性変化などを検討した。その結果、殆どの絵具は混合ガス処理によって殆ど変色しないという結果であり、充分実用に耐えることが確認できた。
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松井 久仁雄, 小川 晃博, 松野 信也, 菊間 淳, 綱嶋 正通, 石川 哲史
セッションID: 2F29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ALCの主構成鉱物であるトバモライトの生成メカニズムを明らかにする目的で、放射光施設(SPring8)の高エネルギーX線を利用してその場X線回折を行った。水熱条件下での測定を可能にするため、Be窓を持つステンレス製圧力容器を製作して反応セルとした。微粉珪石、セメント、生石灰、石膏、水から成る原料を予備硬化させた硬化体を容器内部に設置して、室温から190℃および190℃での反応過程について、その場X線回折を行った。珪石、水酸化カルシウムの消費に加えて、ハイドロキシエラスタダイトの生成と消失が、トバモライトの生成に関与していることが明らかとなった。
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前田 浩孝, 石田 秀輝
セッションID: 2F30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
あるサイズのメソ孔を有する多孔体は、毛細管凝縮による水蒸気吸放出特性を有するために、壁材に用いることで室内空間の湿度制御が期待できる。毛細管凝縮を利用し、40-90 %の湿度範囲で制御するのに必要な細孔直径は、ケルビン式より算出すると3-20 nmとなる。これまでに、粘土鉱物であるカオリナイトやカオリナイトの加熱脱水により生成するメタカオリナイトを用いて水熱処理により、3-20 nmのブロードな細孔径分布を有する多孔体の作製を報告した。本研究では、粘土鉱物より作製したメソ多孔体の水蒸気吸着特性について検討した。Langmuir式より算出される水蒸気とサンプルの結合エネルギーに関連する定数や水蒸気の吸着サイトの数が、メソ多孔体の水蒸気吸着量に影響を及ぼすことが示唆された。
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阿部 一貴, 前田 浩孝, 石田 秀輝
セッションID: 2F31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
これまでに層状構造を有する粘土鉱物(バーミキュライト)が有害ガスの分解能を有する事が報告されている。当研究室では層状構造を有するケイ酸カルシウムであるトバモライト(Ca
5(Si
6O
18H
2)・4H
2O )について、層間付近で生じるSiとAlの同形置換を利用し、有害ガスの吸着性能を向上させる事を検討している。水熱合成は溶解析出機構により反応が進むため、反応性の異なる材料の添加は反応生成物に影響を及ぼすと考えられる。そこで本研究ではAl置換トバモライトを合成するため、CaO-SiO
2-H
2OにAl源として、結晶相の異なる2種類のAl
2O
3 (α- Al
2O
3, γ - Al
2O
3)を添加し水熱合成を行った。
生成物の量や構造に違いは見られるが、α型, γ型どちらのAl
2O
3を用いてもAl置換トバモライトの合成が可能である事が明らかとなった。
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冨田 崇弘, 川崎 真司, 岡田 清
セッションID: 2F32F
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
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吉見 拓人, 田中 雄也, 杉山 奈未, 竹岡 裕子, 陸川 政弘, 相澤 守
セッションID: 2G01
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
整形外科領域では、水酸アパタイト(HAp)セラミックスが骨補填として臨床応用されている。しかしながら、緻密なHApセラミックスは生体骨(皮質骨)と比較して、ヤング率が高く、破壊靭性値が低いといった力学的な差異が認められる。そこで、我々は生体骨と力学的にミスマッチのない新しい人工骨の開発を目的として、HAp/ポリL-乳酸(PLLA)ハイブリッドの創製を行っている。これまでに、均一沈殿法で合成したアパタイトファイバー(AF)から約150 μmのマクロ気孔と1-5 μmのミクロ気孔による二極化した細孔構造をもつHAp多孔体を作製し、このHAp多孔体に酵素重合法を用いてPLLAを導入することで多孔体の脆弱な力学強度を改善させた「HAp/PLLAハイブリッド」を開発している。本研究では、得られたハイブリッドの生体適合性を株化骨芽細胞MC3T3-E1を用いてin vitro系で評価したので報告する。
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小幡 亜希子, 春日 敏宏, 太田 義夫, 脇田 剛誌
セッションID: 2G02
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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当研究室では、GBR法にて使用する膜材(GBR膜)としての応用を目的とした生体吸収性膜材料の開発を試みている。これまでに、生分解性ポリマーであるポリ乳酸と炭酸カルシウムの多形の一つであるバテライトを用いて作製した複合体について検討してきた。バテライト粉末にアミノプロピルトリエトキシシランを導入することで、骨形成性細胞の活性化に有効であるシリコンの徐放能を複合体に付与させたり、エレクトロスピニング法を用いることで不織布型の多孔性膜材を作製することに成功している。また、PLA単体膜と複合化させた二層膜構造が有効であることも最近見出した。本研究では、作製した各不織布型材料について細胞培養実験および動物埋植実験により生体親和性評価を試みた。
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菊池 正紀, 小山 富久, 高久田 和夫, 枝村 一弥, 田中 茂男
セッションID: 2G03
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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我々はこれまで、骨類似のナノ構造と化学組成を持った水酸アパタイト/コラーゲンナノ複合体(以下HAp/Col)を合成し、これが骨リモデリングプロセスに取り込まれて自家骨に置換することなどを明らかにしてきた。本研究では、波板状に成形したHAp/Col膜の片面にペースト状のHAp/Colを充填した後に巻き上げることで、連通性を維持したまま気孔率を下げた多孔体を作成し、イヌ脛骨離断骨欠損モデルにより検討した。脛骨レントゲン観察の結果、埋入四週間後においては、気孔が半分に減ったにもかかわらず十分な骨新生が確認された。また、材料の変形も前回のものに比べ小さく、より安定した骨再生場を提供し得ると考えられた。
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赤澤 敏之, 村田 勝, 田崎 純一, 中村 勝男, 吉成 哲, 板橋 孝至, 大森 哲也, 山近 秀和, 高畑 雅彦, 岩崎 倫政, 三波 ...
セッションID: 2G04
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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動物骨の高度利用と機能設計を目的として、生体骨粉砕処理装置を用いた動物骨粉砕顆粒を作製し、完全脱灰骨顆粒の骨誘導性を検討した。12000rpm、1minで高速回転粉砕したウシ大腿骨顆粒では、SUS420J2容器はZrO2容器に比べ粉砕効率が高く金属摩耗粉の混入は極めて微量であった。SUS420J2容器を用いた生体骨粉砕処理装置は、動物骨の種類と部位に関係なく、表面有機質を除去し充填サイズと量を選定する操作により、短時間の高速粉砕が可能であった。ウシとブタ骨の粉砕、完全脱灰顆粒をヌ-ドマウスの背部皮下組織内に埋入した標本では、材料の感染や排除はみられず、軟骨・骨誘導が確認された。これらの脱灰骨顆粒は骨再生医療に有効な吸収性・骨誘導性材料であることが示唆された。
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川下 将一, 松井 真子, 李 志霞, 宮崎 敏樹, 荒木 則雄, 光森 通英, 平岡 眞寛
セッションID: 2G05
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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直径20~30 µmのY2O3微小球は、熱中性子線照射によりβ線放射体となるので、カテーテルを用いて腫瘍のごく近傍の毛細血管に送り込み、そこからがんを直接放射線照射して治療する材料として有用である。しかし、上記Y2O3微小球は大きな比重を有するので、体内注入時に均質な懸濁液を得ることが難しく、しかも微小球が患者の背側の血管に溜まる恐れがある。先に演者らは、尿素の加水分解反応を用いれば、表面が緻密で内部がハニカム構造のY2O3微小球が得られることを示したが、テンプレートに用いる多糖類水溶液の粘度が高く、微小球を得ることは容易ではなかった。一方、アルギン酸塩は多価の陽イオンを含む水溶液中に滴下すると容易にゲル化することが知られている。そこで本研究では、イットリウム(Y3+)イオンを含む水溶液中でアルギン酸塩をゲル化させ、これを加熱処理して除去する手法により、多孔性Y2O3粒子を得ることを試みた。
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平澤 英之, 佐々木 裕臣, 青野 宏通, 猶原 隆, 前原 常弘, 渡部 祐司, 佐藤 充則
セッションID: 2G06
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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最近、誘導加熱の原理を利用し、生体内に投与した磁性材料を発熱させることで癌腫瘍を壊死させる新しい治療法が提案されている。生体内に投与する発熱材料として粉末微粒子材料を用いる場合、粒子・結晶子のサイズが発熱特性に強く影響を及ぼすということが知られている。 本研究は、MgFe2O4をビーズミル粉砕・再焼成を行うことにより様々な結晶子径・粒子径のフェライト微粒子を作製し、その発熱特性について報告するものである。最も高い発熱を示したのは6.2nmまで粉砕を行ったMgFe2O4であったが、これを再度焼成することにより発熱特性はさらに向上した。
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宮崎 敏樹, 宮岡 彰, 石田 英一, 川下 将一, 平岡 真寛
セッションID: 2G07
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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マグネタイトなどの強磁性セラミックスをがんの腫瘍部付近に埋入し,外部からの交流磁場照射により患部を加温する温熱治療が低侵襲のがん治療法として注目されている。温熱種となる強磁性体を粒径20~30 µmの中空微小球(マイクロカプセル)にしておけば,がん細胞への栄養補給を遮断する効果も期待でき,しかも血管内で滞留し難く腫瘍部に到達しやすくなる。ただし,最適な粒径の強磁性マイクロカプセルを多量に得る方法を見出した報告は少ない。本研究では,水相が油相に分散したエマルションからの水酸化鉄の析出反応を利用してマグネタイトからなるマイクロカプセルを作製するとともに,粒径20~30 µmの粒子が得られる条件を追究することを目的とした。界面活性剤濃度や回転数を変化させてエマルションに分散する水相の径を制御することで,がん温熱治療に適した大きさを有する強磁性マイクロカプセルが多量に得られることが分かった。
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吉久 甫, 江本 精, 相澤 守
セッションID: 2G08
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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我々は生体吸収性リン酸カルシウム粒子のドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用を目指し、超音波噴霧熱分解法を用いて、-リン酸三カルシウム(-TCP)およびカルシウム欠損アパタイト(Ca-deficient HAp)の二相からなる中空微小球を合成した[1]。このリン酸カルシウム微小球に血管新生抑制剤(TNP-470)を担持させ、これを癌化させたヌードマウスの腫瘍近傍に皮下注射したところ、優れた抗腫瘍効果を示した[2]。しかしながら、この微小球はヌードマウスの皮下組織に残留するという問題があった。そこで、本研究では、生体内で吸収されやすく、さらに効率良く薬剤を担持および徐放できる微小球の合成を目的とし、微小球表面に微細な気孔を形成させるプロセスを検討した。
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鈴木 茂樹
セッションID: 2G09F
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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鈴木 市朗, 川井 貴裕, 鵜沼 英郎
セッションID: 2G29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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バインダーとして小麦澱粉を含有させ、術前に混合操作を必要としない新しい骨ペーストの作製を試みた。
DCPAとTTCPの粉末を等モル混合し、CP混合粉末を得た。次に市販の小麦澱粉粉末を水と混合し、加熱することで粘性を示す澱粉溶液を得た。CP混合粉末とこの澱粉溶液を混練し澱粉含有CP ペーストを調製した。この澱粉含有CPペーストをTris-NaCl緩衝溶液(TRS) もしくは擬似体液(SBF)に浸漬し、37°Cで3日間保持した。溶液に浸漬前後の試料についてXRD及びSEMによりその構造を解析した。
試料のXRD回折パターンから浸漬前はHApに転化せず、TRS浸漬後および、SBF
に浸漬後にHAp に転化することが確認された。析出物の形態は骨類似アパタイトのそれに類似していることがわかった。
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板谷 清司, 高野澤 由樹, 梅田 智広, Davis Ian J, 幸田 清一郎
セッションID: 2G30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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本研究では,多孔質α-オルトリン酸カルシウム(α-Ca3(PO4)2; α-TCP)球状粒子をCPPに添加し,さらにシクロデキストリン(CyD;β型)を加えて,新規リン酸カルシウム硬化体の作製を試みるとともに,得られた材料の諸性質を評価した。多孔質-TCPは0.9 mol·dm-3 Ca(NO3)2,0.6 mol·dm-3 (NH4)2HPO4,0.1 mass% コロイダルシリカの酸性水溶液(Ca/P = 1.5)を600ºCで噴霧熱分解したのち,この粉体を1200ºCで10 min熱処理して得た。硬化体は30 mass% α-TCP粒子とCyDとをCPPに添加して作製した。CyDのCPPへの添加は液剤への添加と,粉剤への添加の2通りで行った。各方法でCyDをCPPに添加し,15 min以内の条件で硬化時間を測定したところ,30 mass%α-TCPを添加したCPPに対して,CyDを粉剤中に8.33 mass%,また液剤中に0.56 mass%添加できることが分かった。
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藤井 拓也, 藤野 匡敏, 水本 みのり, 佐藤 静磨, 織部 一弥, 相澤 守
セッションID: 2G31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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現在、我々は新しい硬化メカニズムを備えた骨修復セメントの開発を目的とし、水酸アパタイト(HAp)の表面をイノシトールリン酸(IP6)で表面修飾し、そのIP6のキレート能により硬化する「キレート硬化型アパタイトセメント」(IP6-HApセメント)の作製に成功している。一方、生体骨中のアパタイトはNaやMg, 炭酸などの種々のイオンを含んでおり、非常に多くの欠陥を包含している。骨欠損部の補填に自家骨が利用されるが、自家骨と合成したアパタイトとを比べると、自家骨の方が確実な骨癒合が生じ、臨床的な成績が良い。そこで、本研究では、IP6-HApセメントの特性向上を目的として、出発粉体をPure HApから骨ミネラル含有アパタイト(Bone HAp)に換えてキレート硬化型セメントを作製し、その材料特性を評価した。
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菊島 光一, 織部 一弥, 相澤 守
セッションID: 2G32
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2:HAp)は骨欠損部の修復やその代替材料として最もよく利用されている材料である。我々は従来の硬化メカニズムとは全く異なる単一成分で硬化する「キレート硬化型アパタイトセメント」を開発し、今までにこのアパタイトセメントの高強度化についても取り組んできた[1]。そこで、本研究では、ボールミルで機械粉砕した水酸アパタイト粉体を原料とする「高強度化キレート硬化型骨修復セメント」の生体内での強度変化を理解することを目的として、生体擬似体液(SBF)にセメント試料片を浸漬し、浸漬前後の圧縮強度の経時的変化および溶解析出挙動を調査した。
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上川 直文, 松本 貴彬, 小島 隆, 掛川 一幸
セッションID: 2H05
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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本研究では代表的な蛍光発行体でありバイオマーカーなどへの応用が期待されている硫化亜鉛(ZnS)ナノ粒子の新しい液相合成法について検討を行った。水溶液中で合成したZnSのゲル状沈殿をエチレングリコール溶液中で解膠する非常に簡便な手法によるZnSナノ粒子の安定な分散ゾルの調製法とその分散メカニズムについて検討を行った。水溶液中で硝酸亜鉛と硫化ナトリウムの沈殿により調製したZnSのゲル状沈殿をエチレングリコールに分散し55℃以上の温度で24h静置することにより非常に安定なZnSナノ粒子分散ゾルを得ることができた。また、静置温度により粒径の制御が可能であることが明らかとなった。
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松本 研司, 齋藤 紀子, 大橋 直樹, 坂口 勲, 稲田 幹, 北條 純一, 羽田 肇
セッションID: 2H06
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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溶液法由来の酸化亜鉛(ZnO)では、ナノワイヤ、ナノプレート、ナノチューブ、球状等、様々な特異な形態のものが得られ、触媒やセンサ材料としての応用が期待されている。一方、微球状粒子を使用することで、強いレーザー発振が得られることが報告されている。我々は、この球状粒子に着目し、均一沈殿法により球状粒子を得ることを試みた。今回、出発物質として酢酸亜鉛、沈殿剤としてヘキサメチレンテトラミン(HMTA)を用いることで、水-エチレングリコール系溶液中に球状粒子を析出させることができた。ここでは、合成条件と粒子形態との関係、球状粒子のキャラクタリゼーションについて報告する。
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平野 敬祐, 神谷 秀博, 飯島 志行
セッションID: 2H07
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を充填した樹脂材料は、量子サイズ効果に基づく発光波長制御が可能であるため新規な有機無機複合材料として着目されている。このようなZnOナノ粒子の合成方法としてゾル-ゲル法、高沸点の長鎖脂肪族カルボン酸中での熱分解法や水熱合成法などが報告されているが、いずれも樹脂との親和性を考慮した粒子設計がなされていないのが現状である。本研究では、反応促進剤、表面修飾剤および粒子径制御剤として粒子合成時にシランアルコキシドを介在させる新規な手法により、樹脂中に易分散可能なZnOナノ粒子の調製を検討する。
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景山 宏之, 今井 宏明, 竹澤 洋子, 鈴木 利昌
セッションID: 2H08
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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プロセスの簡略化や微小で単分散な粒子作製を目標とし,NaOH水溶液の強塩基性条件の下,室温から60度という低温でのBaTiO
3の水溶液合成を行い,粒子径及び結晶形態の評価と反応機構の解明を試みた.Ti源にアナターゼ微粒子を用いた場合,室温でもNaOH濃度が2.9M以上の極めて強い塩基性条件でBaTiO
3結晶が成長することが確認された.反応性が高い準安定相のTiO
2微粒子表面では,強塩基性条件およびBa
2+存在下でチタン酸イオンが溶解してBaTiO
3結晶として再析出すると考えられる.また生成物の粒径はBa/Tiモル比およびBa
2+濃度が高いほど小さくなった.
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河村 剛, 野上 正行, 楊 勇
セッションID: 2H09
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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金[metal]と金[III]の均等化反応を利用した,多様な形状を有した金ナノ粒子の液相合成法に関する研究成果を報告する.全ての粒子は,核となる粒径4nm以下の金粒子を,金イオンを多く含んだ溶液に添加した後,還元剤であるアスコルビン酸を加えることで作製した.核粒子の粒径が比較的大きい場合には,核粒子の形状を反映した粒子に成長し,核粒子のサイズが小さい場合には,生成する粒子の表面が凸凹になる傾向があり,粒径が2nm以下になると粒子はマルチ枝分かれ形状になることがわかった.核粒子のサイズを金の均等化反応により制御することで,種々の形状を有した金ナノ粒子を収率良く作り分ける手法を見出した.
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高橋 祐樹, 浅野 一治, 西尾 圭史, 柳橋 由貴子, 青島 冬治, 木練 透
セッションID: 2H10
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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近年、ナノ微粒子を液晶へ添加することにより液晶ディスプレイの駆動電圧を低下させ応答速度を速める効果があるという報告がなされている。しかし、この効果が何に起因して生じるのかというメカニズムは解明されていない。そこで、本研究では液晶材料に添加する酸化物ナノ微粒子の誘電率が駆動電圧や応答速度に及ぼす影響を検討するために、誘電率の異なる3種類の金属酸化物ナノ微粒子(BaTiO
3、TiO
2Rutile、TiO
2 Anatase)を合成し、実用液晶に分散させその電気光学特性を評価することで、メカニズムの考察を行った。各微粒子を液晶へ添加した結果、いずれの試料も低電圧・高速駆動化に成功したが、粒子の誘電率と液晶の特性との相関性は得られなかった。
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南舘 正宙, 殷 シュウ, 佐藤 次雄
セッションID: 2H29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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セリア(CeO2)粒子は高温での高い安定性、高硬度、酸素吸蔵能、優れたUV吸収特性を持ち関心が集まっている。また、現在無機系紫外線遮蔽材として、セリアの他には酸化亜鉛、酸化チタンが用いられているが、これらと比べセリアはバンドギャップが狭いためより広い範囲の波長の紫外線の除去が期待できる。セリアはホタル石型の立方晶構造をとるため、形態制御が困難である。また、溶液プロセスはスケールアップが容易なことから工業的利用が期待できる。本研究では、溶液プロセスを用い前駆体として形態制御が比較的容易な六方晶Ce2(CO3)3・8H2Oを生成させ、その形態を転写することでセリア粒子の形態制御を試みた。
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太田 琢磨, 手嶋 勝弥, 李 先炯, 水野 祐介, 鈴木 孝臣, 湯葢 邦夫, 宍戸 統悦, 陶山 博司, 横石 章司, 大石 修治
セッションID: 2H30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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六方晶LiCoO
2層状化合物は,リチウムイオン二次電池の正極材料として広く利用されている。その電気化学特性を向上するためには,形状および粒径のそろった比較的小さな結晶を作製することが重要である。本研究では,NaClフラックス冷却法にて,高品質な六方晶LiCoO
2結晶を育成した。所定の割合で乾式混合した出発原料を白金るつぼに充填し,所定の温度プログラムにて加熱,冷却することで結晶を育成した。本研究ではLiCoO
2が単一で生成し,自形の発達した,比較的粒径が均一な結晶であることがわかった。また,TEM観察から,欠陥のない高品質な結晶であることも確認した。
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山川 千尋, 伊藤 滋, 藤本 憲次郎
セッションID: 2H31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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静電噴霧熱分解法を用いて、ホーランダイト構造を有する微粒子の作成を検討した。出発原料にKOH、Ga(NO
3)
3・nH
2Oおよび分子プレカーサー法で作製された4wt%Ti金属溶液を用い、混合有機溶媒により所定濃度に調整した。モル比K:Ga:Ti=1.6:1.6:6.4となるように混合したものを静電噴霧法により粉末として堆積させ、TG-DTAおよび粉末X線回折測定をしたところ、600℃以上で結晶化し、一部副生成物を含むもののホーランダイト構造を有する微粒子が得られることを確認した。なお、SEMおよび粉末X線回折パターンからの粒子サイズを確認したところ、20~30nmのアスペクト比の低い粒子であり、今後の触媒特性評価が期待できる結果となった。
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