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胡 秀ラン, 増田 佳丈, 大司 達樹, 加藤 一実
セッションID: 1H34
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
フリー
有機ポリエチレンイミンを用いて水溶液中にZnO膜の形態を制御した。添加したポリエチレンイミンを溶液中で選択的に極性なしのZnO結晶面に強く吸着するため、(0001)面が高い成長速度を示し、先端がとがったウィスカー形態である多孔な膜を制御することを示した。ポリエチレンイミンを添加していない場合は、直径約860nm六角形であるロードの緻密なZnO薄膜が生成させた。高感度環境センサーの応用として、レーザーを用いて測定結果により、ZnOウィスカー電極が非常に優れた特性を示した。ZnO ウィスカー薄膜は弱い光源で使用可能になることが明らかにした。
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坂元 尚紀, 松山 友樹, 堀 雅仁, 脇谷 尚樹, 鈴木 久男
セッションID: 1H35
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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12CaO・7Al2O3(C12A7)は格子内に包接された酸素イオンをH-, e- などで置換することにより、高い導電性など、様々な特長をもつ状態に転化出来ることが報告されている。
C12A7薄膜作製に関する報告としては、PLD法による作製例があるが、大面積成膜が可能であり装置コストが低減できるなど、実用的に大変有効である溶液法による作製例はほとんど報告がない。本研究では、化学溶液法によりC12A7薄膜を作製することを目的とした。
C12A7前駆体溶液を乾燥・焼成して得られた粉末試料は、C12A7相であることが確認された。同じ前駆体溶液を用いてMgO(100)基板上に成膜された薄膜は、C12A7多結晶膜であることがXRDパターンより確認された。
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吉田 正尚
セッションID: 1H36
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性であり、後加工による着色等の表面修飾が困難な材料である。しかし、シラン系結合剤と微粒子を含んだ液相中でPO基材を浸漬し微粒子を固定する手法によりPO基材を傷めること無くタングステン(W)微粒子を強固に固定することができる。その表面修飾の機構を考察するためにPO基材の表面状態とシラン系結合剤の分子構造が微粒子固定に与える影響を調べた。基材表面のSPM分析を行うとW微粒子が固定可能であるPO基材表面には板状結晶やラメラ構造が観察された。一方、一度熱処理したり顔料等を含んでいるとPO基材表面には高分子の整列は観察されなかった。この事からPE高分子が整列していないと固定される足場が無いためW微粒子が固定困難になると思われた。また結合剤分子の末端が基材組成と同じCH基を有する結合剤分子がW微粒子を多く固定できた。しかしW微粒子が固定可能なPO基材でも表面にスパッタ装置でAuコートを施すとW微粒子は全く固定出来なくなった。この結果から結合剤分子の末端基とPO基材とのCH基の疎水基相互作用によりW微粒子が固定されることが示唆された。
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五島 佑治, 藤本 憲次郎, 伊藤 滋
セッションID: 1I19
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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我々は、カプセルHIP法を用いて高圧条件で反応させることにより、オキソ酸が低温で結晶化することに着目してきた。これは、高圧条件では、OH基が比較的低温での固体間の反応に対して促進作用を持つためと考える。本研究ではこのようなOH基の効果を応用し、LiCoO
2の低温合成を試みた。CoOOHとLiOHを混合し、カプセル(SUS304)に入れて100~600℃、1 hの条件で200 MPaのHIP圧をかけた。100℃ではHT-LiCoO
2とLT-LiCoO
2と未反応のCoOOHが含まれていた。200℃ではHT-LiCoO
2の単一相が得られた。しかし、結晶性は低かった。300~600℃では結晶性の良いHT-LiCoO
2が得られたが、不純物であるCoOが含まれていた。得られた試料を用いて、リチウム二次電池正極活物質としての電池特性を評価した。
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勝又 哲裕, 鈴木 峻平, 稲熊 宜之
セッションID: 1I20
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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ポリフッ化ビニリデンの分解を利用して常圧下での新規ペロフスカイト型酸フッ化物BaInO
2Fの合成をおこなった。BaInO
2Fは立方晶ペロフスカイト型構造を有し、陰イオンの秩序配列に伴う超格子などは観察されなかった。このことからこの化合物におけるフッ化物イオン、酸化物イオンは、陰イオンサイトにランダムに分布していると考えられる。反応前駆体であるBa
2In
2O
5では酸素欠損が秩序配列した構造であることから、フッ化処理中に陰イオンが再配列していると予想される。
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小澤 隆弘, 恩田 歩武, 柳澤 和道
セッションID: 1I21
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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市販試薬のBaCO
3およびルチル型のTiO
2を用い,水蒸気雰囲気下での固相反応によってチタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末を合成した.BaTiO
3の生成速度は水蒸気によって加速されるとともに,空気中で得られたものと同等の粒子径を有するBaTiO
3粉末が水蒸気雰囲気下では,より低温かつ短時間で得られた.生成反応は拡散を律速反応と仮定したJander式に従うことがわかった.空気中および水蒸気雰囲気下でのBaTiO
3の生成における見かけの活性化エネルギーは,それぞれ354.9 kJ/mol,124.5 kJ/molであった.水蒸気がTiO
2のTi-O-Ti結合を攻撃したことでBaTiO
3の生成が加速されたものと考えられる.
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石田 泰裕, 柿本 健一, 小川 傑稔
セッションID: 1I22
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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溶融塩法はセラミックス粒子の形状やサイズを比較的容易に制御できる手法の一つである。しかし、溶融塩法には目的粒子に対する最適な溶融塩の種類および実験条件が一義的に決定されていないという問題点があり、経験則を元にして実験を進めているのが現状である。本研究では、結晶構造の異方性が大きいRuddlesden-Popper型構造を持つSr
3Ti
2O
7をモデル材料として用いて、溶融塩法を実施する際に観測される反応速度変化から粒成長メカニズムを考察した。
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北條 純一, 福永 豊, 稲田 幹, 榎本 尚也
セッションID: 1I23
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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白色LEDのためのCa-α-SiAlON:Eu蛍光体をSi-Al-Ca-Eu-O前駆体の炭素還元窒化により合成し、蛍光特性を調査した。生成粉体は炭素源によって見かけの色が異なっていた。炭素源にフルクトースあるいはフェノール樹脂を用いた場合、蛍光体の色は黒っぽく、蛍光の発光強度は低かった。一方、炭素源に活性炭を用いた場合、蛍光粉体はわずかに黒い程度であり、蛍光特性も良い結果が得られた。炭素源の還元能力に加えて、前駆体と炭素源の混合状態が重要であると考えられる。
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武藤 浩行, 三谷 明洋, 大幸 裕介, 片桐 清文, 松田 厚範, 逆井 基次
セッションID: 1I25
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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静電吸着力を利用することで、形態を制御した原料複合粉末(集積複合粒
子)を調整し、これを用いて焼結体の微構造をナノデザインする手
法について検討を行った。
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小島 隆, 渡辺 拓弥, 野呂 俊平, 上川 直文, 掛川 一幸
セッションID: 1I26
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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本研究では、セリア安定化正方晶ジルコニア多結晶体(Ce-TZP)マトリックス中へのBaフェライトのin-situ複合化を行い、第二相としてのBaフェライトの原料粒子の形態、反応性が、コンポジットの微構造に与える影響を調べた。炭酸バリウムとヘマタイト粒子の混合粉末または共沈法により調製したアモルファス粉末を原料に用いてコンポジットの作製を試みたところ、非常に微細なヘマタイト粒子や、アモルファス粉末を原料に用いた場合には第二相が粗大化する傾向にあった。それに対し、粒径が均一なヘマタイト粒子を原料に用いた場合は、その平均粒径が大きな場合でも、生成する第二相の粒径は均一で、比較的小粒径であった。
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吉兼 健太, 杉山 真知子, 大石 克嘉
セッションID: 1I27
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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2006年、秋光氏らによって金属間化合物M7Re13X(M = Mo or W, X = B or C)がアーク溶融法により合成され、これらの化合物すべてに超伝導転移が発現することが報告された。M7Re13X(M = Mo or W, X = B or C)の合成はこれまでアーク溶融法による方法しか報告されていないため、我々はこの化合物の中でもMo7Re13Cの固相法による合成実現を目指した。この結果、混合粉砕には遊星ボールミルを用い、焼結の際は成型したペレットを炭素中に埋めて1750℃、2時間保持、Ar雰囲気中で焼結を行うことでMo7Re13Cを得ることができた。
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西本 博宣, 小野木 伯薫, 中平 敦
セッションID: 1I28
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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界面活性剤を鋳型として用いて合成されるメソポーラス材料は、大比表面積、均一
な規則性細孔、細孔径をメソスケール(2-50 nm)で制御可能などの特徴を持つことから触
媒や吸着剤として注目されている。メソポーラス材料に触媒作用を有する金属を添加さ
せて優れた触媒活性や新規機能性を持つ触媒材料の研究が行われている。本研究ではセ
ラミックス粒子の簡便な合成手法の一つである超音波噴霧熱分解法(Ultra Sonic Pyrolysis
System:USPS)を用いて均一なメソポーラス構造を有したNi 含有メソポーラス材料の合
成を試みた。超音波噴霧熱分解法を用いることにより、Ni を含有し、かつ高い表面積を
保持したメソポーラスシリカ球状粒子の合成が可能となり、優れた機能性を有した材料
の合成が期待できる。
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申 ウソク, 申 仁花, 伊豆 典哉, 松原 一郎
セッションID: 1I29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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セリアナノ粒子の析出場に表面修飾剤となるポリマーを共存させる手法を開発し、この合成プロセスで得られた、粒度分布が狭く、溶液への分散性に優れたコアシェル型セリア/ポリマーハイブリンドナノ粒子を分散させた分散液を用いたインクジェット塗布実験を行った。
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岩澤 順一
セッションID: 1I30A
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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近年、半導体デバイスのスループットを向上させる目的で、プラズマエッチング装置には高速エッチングが可能な高密度プラズマが使用されている。そのため、プラズマエッチング装置内に搭載されているさまざまな部材は、より過酷な環境に曝されており、これら部材には優れた耐プラズマ性が要求される。しかしながら、石英やアルミナ焼結体などの従来材料は、腐食性ガスプラズマに曝されると侵食が激しく腐食の進行に伴いパーティクルが発生する。そのため、部材の交換頻度が高くなりスループットを低下させるだけでなく、半導体デバイスの性能や信頼性が損なわれ易いという問題があった。最近、従来材料よりも耐プラズマ性に優れる材料としてイットリアが注目されているが、イットリア焼結体や溶射膜には、ミクロンオーダーのポアや亀裂が残存しており、それらを起点に腐食が進行することが推測される。一方、エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜は、ポアがなく緻密な構造を有しており優れた耐プラズマ性を発揮することが期待される。
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西浦 聖太郎, 田部 勢津久, 藤岡 加奈, 藤本 靖, 中塚 正大
セッションID: 1K17
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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現在,白色LEDにおいて,LEDチップおよび蛍光体を封止する有機樹脂の熱劣化およびそれに伴う強度低下や変色などの問題がある.我々は,『LEDチップの保護』および『発光波長変換』の二つの機能を担うことのできる材料として,希土類含有透光性セラミックスに注目した.透光性セラミックスの組成として,Ce : YAGを選び,共沈法によって材料粉末を合成後,焼結した.透過率は,800 nmにおいて80 %を示した.青色LEDと組み合わせたときの色度座標は,厚さの増加に伴って青色領域から白色領域付近を通り,黄色領域まで変化した.また,試料の青色LEDを励起光とした光源効率の測定において,73.5 lm/Wを示した.
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戸田 彩乃, 石垣 雅, 上松 和義, 戸田 健司, 佐藤 峰夫
セッションID: 1K18
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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一般的に無機蛍光体の合成には、通常のセラミックス材料と同様に熱処理が必要である。今回、我々は母体が発光する結晶性のRbVO3蛍光体を室温での固相反応によって合成することに成功した。
室温で合成した結晶性RbVO3は強い蛍光を示す。近紫外線の励起で、視感度の高い緑領域に中心を持つ白色発光を示す。この性質から近紫外LEDにより励起される次世代の白色LED用蛍光体としての利用が期待される。
また、室温で結晶化することから、プラスチック基板等にコーティングした薄膜蛍光体を原料スラリーの塗布という簡単なプロセスにより実現できる。そのため、フレキシブル照明や太陽電池用波長変換膜としての応用も可能である。
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石垣 雅, 関 聡美, 上松 和義, 戸田 健司, 佐藤 峰夫
セッションID: 1K19
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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リン酸塩蛍光体は、比較的に強い共有結合性と連結した構造に基づき結晶場が強く、蛍光体母体として多色発光、高い耐久性と発光効率が期待できる。これらの特徴から、リン酸塩蛍光体は白色LED用蛍光体として非常に興味深い。そこで、本研究では、アルカリ金属およびアルカリ土類を含むリン酸塩を母体とする化合物にEuを付活した新規な蛍光体の探索を行なった。
Rb2CaP2O7:Eu2+の組成を持つ新規な蛍光体材料が見いだされた。近紫外領域に励起バンドを持ち、赤色に近い領域で発光を示す。幅広い発光波長を示すことから、近紫外LEDと組み合わせた照明用白色LED用の蛍光体に適している。
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渡邉 展, 木島 直人
セッションID: 1K20
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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赤色蛍光体Sr
xCa
1-xAlSiN
3:Eu(SCASN)は高い発光効率、優れた温度特性を有し、青色-近紫外LEDを励起光源とする白色LED向け蛍光体として有望である。AEとしてSrを主成分として含むAEAlSiの特異な窒化挙動に関して検討を行った。SrをAEの主成分とするAEAlSiは、その融点において急激な窒化反応を起こした。融点におけるSr含有AEAlSiの急激な窒化は粒子表面の窒化皮膜がSrの揮発により破壊され、拡散抵抗が急激に減少する結果生じたものと推測される。この現象を利用してAEAlSiの高効率な均一窒化が可能となった。
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藤巻 洋介, 森戸 春彦, 山田 高広, 山根 久典, 上田 恭太, 下岡 智, 木島 直人
セッションID: 1K21
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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CaAlSiN3と同型構造を有する3元系窒化物NaSi2N3を、NaとSiを原料としN2ガスとの反応で合成するための条件を明らかにした。また、EuをドープしたNaSi2N3:Eu2+を作製し、その発光特性を調べた。NaSi2N3:Eu2+の発光ピークはEu2+に特徴的なブロードなもので640 nmに最大強度がみられ、励起波長は440 nmであった。640 nmの発光強度はEu濃度xとともに増大し、Euの固容限付近で最大となった。
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小松 啓志, 中村 淳, 大塩 茂夫, 南部 信義, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
セッションID: 1K22
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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スプレードライ混合法により調製したEDTA錯体由来のSr-Al-O:Eu
2+系蛍光体仮焼粉体を単結晶MgO基板上に塗布し、水素還元雰囲気下で高温焼成処理して得られる蛍光体についての共賦活剤無しでの残光性能の有無を調査した。XRDの結果から、SrAl
2O
4とみられる回折ピークが確認され、他に同定できない多数の回折ピークがみられた。460 nm、510 nmの2種類の発光ピークを示し、510 nmの発光は約2秒程度で急激に発光強度が減衰した後、 数十秒間の残光を示した。本蛍光体は基板からの元素拡散によってSr-Al-O:Eu
2+系結晶系が歪み、多量の結晶欠陥が生じ、残光が確認されたと考えられる。
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土田 真也, 小松 啓志, 中村 淳, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 南部 信義, 齋藤 秀俊
セッションID: 1K23
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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青紫色蛍光体Sr-Al-O:Eu
2+を合成する手法として、金属組成比をSr:Al:Eu=6.86:12.00:0.14に調製したエチレンジアミン四酢酸金属錯体(Sr, Al, Eu)-EDTA溶液(SAE-EDTA sol.)を噴霧乾燥混合法し、その粉体を多結晶Al
2O
3基板上に塗布し還元処理処理して作製した蛍光体で発光相分布の処理温度依存性を調査した。カソードルミネッセンス像より発光部位が多結晶Al
2O
3基板内部に拡散し、発光相を形成していることが確認された。
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仲田 有佳, 岸 哲生, 安盛 敦雄
セッションID: 1K24
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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発光中心としてCeを添加したガラスは、その蛍光強度を制御することで、書き換え可能な大容量光メモリ用材料として使用できる可能性がある。本研究では、熱的・化学的耐久性が高いNa
2O-CaO-B
2O
3-Al
2O
3-SiO
2系ガラスをホスト材料とし、Ceをドープしたガラスの蛍光特性に対して紫外光照射および熱処理が与える影響を調査した。作製したガラスはCe
3+による青色蛍光を示し、その発光強度は紫外光照射により減少した。また、発光減少率はガラス組成に応じて変化した。紫外線照射後のガラスを熱処理することで、そのスペクトル形状と発光強度は、照射前と同等まで回復した。これらの発光強度の変化は、Ceイオンとガラス網目構造間の電子移動によるものであることが示唆された。
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宮明 杏実, 鱒渕 友治, 本橋 輝樹, 武田 隆史, 吉川 信一
セッションID: 1K25
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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GaNはウルツ鉱型結晶構造をもつ光半導体であり、青色レーザーへの応用が期待されている。GaNはナノワイヤーの研究も盛んにおこなわれており、Au、Niといった金属触媒を用いた合成法がよく用いられている。また、NiGa2O4を窒化して得られた酸窒化ガリウムはウルツ鉱型と閃亜鉛鉱型が混在した結晶構造をもつことが報告されている。そこで、ゲル化窒化法を用いてNi、またはNiと似た特徴を持つCoを添加した酸窒化ガリウムを合成した。Ni、Coとともに固溶量は1mol%以下でウルツ鉱型と閃亜鉛鉱型と2相混在したガリウム酸窒化物が得られた。さらに、塊状と針状と2種類の結晶が見られた。針状結晶は炭素がある一定以上存在する場合に細くなる傾向が見られた。
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井上 幸司, 川澄 士朗, 橋本 忍, 本多 沢雄, 岩本 雄二
セッションID: 1K26
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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ZnOは3.2eVという幅広いバンドギャップを持つ材料であり,また低速電子線励起による発光特性が注目されている.現在,FPD(Flat Panel Display)用蛍光体の中で電子線励起による青色発光を示す蛍光体として, ZnS:Ag,ClやZnGa2O4が用いられているものの,使用元素の有害性,耐用時間(寿命)や原料単価の高コストなどの問題から,新規な青色蛍光体が求められている.ZnOは緑色の蛍光特性を示す材料であるものの, 異種元素であるMgの固溶によりバンドギャップを変化させることができ, 青色に発光させることも可能であることが明らかにされている.
本研究では,化学溶液法を用いMgをドープしたナノ粒子ZnO蛍光体を作製し,その発光特性を評価した.
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蜷川 幸男, 那須 弘行, 橋本 忠範, 石原 篤, 井上 幸司
セッションID: 1K27
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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本研究は、ZnO高含有のZnO-P2O5ガラス系(アモルファス)のZnOを三価の元素であるGa2O3およびSb2O3にを添加することによる光学特性の変化をみることを目的とした。試薬はZnO、NH4H2PO4、Ga2O3、Sb2O3の粉末を使用した。溶融急冷法を用いて1150 ℃、15 hの条件でガラスを作製し、光学研磨をすることによってプレート状のサンプルを得た。Gaを2, 5 mol%およびSbを0.1, 0.3, 0.5, 1, 2, 3, 5, 10 15 mol%添加したサンプルを用意した。得られたサンプルにPLスペクトルおよび光吸収測定を行った。PLスペクトルにおいて、励起光250 nmの時、低濃度のSb2O3を添加したガラスサンプルは300-650 nmの波長範囲にわたって比較的ブロードな発光を示した。一方Ga2O3を添加したガラスサンプルの蛍光は弱かった。
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奥野 照久, 和田 憲幸, 濱崎 恵佑, 小島 一男
セッションID: 1K28
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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(100-
x)Ga
2O
3-
xMO (M: Mg,Ca,Zn,SrおよびBa
x: mol%)粉末を固相反応法により作製した.Ga
2O
3-MO (M: MgおよびBa)粉末では,強い発光バンドは出現しなかった.一方,(100-
x)Ga
2O
3-
xMO (M: Ca,ZnおよびSr
x = 25-50)粉末では,GaO
45-およびGaO
69-の自己活性中心に従った発光バンドが,それぞれ,250 nmの励起下で360および399 nmに出現した.(100-
x)Ga
2O
3-
xZnO (
x = 0-75)粉末では,GaおよびOの欠損欠陥対に関係した発光バンドも432 nmを中心波長として出現した.本研究では,49Ga
2O
3-51ZnO粉末がGaおよびOの欠損欠陥対により最も強い青色発光を示した.
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岩崎 謙一郎, 正井 博和, 高橋 儀宏, 藤原 巧
セッションID: 1K29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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希土類フリーの発光材料としてバジライト(BaZrSi3O9)という鉱物に注目した。この物質は結晶内に不純物としてTi4+が導入されることで蛍光および残光特性を示す。しかし最近、Ti4+以外の不純物においても類似した蛍光・残光現象が確認された。そこで本研究において非化学量論組成を有するバジライト相を合成し、その発光特性について調査を行った。その結果、先と同様の蛍光・残光現象が観測できた。これらのことより、蛍光や残光は不純物や添加イオンなどの外因的なものではなく、バジライト相ZrO6八面体などに存在する酸素欠陥が発光中心となっていることが示唆される。
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清水 雄平, 植田 和茂
セッションID: 1K30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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我々は、ペロブスカイト構造をもつTb-Mg共添加CaSnO
3が強い緑色の蛍光を示すことを見出したが、本研究では、その薄膜化及びELデバイス化を行った。Tb-Mg共添加CaSnO
3焼結体ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により薄膜を基板上に堆積させ、空気雰囲気中1000℃でアニールすると、アニールした薄膜は紫外光照射下で緑色の蛍光を示した。その薄膜蛍光層を有するELデバイスを作製し、デバイスに1kHzの交流電圧を印加すると、石英ガラス基板を用いた場合では発光を示さなかったが、一方で、STO単結晶基板を用いた場合では500V程度から発光を示し始め、1000Vで最大の発光を示した。
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Devaraju Murukanahally Kempaiah, Shu Yin, Tsugio Sato
セッションID: 1K31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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Eu3+ activated Y2O3 nanomaterials were prepared via hydrothermal conditions under sub critical temperature and at high pressure (40 MPa). The as obtained materials are Eu3+ activated Y(OH)3 nanomaterials. The precursor materials were calcined at 500oC to obtain Eu3+ activated Y2O3 nanomaterials. The precursor materials were synthesized with different morphology such as sphere, rod, and bundles of rod. XRD, FESEM, TG-DTA and PL measurements were carried out. The calcined materials exhibited interesting optical properties. The bundles of rod particles showed higher photoluminescence around 610 nm than the sphere and bundles of rod particles.
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xiaoting Zhang, Go Kawomura, Tomokatsu Hayakawa, Masayuki Nogami
セッションID: 1K32
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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LaF3:Eu3+ nanocrycals were prepared through a hydrothermal route, with cetltrimethylammonium bromide (CTAB), as a cationic surfactant, It was found that crystallization and luminescence properties of LaF3:Eu3+ nanocrystals were greatly affected by the CTAB concentration and calcination temperature. The LaF3:Eu3+nanocrystals
synthesized with 0.006mol/L CTAB and heated at 600oC exhibited the highest luminescence
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佐藤 弘樹, 藤原 忍
セッションID: 1K33
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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CeO2におけるCe4+サイトは反転対称を持つため、ドープしたEu3+の発光は磁気双極子遷移(591 nm)が支配的となる。Eu3+は反転対称のないサイトにドープされた際により遷移強度の高い電子双極子遷移(~630 nm)を示し、色純度の高い赤色発光が得られることが知られている。本研究ではトリフルオロ酢酸を用いたゾル-ゲル法によりCeO2と同様の構造を持つCaF2との固溶体を作製し、Eu3+およびSm3+の発光特性への影響を調査することを目的とした。その結果、Caを10%含む試料においてCaを含まない試料に比べて発光強度の上昇が見られた。
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西田 祐平, 岸 哲生, 安盛 敦雄
セッションID: 1K34
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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近年の情報技術の発展により表示デバイスの多様化が進み、高い特性を持つ蛍光体が求められている。本研究では、赤色高輝度発光が知られているCaTiO3: Al, Pr結晶を含むケイ酸塩系結晶化ガラスの開発を目的とし、Pr添加量と熱処理条件が析出結晶相および蛍光特性に及ぼす影響を調査した。
ガラス組成は42CaO-29TiO2-29SiO2(mol%)として外割りでAl2O3を1.5~5mol%、Prを0.05~0.4mol%添加した。溶融急冷法でガラスを作製し、1000oC及び1100oCで熱処理を施すことでCaTiO3等の結晶析出が認められ、高温の熱処理でCaTiO3の析出量が増加した。Pr添加量が少ないほど高い蛍光強度を示したことから、濃度消光が確認された。組成と熱処理条件によりCaTiO3の析出量とPr置換量を最適化することで、強い赤色蛍光を示す結晶化ガラスを作製できることが明らかになった。
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下田 紗緒里, 三石 雄悟, 工藤 昭彦
セッションID: 1K35
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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酸化物光触媒として報告のあるGa
2O
3とIn
2O
3の固溶体(Ga
2-2xIn
2xO
3)およびAlTaO
4とAlNbO
4の固溶体(AlTa
1-xNb
xO
4)にCr
3+をドープし,それらの発光特性を調べた。Ga
2-(2x+y)In
2xO
3:Cr
yは,ルビーライン (694nm) とそれより長波長側にブロード発光 (750~1000nm) を示し,ブロード発光のみ,組成比に伴い連続的にシフトした。一方,Al
1-yTa
1-xNb
xO
4:Cr
yは,ルビーライン (720~740nm) とブロード発光 (800~1200nm) を示し,どちらも組成比に伴う連続的なシフトを示した。Cr
3+に由来する近赤領域蛍光スペクトルが,固溶比に伴う連続的変化を示したことや,その挙動がホスト間で変化したことは興味深く,これらの機能材料のエネルギー構造の知見を得る上で有用であるといえる。
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成毛 治朗, 瀧澤 幸也
セッションID: 1K36
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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希土類六核クラスター [Ln
6O(OH)
8(H
2O)
12(NO
3)
6](NO
3)
2·4H
2O (=Ln
6)を前駆体とするアップコンバージョン蛍光体Y
2O
3:Er,Ybの合成と評価を行った。以下の2種類の過程で合成した。(i)Ln
6合成時にY、Er、Yb原料(酸化物)を混合する方法、(ii)Er
6、Yb
6、Y
6をそれぞれ合成後にこれらを混合してDMFに溶解させる方法。(i)(ii)はいずれも800 °C 5hで熱分解を行った。その結果、方法(ii)は(i)の約3倍の発光輝度を示した。Ln
6を用いることにより母体内のドーパントの分散状態を制御できる可能性が示唆された。
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中村 和正, 八島 正知
セッションID: 1L17
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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岩塩型炭化物MC(M=Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta)の中性子回折測定を行い室温での格子定数や構造パラメータを決定し、さらにTaCについては高温中性子回折により格子定数や構造パラメータの温度依存性を検討した。TaCの格子定数と単位胞体積は温度の上昇と共に増加した。その時、各温度間で与えられる熱膨張係数の平均値は、α=(1/
a)(d
a/dT)=(6.4±0.3)×10
-6 oC
-1であった。温度の上昇と共にTaの原子変位パラメータ
Uii(Ta) (i=1,2,3)およびCの原子変位パラメータ
Uii (C) (i=1,2,3)は増加した。各原子間距離は、温度の上昇と共に増加した。室温における岩塩型炭化物MCの格子定数と単位胞体積は、金属元素Mのイオン半径の増加と共に増加した。およびCの原子変位パラメータ
Uii (C) (i=1,2,3)、
Uii (M) (i=1,2,3)と金属元素Mのイオン半径の間に相関は見られなかった。原子間距離は、金属元素のイオン半径の増加と共に増加した。
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杉浦 啓太, 岩田 知之, 吉田 英人, 福田 功一郎
セッションID: 1L18
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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Two types of new ternary carbides, Zr
2Al
4C
5 and Zr
3Al
4C
6, have been synthesized and characterized by X-ray powder diffraction. The crystal structures were refined from laboratory X-ray powder diffraction data (CuKα
1) using the Rietveld method. These carbides form a homologous series with the general formula (ZrC)
mAl
4C
3 (m = 2 and 3). The crystal structures can be regarded as intergrowth structures where the Al
4C
3-type [Al
4C
4] layers are the same, while the NaCl-type [Zr
mC
m+1] layers increase in thickness with increasing m value. The new carbides are most probably the end members of continuous solid solutions (ZrC)
m[Al
4-xSi
x]C
3 with 0 ≤ x ≤ 0.44.
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熊田 伸弘, 米崎 功記, 武井 貴弘, 木野村 暢一, 和田 智志
セッションID: 1L19
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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スズ酸化物ではスズは2価あるいは4価の原子価をとることができるが、通常の固相反応で得られるスズ酸化物では4価であることが多い。2価のスズを含む酸化物にはSn2+WO4、Sn2+Nb2O6およびパイロクロア型構造を持つSn2+TiNbO6Fなど数種類が報告されているにすぎない。今回、2価のスズを含む新しい酸化物であるSn2TiO4を合成することができたので、その合成と結晶構造について報告する。
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余野 建定, 荒井 康智, 依田 眞一, 小原 真司, 高田 昌樹, 増野 敦信, 黒岩 芳弘, 伊藤 恵司, 福永 俊晴, 野沢 俊介, ...
セッションID: 1L20
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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無容器法はレーザー加熱と組み合わせることにより高温融体を無容器状態で保持できることから、高純度バルクガラスが広い組成範囲で得られるという利点があり、新規ガラス材料開発の観点からも有用な方法である。本研究ではガスジェット浮遊法を用いて合成したBaTi
2O
5バルクガラスの構造を高エネルギーX線回折、中性子回折、逆モンテカルロシミュレーション(RMC)により解析した。その結果、TiO
5がネットワークを形成し、Baの周りのOの配位数はランダム、すなわち配位数に分布があることが明らかになった。
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今川 一輝, 大幸 裕介, 嶺重 温, 小舟 正文, 村松 康司, 矢澤 哲夫
セッションID: 1L21
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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軟X線をプローブとして利用する分光計測手法は、軽元素から重元素にいたる広範な物質の電子状態や化学結合状態に関する情報を引き出す新しい分析方法として注目されている。軟X線吸収スペクトルにおいて、特にX線吸収端近傍には電子状態や化学状態を敏感に反映するX線吸収端近傍構造が観測され化学分析や酸化数評価などの状態分析に使用されている。我々の研究グループでは、これまでホウケイ酸ガラスを熱処理した際に生じるスピノーダル相分離のダイナミクスやその構造変化を固体NMRや赤外分光法などから調べてきた。分相により相分離したホウ酸ソーダ相は酸に可溶であるため、様々な形状や組成の多孔質ガラスを作製可能である。分相構造およびダイナミクスは、ホウ素の配位数と関連が深いことがこれまでの研究より示されている。本研究では、軟X線放射光を用いてホウケイ酸ソーダガラスのアルミナ成分の添加及び分相処理によるホウ素の配位数変化を調べたので報告する。
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林 裕之, 中野 裕美
セッションID: 1L22
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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超構造を有する固溶体として知られるLi-Nb-Ti酸化物(M相固溶体)にEu
2O
3を添加し、大気中1120℃、24時間で焼成して蛍光体を作製した。この固溶体を10時間焼成したときには超構造の出現が認められなかったが、24時間焼成ではTiO
2固容量が20mol%と25mol%のときに超構造の出現がXRDとTEMにより確認された。焼成時間の増加はこのEu付活LNT固溶体の発光強度の向上をもたらした。特に超構造の出現が観察された組成では、その増加が顕著であった。
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武田 隆史, 解 栄軍, 広崎 尚登, 李 遠強
セッションID: 1L23
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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耐熱材料として利用されてきたβサイアロンが、希土類Euを添加することで緑色発光を示し、近紫外、青色励起に適した蛍光体として注目されている。従来、希土類がβサイアロン結晶構造中に存在することは難しいと考えられてきたが、発光中心のような微量では状況が異なることも考えられる。本研究では、βサイアロン蛍光体の希土類発光中心Euの存在状態について調べた結果、チャンネル位置に存在していることが、XRD、計算から示唆された。
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辻野 哲朗, 芦田 淳, 吉村 武, 藤村 紀文
セッションID: 1L24
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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マイクロ波加熱は急速かつ選択的昇温が可能で通常加熱に比べてエネルギー効率が高いことから、省エネルギー、低CO2排出プロセスへの応用が期待されている。しかし、マイクロ波による昇温の原理・メカニズムは必ずしも明らかではないため、特にセラミックス等の固相材料へのマイクロ波加熱技術の応用は限定されている。本研究は、マイクロ波加熱による格子振動レベルでの昇温メカニズムを明らかにすることを目的としている。そのためにまずマイクロ波加熱その場ラマン分光が可能なシステムを独自に構築した。さらに、ZnOセラミックスの各振動モードのラマンシフトの温度依存性を評価し、通常加熱との比較を行ったので、その結果を報告する。
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高田 雅之, 秋山 雄司, 佐藤 祐喜, 吉門 進三
セッションID: 1L25
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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ZnOバリスタの粒界構造の評価方法として走査型電子顕微鏡(SEM)において反射電子(BSE)像を用いると定量的な分析は出来ないが明暗のコントラストが明確な組成像を容易に得ることができる。ZnO粒子表面の添加物の分布を明らかにすることはバリスタのような界面を利用したセラミックスの研究に有用である。本研究では,ZnO結晶粒子の界面に存在する微量な添加不純物の微視的な分布を明確および簡単に評価するためにZnOバリスタの破断面に対して反射電子による組成像を測定した。ZnO粒子の粒界破壊面にはBi2O3が斑点状あるいはシート状の2種類の形状で大雑把に分けて存在することが明らかになった。Bi2O3へSiO2を固溶させることで,シート状のBi2O3付着物が増加し,斑点状のBi2O3付着物が減少した。
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古嶋 亮一, 田中 諭, 加藤 善二, 植松 敬三
セッションID: 1L26
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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高磁場により粒子の結晶軸をそろえた材料は、配向方位により、誘電率などの電気的諸特性が向上することが知られている。粒子の配向度は、X線回折ピークの結果から計算することができ、ロットゲーリングファクター(L.F.)という配向指標を得る。L.Fは、材料中の粒子の配向状態を反映したものではないため、配向状態を評価する指標としては現状不十分な点を有している。本研究では、粒子の配向状態を分布関数を用いて仮定し、L.F.を解析的に求めた。これにより粒子の配向状態とL.F.を関連付け、L.F.の配向評価指標としての特性について考察した。解析の結果、L.Fは配向粒子数と非線形な関係であることがわかった。
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岩田 知之, べしゃーど えみりー, しゃんぴおん えりっく, 福田 功一郎
セッションID: 1L27
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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Structural change of La
9.33-2x(SiO
4)
6O
2-3x with increasing x-value was investigated by means of XRPD. Crystal structures of the three-types of specimens with x = 0, 0.06 and 0.085 were refined by the Rietveld method, with the anisotropic displacement parameters being assigned for all atoms. Each crystal structure was composed of three types of polyhedra, La1O
9, La2O
7 and SiO
4. With increasing x-value, the occupancies (g) of both La1 and La2 sites steadily decreased. The La vacancies were charge balanced by the deficiency of the mobile O atoms that were not covalently bonded to Si atoms. The polyhedral volume of La2O
7 steadily decreased about 0.7 % with the decrease of g(La2)-value. On the other hand, the polyhedral volume of La1O
9 showed an increase of about 1.0 % with the decrease of the g(La1)-value. The marked difference in deformation behavior of the two-types of polyhedra could be attributable to the distinction in site ccupancies between La1 and La2. For the mobile O atoms, the displacement magnitudes steadily decreased with increasing x-value. The positional disordering of these atoms might be related to their mobilities at high temperatures.
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八島 正知, 小松 隆史
セッションID: 1L28
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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非線形光学材料として広く使われている強誘電体チタン酸リン酸カリウムKTPの結晶構造解析を973 Kより高い温度領域で世界で初めて実施した。K原子の席占有率の温度変化、K原子の変位の温度依存性、自発分極の温度依存性を明らかにした。その結果、KTPの強誘電-常誘電相転移は、規則不規則相転移と変位型相転移が共存していることがわかった。自発分極の温度依存性は、第2次高調波発生の強度の温度依存性と対応しており、構造と特性の相関が明らかにされた。
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山添 誠司, 深田 正紀, 和田 隆博
セッションID: 1L29
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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XAFSを用いて(K
0.44Na
0.52Li
0.04)(Nb
0.84Ta
0.10Sb
0.06)O
3(LF4)を含むNaNbO
3-KNbO
3系非鉛圧電材料の局所構造解析を行い、Bサイト原子(Nb, Ta, Sb)の局所構造が圧電特性に与える影響について調べた。Nb-K殻のXANESスペクトルからLF4のNbO6構造はNaNbO
3のNbO6構造に近いことがわかった。また、Nb-K殻のEXAFS振動の解析から、隣接Nb-M(M = Nb, Ta, Sb)の配位環境はKNbO
3の隣接Nb-Nbの配位環境に近いことがわかった。同様の解析をTa-L
1, Ta-L
3, Sb-K殻についても行った結果、Sb原子がLF4のNbやTaの構造に大きく影響を与えていることが示唆された。
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下田 有紀, 土井 貴弘, 分島 亮, 日夏 幸雄
セッションID: 1L30
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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ペロブスカイト関連構造を持つ新規酸化物Ba
4LnM
3O
12(M=Ru,Ir)の結晶構造と磁気的性質について報告する。粉末X線回折パターンから結晶構造解析を行ったところ、これらの化合物はM
3O
12トライマーとLnO
6八面体からなる12L-ペロブスカイト型構造を持つことが明らかになった。Ba
4LnM
3O
12(M=Ru,Ir)に対するXPS測定から、MイオンはM
4+とM
5+の中間の原子価状態であると考えられる。Ba
4LnIr
3O
12の磁化率の温度依存性ではEu
3+の示すvan Vleck常磁性が観測され、Irのd電子の寄与は見られなかった。一方、Ba
4LnRu
3O
12は4Kで反強磁性転移を示した。いずれの化合物でも有効磁気モーメントの値は理論値よりも小さく、トライマー内のM-M間距離が短いことから、分子軌道の存在が示唆される。
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上田 智子, 藤川 佳則
セッションID: 1L31
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
会議録・要旨集
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BaTiO3系コンデンサ材料において、希土類イオンはBaとTiのいずれのサイトも置換する可能性があるが、どちらを置換するかによって、電気的特性への影響が異なる。しかし、材料ごとの置換サイトの確認は十分にはできていない。近年、透過型電子顕微鏡(TEM)の球面収差補正装置が実用化され、TEMの分析能力は原子分解能レベルまで向上している。我々は希土類イオンの置換サイト特定を目的として、STEM-EDSによるBaTiO3の原子カラム別分析を試みたので報告する。分析の結果、Sm添加サンプルでは、SmのピークはBaカラムにおいて、より強く検出された。Yb添加サンプルでは、YbのピークはTiカラムにおいて、より強く検出された。いずれもイオン半径から予想された置換サイトと一致し、この方法の有効性が検証できた。更に、DyやYを添加したサンプルについて分析を行い、同時添加元素の違いによって、DyとYの置換サイトが変化することを確認できた。本手法は添加元素の置換サイト制御の確認方法として、有効な技術となり得る。
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藤平 哲也, 溝口 照康, 幾原 雄一, 平松 秀典, 細野 秀雄
セッションID: 1L32
発行日: 2009年
公開日: 2009/08/31
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反応性固相エピタキシャル成長法(R-SPE法)により作製されたLaCuOSe:Mg/MgO薄膜について,透過型電子顕微鏡(TEM),走査TEM(STEM)法を用いた微構造解析を行った.電子回折図形より,薄膜-基板の結晶方位に関して,(001)LaCuOSe:Mg//(001)MgO,[100]LaCuOSe:Mg//[100]MgOのエピタキシャル関係が確認された.原子番号の2乗におおよそ比例したコントラストが得られるHAADF-STEM観察により,重元素であるLaのジグザグ配列とCu-SeのダンベルからなるLaCuOSe化合物の層状構造が明瞭に観察された.薄膜-基板の界面領域においては,バルクの化合物の結晶構造と異なった特徴的な原子配列が観察され,この系におけるエピタキシャル成長機構との関連が示唆される.
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