日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2009年年会講演予稿集
選択された号の論文の648件中151~200を表示しています
  • 木口 賢紀, 今野 豊彦, 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫
    セッションID: 1L33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ジルコニア(ZrO2)の正方相は熱力学的には準安定相であり、その安定性は安定化剤の組成と結晶粒径に依存すると考えられている.我々は、ゲート絶縁膜やバッファ層としての応用が重要となる薄膜の形態において、(1)安定化剤を用いずに膜厚によって正方-単斜相転移を凍結できること、(2)高誘電率と低リーク電流密度を併せ持つ優れた界面電気特性を示すことを見出した.本研究ではZrO2超薄膜正方-単斜二相共存組織ついて明らかになった知見について報告する。(001)Si 基板上にPLD 法で[001]軸方向にエピタキシャル成長したノンドープZrO2超薄膜を用い、収差補正HRTEM(300kV、TITAN80-300)法で評価した。像コントラストはZrO2/Si 積層モデルを用いMultislice 法によって解析した。膜厚2nm のZrO2薄膜において正方相マトリックス中に5-10nm 程度の大きさの単斜相が析出した二相共存組織を形成した。界面はミスフィット転位を伴わない整合界面であった。しかし、両相間の原子変位量の変化から界面に沿って約1.5nm の厚さの構造遷移層が存在すること、また、その内部でZr 原子が徐々に交互に逆向きに変位して単斜相へ構造変化していることから、正方-単斜相転移が途中で凍結された状態が保存されていることが明らかになった。
  • 高橋 伸彬, 溝口 照康, 藤平 哲也, 中村 馨, 柴田 直哉, 山本 剛久, 幾原 雄一
    セッションID: 1L34
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    アルミナセラミックスは、高温構造材として広く実用化され、その特性の多くが、粒界のような格子不整合領域における原子構造や欠陥形成と深く関与していることが知られている。本研究では粒界構造の周期性が高く、計算機シミュレーションによる構造予測が可能な[1-210]{10-14}Σ13pyramidal双晶粒界をモデルとし、第一原理計算を用いてその構造及び内因性空孔形成の理論解析を行った。その結果、Al、Oともに、空孔形成エネルギーには強いサイト依存性があり、粒界面に近いサイトほど形成エネルギーが小さくなることがわかった。また、空孔形成エネルギーのサイト依存性は、結合欠損などの粒界における原子構造のひずみと相関があることがわかった。
  • 品川 一成, 横田 耕三
    セッションID: 1L35
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    クラックディフレクションによる高靱化を目的に,アルミナ粉末成形体の焼結中に板状粒子を生成させる方法が着目されている.板状粒子の発生,成長のメカニズムに関しては不明な点も多く,理論的な考察が重要であると考えられる.本研究ではフェーズフィールド法を用い,板状粒子の発生,成長の条件を解析的に明らかにすることを試みる.本報ではまず,界面エネルギーの異方性を考慮し,シミュレーションを行った.焼結後期を対象とし,残留気孔は考慮していない.界面エネルギーの異方性を考慮した粒成長の2次元解析の基礎式を差分化し,計算を行った.界面エネルギーの異方性を大きくすると,一方向への粒子の成長が確認できた.
  • 舟窪  浩
    セッションID: 2A01A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    強誘電体や圧電体を含む誘電体の研究は、これまでの焼結体での応用に加えて、強誘電体メモリ(FeRAM)やマイクロマシンでのアクチュエータ(MEMS)等に代表される膜形状での応用も大きく広がりつつある。膜では基板を有効に用いることで結晶配向が実現できるといった焼結体とは異なる利点がある。我々は薄膜作製方法として、MOCVDを選択した。この作製方法は他の気相からの作製方法と比較して、 a) 平衡状態に近い条件で製膜することから、欠陥の少ない高品質の膜を得られる。特に酸化物では高酸素分圧下で作製できるため、酸素欠陥を低減できる。 b) 比較的低真空を用いることから、原料濃度が高くでき、高い成膜速度が達成でき、厚膜の作製が可能である。 c) 基板上での化学反応による製膜であることから、複雑形状の基材への均一成膜が可能である。 d) 原料ガス組成を制御することによって、広い組成範囲の膜作製ができる。 といった多くの利点を有している。 本講演ではこうした利点を用いた研究成果のいくつかについて紹介する。
  • 高 鉉龍, 脇谷 尚樹, 木口 賢紀, Cross S. Jeffrey, 桜井 修, 吉岡 朋彦, 田中 順三, 篠崎 和夫
    セッションID: 2A03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    既報のPZT強誘電性の方位依存性に関する研究では異なる方位を持つ酸化物単結晶基板上にPZT薄膜を堆積させていることが多い[1]。単一方位の酸化物およびSi単結晶基板上にPZTを(001)、(101)、(111)方向に配向させ、薄膜に与える熱膨張の影響を同じ条件として、方位依存性を検討した例は少ない。本研究では同一方位で熱膨張率が異なる2種類の基板(YSZ/Si(001)およびYSZ(001))上に複数の酸化物薄膜をバッファー層(MgO、TiO2)として導入することで異なる配向をもった下部電極SrRuO3 (SRO)を作成し[2]、その上に(001)、(101)および(111)に配向させた強誘電体Pb(Zr,Ti)O3 (PZT)薄膜を製膜した。このようにして、基板との熱膨張率差が薄膜の残留応力と強誘電特性に与える影響、およびそれらの結晶方位依存性を検討した。
  • CROSS J.S., 篠崎 和夫, 吉岡 朋彦, 田中 順三, KIM S.H., VALANOOR N., チェング C.
    セッションID: 2A04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    To improve the ferroelectric characteristics of PZT film capacitors, 5% BiFeO3 [BF] was added to a CSD precursor to increase Pr. Higher net polarization was achieved by doping PZT with BF above 1.5V, but the PZT-BFO Vc was higher than PZT. To compensate for the PZT-BF higher Vc, thinner PZT-BFO films are needed. Further results on PZT-BFO capacitor polarization losses and chemical characterization will be presented.
  • 鈴木 久男, 宮崎 孝晴, 曹 雪, 坂元 尚紀, 脇谷 尚樹
    セッションID: 2A05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、実現できれば将来的に広い応用が期待されるCSD法PZT薄膜の低温結晶化を試みた。本研究では、シード層兼電極層として250nm厚のCSD法LNO薄膜をSi基板上に形成し、その上にCSD法によりPZT前駆体薄膜を作製した。作製したPZT前駆体を300℃~420℃で10分間熱処理した後、基板を加熱しながら190mJのKrFエキシマレーザーで結晶化を試みた。 その結果、作製したPZT薄膜のX線回折図から明らかになったように、レーザーアニーリングにより350℃という低温で(001)&(100)方向に配向したPZT薄膜を得ることに成功した。
  • 堀井 大輔, 長谷川 夕起, 小舟 正文, 大幸 裕介, 嶺重 温, 矢澤 哲夫
    セッションID: 2A06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    有機金属分解(MOD)法によりPt(100)/MgO(100)基板上にPbMg0.047Nb0.095Zr0.416Ti0.442O3 (PMNZT)薄膜を成膜した。これを49-196MPaの範囲でHIP処理した。作製した薄膜は、XRD法により結晶相の同定、結晶性、配向性を調べ、誘電性(εr-tanδ特性)、強誘電性(P-E特性)及び圧電性(d33特性)を測定した。 P-E特性特性は圧力の増加に伴いループ形状が明瞭に矩形化し、直線的に緩やかなPrの増加をもたらした。d33特性はHIP未処理品の90pC/Nから約60pC/Nまで著しく低下し、圧力の大きさとは無関係にほぼ平衡となった。このように予測と実験結果が不一致となった理由については、HIP処理によるPMNZT/Pt/MgO構造内の二つの界面に存在する熱歪等の緩和が考えられる。HIP処理がtanδの低減や偏差の小さいd33をもたらすことに基づき、処理効果として高信頼性が挙げられる。
  • 森分 博紀, 平山 司, 田中 功, 松永 克志, 小山 幸典
    セッションID: 2A07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ペロブスカイト型構造を有するTi酸化物は,強誘電体材料として広く用いられている.近年,PZT代替材料の開発のためにPbを含有しない自発分極の大きな化合物の探索が行われている.特に正方晶構造(空間群:P4mm)は,その候補となる構造と考えられているが,この構造をとる化合物はPbTiO3やBaTiO3など数種類に限られている.著者らは,CaTiO3に負の静水圧をかけることにより正方晶構造強誘電相が安定化され大きな自発分極が実現できることを理論計算により明らかにしてきたが,その強誘電相安定化機構は充分に解明されておらず,負の静水圧下での構造相転移ついてはTinteらによりBaTiO3,PbTiO3についての理論計算の報告があるのみであった.本研究では,密度汎関数理論(DFT)に基づく擬ポテンシャル法による第一原理計算をCaTiO3,SrTiO3,CdTiO3,BaTiO3,CdTiO3,PbTiO3について系統的に実施し検討した.
  • 笹目 健太, 吉田 隆弘, 山? 淳一朗, 橘 信, 川路 均, 阿竹 徹
    セッションID: 2A08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    リラクサーと強誘電体の固溶体である(1-x)PbMg1/3Nb2/3O3-xPbTiO3 (PMN-PT)および(1-x)PbZn1/3Nb2/3O3-xPbTiO3の熱容量をPPMSを用いた緩和法とDSCを用いたエンタルピー法で測定した.モルフォトロピック相境界 (MPB)よりxの小さい組成ではブロードな熱容量異常が観察され,MPBを超えた組成ではxの増加に伴い熱容量異常が鋭くなり,ピーク温度が高温側へ移動した.転移エントロピーはMPBを超えるとxの増加とともに転移エントロピーが増加する傾向を示した.極低温領域においては,MPB以下の組成で大きな熱容量が観察された.
  • 溝口  拓馬, 北村 尚斗, 井手本 康
    セッションID: 2A09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    当研究室ではこれまで、薄膜においてSiを添加することでNbを多量置換することが可能となるPb(Zr, Ti)O3 (PZT)に対し、Nb組成0.05以下のPbSiO3添加Pb(Zr, Ti, Nb)O3系バルク体の結晶構造と強誘電特性の関係について報告してきた。そこで本研究では、PZTにNbを多量置換し、PbSiO3を添加したPb(Zr, Ti, Nb)O3バルク試料を作製し、焼成条件を検討すると共に組成と結晶構造、強誘電特性の関係について検討した。
  • 小谷 浩隆, 北村 尚斗, 井手本 康
    セッションID: 2A10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    Bi4-xPrxTi3O12(x=0.5)にBi4Si3O12を2.5~5mol%添加した試料を合成し、添加量に伴う強誘電特性の変化について局所・電子構造の観点から主に検討した。BPTにBSOを添加することによりPrが増加、Ecが減少し、特にBSO添加量が5mol%のとき最も良い強誘電特性を示した。BPTおよびBPTS、熱処理試料について局所構造解析を行った結果、SiがTiに置換していると仮定したサイトの結合角の歪みのパラメータであるσ2が増加し、このことが残留分極の増加の一因と考えられる。さらに電子密度分布より、Pr置換および、BSO添加によってTiとその周りにある酸素との結合性が強くなっていることが分かった。このような結合性の違いも強誘電特性の向上の一因と考えられる。
  • 本多 淳史, 檜貝 信一, 本吉 康弘, 和田 信之, 鷹木 洋
    セッションID: 2A17
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    チタン酸バリウム中の希土類元素は、酸素欠陥の拡散を抑制し絶縁信頼性を向上させる効果があるとされているが、そのメカニズムはほとんど理解されていない。本研究では、希土類元素の固溶エネルギーと、希土類元素と酸素欠陥との相互作用を系統的に調査するために、第一原理計算による高精度理論解析を行った。その結果、Aサイト固溶した希土類元素は第一、第二近接位置の、Bサイト固溶した希土類元素は第二近接位置の酸素原子サイトに酸素欠陥をトラップする傾向があることが分かった。また、固溶エネルギーが高いものほど酸素欠陥を効果的にトラップすることも明らかになった。
  • 溝口 照康, 今枝 雅広, 佐藤 幸生, 山本 剛久, 幾原 雄一
    セッションID: 2A18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    SrTiO3やBaTiO3などに代表される電子セラミックスは,Positive temperature coefficient of resistivity (PTCR)特性や非直線電流-電圧特性など,粒界を起源とする特異な電気特性を有している.それらの電気特性は粒界近傍における歪みや結合欠損、粒界特有の欠陥形成エネルギーと密接に関係しているがその詳細はいまだ明らかになっていない.そこで本研究ではSrTiO3およびBaTiO3の[001]/(310)Σ5粒界を対象とし,粒界原子構造と欠陥形成エネルギー,及びそれらの相関を明らかにすることを目的とした.
  • 大野 翼, Zhanbing He, 脇谷 尚樹, 吉岡 朋彦, 田中 順三, Nava Setter, 篠崎 和夫
    セッションID: 2A19
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    MOCVD法により、α-Al2O3基板上へLiTaO3薄膜をエピタキシャル成長させることに成功し、その結晶相や配向状態などを系統的に検討した。また、透過型電子顕微鏡を用いて微構造観察を行った。この結果、575℃から650℃付近の範囲内において、LiTaO3は単相で定比で作製できることが分かった。さらに高い温度を用いるとLiTaO3に含まれるLiが不足していくが、それにも関わらずエピタキシャル成長をする。X線回折によって観測された、定比膜に存在するわずかな方位の異なるピークに起因していると考えられる突起が透過型電子顕微鏡によって確認されたが、これはLiが不足したエピタキシャル膜中には確認されなかった。
  • 大登 正敬, 国原 健二, 広瀬 隆之, 谷口 博基, 伊藤 満
    セッションID: 2A20
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    LiNbO3(Lithium Niobate: LN)は、表面弾性波デバイスおよび非線形光学素子として広く使用されている材料であり、これまで多くの研究がなされている。今回、いくつかのRaman散乱ピーク強度の組成依存性を測定し、LN結晶欠陥との関連を調べた。 組成およびMg添加量の異なる4種類のLNについて、バックスキャッター配置でラマン測定を行った。その結果、いくつかの散乱ピークに著しい組成依存性を窺うことができた。これらのピークに対し、いくつかの仮定の下で理論解析を行い、欠陥量の相対比較をおこなった。その結果、それぞれのピークがLNの欠陥(Ndアンチサイト欠陥・Li空孔)に関連していると考えると、上述した組成依存性は欠陥平衡モデルに照らし合わせ矛盾なく説明できる。
  • 中村 雅也, 野々山 龍彦, 長屋 年厚, 柴田 大輔, 高尾 尚史, 齋藤 康善, 谷 俊彦, 鷹取 一雅, 本間 隆彦
    セッションID: 2A29F
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 堀内 秀哉
    セッションID: 2A31A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    Bleustein-Gulyaev-Shimizu (BGS)波は、弾性表面波(SAW : surface acoustic wave)の一種であり、横方向に分極された圧電セラミック基板や特定の方位の単結晶基板上を伝搬するSH(share horizontal)型横波成分だけをもつ波である。BGS波は誘電率の大きな基板の自由端面でモード変換せずに完全反射するため、この特徴を利用すれば小型で低損失なデバイスを実現できる。弊社では、製造プロセス、基板材料、設計など多くの課題を解決し、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)圧電セラミック基板を用いた種々の端面反射型BGS波デバイスの開発・実用化に成功した。本講演では、ETC(Electronic Toll Collection System)用に開発したBGS波フィルタを中心に、弊社での取り組み内容とその特徴を報告する。
  • 山田 智明, Wang Jin, Sandu Cosmin, He Zhanbing, Setter Nava, 坂田 修身, 加茂 嵩史, ...
    セッションID: 2A33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ペロブスカイト構造を有する強誘電体は、優れた圧電特性を示す事で知られている。これらの針状結晶(ナノワイヤ)は究極の小型圧電材料として使用できる可能性があるが、代表的な強誘電体PbTiO3は、水熱合成法でナノワイヤの作製を行うと、ペロブスカイト構造ではなくPXと呼ばれる別の構造が生成することが報告されている。本研究では、高輝度のX線を用いることによりナノワイヤの配向性を検討するとともに、X線をマイクロメーターサイズに集光する事で単一のナノワイヤにおける格子定数の測定を行った。その結果、ナノワイヤの長手方向が[001]軸である事、(100)および(010)面間隔は同一であり単位格子は正方晶である事が確認された。
  • 大野 健, 綾戸 祐一, 保科 拓也, 武田 博明, 鶴見 敬章
    セッションID: 2B03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ペロブスカイト型酸化物を用いて,可視光領域にフォトニックバンドギャップを持つ一次元フォトニック結晶を作製することを目的とした。MgO(100)基板上に(Ba,Sr)TiO3を12分間,MgOを45分間それぞれ4層ずつ合計8層積層させた試料は,それぞれ膜厚が50 nm,75 nmとなった。可視光領域での反射率測定の結果,波長450~650 nmにかけてバンドギャップを持つことがわかった。また,積層時間をそれぞれ10分間,30分間とし,合計8層積層させた試料は,それぞれ膜厚が45 nm,40 nmとなり、波長350~500 nmにバンドギャップを持つ一次元フォトニック結晶であることがわかった。
  • 菊池 裕一, 増野 敦信, 井上 博之
    セッションID: 2B04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    BaTi2O5は2003年に強誘電性が確認された比較的新しい強誘電体である.BaTiO3よりも強誘電相転移温度Tc が高く,誘電率が大きいことから,盛んに研究されている.2006年,J.Yuらは無容器浮遊法によって,BaTi2O5球状ガラスの作製に成功した.これは,ガラス形成酸化物を添加せずにチタン酸化物系強誘電体のバルクガラス化に成功した初めての例である.BaTi2O5ガラスを室温から再加熱すると,安定な強誘電相( γ 相)が析出する前に,準安定な α 相、β 相が順に結晶化する.興味深いことに,α 相の結晶化温度(994 K)において誘電率が数十から107に達する急激な増大が見られ,さらに,数万という巨大な値を β 相の結晶化温度(1038 K)まで維持する.J.Yuらはこの巨大誘電応答を,α 相の結晶構造が有する分極に起因するとした.しかし,放射光X線回折実験によっても α 相の構造解析は成功していないため,巨大誘電応答と α 相の結晶構造との直接的な相関は不明である.そこで本研究では,分極を持つ構造に対して応答する第二高調波(Second Harmonic Generation: SHG)発現の有無を調べることによって α 相の構造に関する情報を得ることを目的とした.
  • 大里 齊, 古賀 英一, 籠宮 功, 柿本 健一
    セッションID: 2B05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    高品質係数(高Q)を持つ複合ペロブスカイト型マイクロ波誘電体Ba(Mg1/3Ta2/3)O3 (BMT) および Ba(Zn1/3Ta2/3)O3 (BZT)の理論組成からずれた固溶体が、Ba(Zn/Mg1/3Ta2/3)O3-BaTa4/5O3二成分系に存在し、その固溶体が高密度を持ち、誘電ロスを導く欠陥のない完全な結晶であることを示し、高Qを発現することを、これまでの文献に基づいて報告する。
  • 菅 章紀, 小川 宏隆, 住野 誠, 西塚 万規夫, 守山 徹, 大里 齊, 粂 正市
    セッションID: 2B06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年、利用周波数の高周波数により、マイクロ波誘電体セラミックスにおいて、低い比誘電率(εr)と高い品質係数(Qf)かつ0ppm/℃に近い共振周波数の温度係数(τf)を持つ材料が着目されている。さらに、通信機器の高機能化と小型化に伴い回路上の素子の高集積化が進み、デバイスの積層化が求められている。したがって、電極材料の融点より低温で焼成可能な高いQ・f値を持ちかつ低いεrを持つマイクロ波誘電体材料が必要である。そこで本研究では、優れたマイクロ波誘電特性を持つZn2SiO4-10wt%TiO2に着目し、焼結助剤としてLiFを用い、Zn2SiO4-10wt%TiO2の低温焼成化とマイクロ波誘電特性について検討した。 950~1100oCで焼成した試料の見かけの密度は、約4.10g/cm3を示し、この値は1200oCで焼成したものとほぼ同じ値であり、LiFの添加により低温焼成化が可能である。1100oCで焼成したZn2SiO4を用いたZNTL(y=5)では、εrQf値はそれぞれ、εr=7~9、Qf=12000~18000GHzであり、τfは負の値を示した(τf=-25ppm/oC)。しかしながら、1250oCで焼成したZn2SiO4を用いたZNTL(y=5)では、Zn2TiO4の生成を抑えることができ、比較的良好なマイクロ波誘電特性が得られた(εr=9, Qf=45000GHz, τf= -5ppm/oC, Ts=950oC)。
  • 井川 博行, 竹本 稔
    セッションID: 2B07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    発表者らは(A1-xAx)BO3 (A, A’= Ba, Sr, Ca)系ペロブスカイトのマイクロ波誘電性データの、多様な組成系での蓄積を図っている。さらに、これらの蓄積を基に比誘電率、Qf値、共振周波数の温度変化の組成依存性(誘電性のAサイトイオンの部分置換による変化)を系統的に説明することを目指している。その一環としての標記組成系(Ba1-xCax)(Sc1/2Nb1/2)O3が特徴的な奇妙な現象を示すことに気づいた。すなわち、1700℃での焼成により完全固溶体が生成することがX線回折による相の同定および格子定数の連続的な変化からほぼ確実視される。ただし、作製条件によっては目標組成のペロブスカイトと同時にBa-rich、Ba-poorの組成のペロブスカイトが生成し、格子定数がxが0.5以上では変化しない、という結果が得られている。
  • 深尾 真司, 中西 義一, 佐藤 祐喜, 伊藤 嘉昭, 吉門 進三
    セッションID: 2B08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    低圧ガス雰囲気中において,分極を一方向にそろえた焦電性結晶の温度を変化させるだけで高強度の電界,正イオンと電子が生成され,制動輻射により白色X線と,結晶や結晶と対向したターゲットの特性X線が発生することが報告されている.この方式でX線を発生させる場合,高電圧電源や電子銃が不必要であるため,装置の小型化が可能となる.X線強度は圧力に依存し,圧力が数Pa以上になると,強度が急激に低下する.しかし,仕事関数が小さい筐体材料を用いることで,光電効果による光電子放出量を増大させられることが分かった.放出された電子がX線発生に寄与するためにPmax付近でX線強度が相乗的に大きくなったと考えられる.
  • ?野 晃弘, 松田 邦之, 清川 敏夫, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
    セッションID: 2B09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ガス圧ならびに放電条件をプラズマテレビセル内の条件に近い状態にして 2次電子放出能を評価するために、放電に用いる対向電極間に流れる電流及び放電開始電圧を直接測定し 解析する手法を選択した。前回までに600 Paまでのガス圧力における特性を報告したが、本研究では圧力を1000 Paまでとして測定・解析を行った。真密度3.12g/cm3のMgO膜被覆電極が最も低い放電開始電圧を示した。また、ガス圧力の増加に伴って減少する傾向があることがわかった。ガス圧力に対するプラズマ電流より求められた電流変動べき数aが真密度3.12 g/cm3のMgO膜被覆電極を用いた放電電流で最もaの値が大きく、2次電子放出量が最も大きいことが示された。
  • 松田 邦之, 高野 晃弘, 大音 雅宏, 清川 敏夫, 大塩 茂夫, 赤坂 大樹, 齋藤 秀俊
    セッションID: 2B10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では耐プラズマ膜として用いるY2O3膜の各圧力下でのプラズマ放電に与える影響をY2O3膜を電極表面に用いた時の放電開始電圧測定から解析した。放電開始電圧はSUS電極、 MgOを蒸着したSUS電極においては圧力の上昇により、指数関数的に低下したのに対し、SUS電極にY2O3を蒸着したことにより、圧力の変化による放電開始電圧の変動は見られず、120 V一定で安定していた。この事から、SUS電極にY2O3を積層させる事でプラズマに与える影響がMgOに比べて、小さいと考えられる。
  • 藤原 信吾, 黒木 雄一郎, 岡元 智一郎, 高田 雅介
    セッションID: 2C01
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、GdBa2Cu3O7-δ(Gd-123)セラミックス線材に、室温である値以上の電圧を印加すると、線材の一部分が赤熱する現象を見出し、これをホットスポット現象と名付けた。ホットスポット発生後に線材を流れる電流は、周囲の酸素分圧の増加に伴い増加する。このことから、この線材は酸素センサとしての応用が期待できる。本研究ではGd2BaCuO5(Gd-211)の芯を有するGd-123線材を作製し、ホットスポット現象を利用した酸素センサの応答時間を評価した。Gd-211の芯を有するGd-123線材はGd-123単相線材、Gd-211を分散させたGd-123線材と比較して低酸素分圧下では応答時間が短いことが分かった。
  • 岡元 智一郎, 清水 文弘, 藤原 信吾, 高田 雅介
    セッションID: 2C02
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、GdBa2Cu3O7-δセラミックス線材に、室温で、ある値以上の電圧を印加すると、線材の一部が赤熱することを見出し、これをホットスポット現象と名付けた。ホットスポットが発生すると、様々な機能物性が現れることから、様々なデバイスへの応用が期待できる。これらのデバイスの特性は、セラミックスの微細構造に強く影響を受けると考えられる。ジルコニア製のポットとボールを備えた遊星ボールミルを使用し、時間を変化させて粉砕を行った結果、特性が大きく変わることがわかった。局所的な組成の不均一や粉砕の際の不純物の混入の観点から結果を考察した。
  • 高西 一正, 内堀 大輔, 濱上 寿一, 黒木 雄一郎, 岡元 智一郎, 高田 雅介
    セッションID: 2C03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、スパッタリング法を用いて作製したPd薄膜光検知式水素ガスセンサが、室温に於いて優れた応答特性および高いガス選択性を有することを報告してきた。しかし、スパッタリング法は大型装置や大電力が必要になる。そこで大型装置が不必要であり、また成膜のエネルギー消費量が少ない低環境負荷型の電気めっき法によりPd薄膜光検知式水素ガスセンサを作製し、水素検知特性を調査した。スパッタリング試料は膜厚100nmのフラットなPd薄膜であるのに対し、電気めっき試料は、500nm程度のデンドライト状Pd結晶が島状に堆積していた。電気めっき法により作製したセンサは高い耐久性を有することがわかった。
  • 奥山 泰世, 岸 哲生, 西尾 圭史, 安盛 敦雄
    セッションID: 2C04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    現在、燃料電池に代表される水素やバイオエタノールなどを用いた新規エネルギーシステムが注目を集めている。そのため、これらのガスを安全に利用するためのガスセンサの高性能化が求められている。一方、電気泳動堆積法は簡便な製膜法として知られる他に、複雑形状の製膜が可能で、かつ多孔質な膜の作製が可能であるという利点がある。そこで本研究では、電気泳動堆積法により形成した多孔質チタニア薄膜上に触媒としてパラジウムおよび白金を担持して、接触燃焼式ガスセンサを作製した。得られた多孔質チタニア薄膜の微細構造と、水素ガスに対するセンサ特性を評価した結果を報告する。
  • 田中 佑享, 藤本 憲次郎, 伊藤 滋
    セッションID: 2C05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    SnO2ガスセンサは焼結体のものが優れた感度、耐久性を示し実用化されている。これに対して、小型装置への適用、省電力化の観点から薄膜型センサの必要性が高まっている。薄膜型センサの研究は感度、検出ガス選択性の付与を中心に報告されているが、センサの繰り返し動作や耐久性に対する知見は少ない。そこで本研究では常圧CVD法によりSnO2薄膜を作製し、アルコールガスの検出における繰り返し特性および耐久性を明らかにすることを目的とした。成膜温度450℃において膜厚0.6 μm、抵抗率9.8×10-3 Ω・cmを持つ膜が得られた。生成膜はC2H5OHガス(1000-5000 ppm in N2)を検出し、繰り返し動作が可能で、耐久性を持つことが示された。
  • 松原 一郎, 伊藤 敏雄, 角崎 雅博, 坂井 雄一, 申 ウソク, 伊豆 典哉, 西堀 麻衣子
    セッションID: 2C06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    住宅用の換気システムを制御するために、揮発性有機化合物(VOC)を検知できる小型で安価なセンサの開発が望まれている。室内においては季節等により湿度が変化するため、湿度変化に対してセンサ応答値が影響されないことが重要である。本発表では、酸化スズ系センサへの貴金属添加が、VOCに対する応答値の湿度依存性に与える影響について報告する。
  • 伊藤 敏雄, 松原 一郎, 申 ウソク, 伊豆 典哉, 西堀 麻衣子
    セッションID: 2C07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    層状酸化物半導体の一種であるMoO3層間に有機化合物をインターカレートしたハイブリッド材料は、揮発性有機化合物(VOC)ガスセンサに必要な信号変換機能と分子認識機能を、それぞれMoO3と層間有機化合物に分担させることで、高い選択性と感度を有する新しいセンサ材料への応用が期待される。層間有機物としてポリアニリン誘導体を用いたMoO3とのハイブリッド材料によるセンサ素子は、インターカレーション溶液に不溶ポリマーを除いたものを用いる事で高感度化し、数十ppbのHCHO, CH3CHOの検知を達成した。ポリアニリン誘導体のMoO3層間へのインターカレーションは室温でも充分に速い。しかしながら、室温の変動程度の温度変化で素子のセンサ特性に違いが生じることから、最適な温度で制御することで更なる高応答化が期待される。本研究では、ポリアニリン誘導体の一つであるポリ(5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチルアミン) (PTHNA)について、インターカレーション時の温度を制御してMoO3とハイブリッド化を行い、HCHOに対するセンサ応答とXPS測定による評価を行った。
  • 松嶋 雄太, 前田 和之
    セッションID: 2C08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    近年、水素クリーンエネルギー社会の実現や、揮発性有機溶媒(VOC)による環境汚染などの観点から、ガスセンサーの重要性は増大しつつある。半導体式ガスセンサーでは、雰囲気によって酸化スズや酸化亜鉛などの半導体酸化物の電気抵抗が変化することを利用してガスを検知している。本研究では、材料学的な視点から酸化スズや酸化亜鉛などの半導体酸化物表面で起こっている反応過程を解明することを目的としている。 試験ガスとして0.5%水素-空気と0.5%水素-窒素を比較した場合、センサー応答に違いが見られた。0.5%水素-空気に対しては比較的立ち上がりが早いのに対し、0.5%水素-窒素では急激な立ち上がりの後緩やかに上昇を示した。空気における吸収スペクトルと比較すると、酸化スズ膜では0.5%水素-窒素のときは300~500 nmの領域で吸収の増大が見られたが、0.5%水素-空気ではスペクトルに顕著な違いが見られなかった。水素-窒素系で見られる可視短波長領域の吸収は酸素空孔の生成によるものであると考えられる一方、Hall効果測定からはこの酸素空孔はキャリア増大に寄与しないことが示唆された。
  • 村山 宣光
    セッションID: 2C09A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ガスセンサの大半は、粒子表面近傍のみの材料物性の変化を利用する「表面型」ガスセンサであり、妨害物質の影響を受けやすいため本質的に経時変化が大きく、再現性に劣る。これに対し、電子導電性セラミックスのナノ構造設計により、粒子全体の材料物性の変化を利用した「非表面型」ガスセンサのコンセプトを提案し、その有効性を実証した。
  • 野村 尚利, 井上 泰徳, 松石 聡, 金 廷恩, 加藤 健一, 高田 昌樹, 平野 正浩, 細野 秀雄
    セッションID: 2C29
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、最近、我々が発見した新規Fe系超伝導体CaFe1-xCoxAsF (Tc = ~22 K)およびSrFe1-xCoxAsF (Tc = ~7 K) (各x = 0, 0.06, 0.12)をSPring-8の放射光を利用し、低温での粉末X線構造解析を行った。解析結果より、以前我々がLaFeAsO の母相で報告したものと同様な正方晶(P4/nmm)から斜方晶(Cmma)への構造相転移が、CaFeAsF とSrFeAsFの母相でもそれぞれ120 K、180 K 付近で起こることが明らかになった。CaFeAsF の結晶構造はFeAs 層を構成しているFeAs 四面体の形が正四面体に近く、経験則上、ドーピング方法の改善を行うことで最高温度を更新することが期待される。
  • 井上 泰徳, 松石 聡, 野村 尚利, 神原 陽一, 平野 正浩, 細野 秀雄
    セッションID: 2C30
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    TC = 26 Kを有する超伝導体フッ素ドープLaFeAsOの発見は、より高い転移温度を持つFeAs系ならびにそれに関連した鉄化合物の探索の口火を切った。現時点までに、LaFeAsOにおけるLaサイトを他の希土類元素(Ln: Ce, Pr, Nd, Sm, …etc)で置き換えることにより、TC = 56 Kが達成された。LnFeAsOは絶縁層である(LnO)+層と伝導層である(FeAs)-層が交互に積層した構造を持ち、酸素を部分的にフッ素に置き換える、あるいは酸素欠損により、LaO層を通じてのFeAs層への間接的な電子ドープによって超伝導が生じる。我々は、(CaF)+ 層と(FeAs)-層からなる新物質CaFeAsFの合成およびFeの一部をCoに置換することで生じる超伝導性について報告した。それらの結果は、Feサイトに置換されたCoはFeAs層へ直接電子を供給するドナーとして働くことを示唆する。本研究では、Feに対するその他の遷移金属の部分置換の効果を系統的に調べた。ノンドープCaFeAsF試料の温度に依存した電気抵抗率における120 Kで観測された異常は、すべての遷移金属のドープに対してより低温側に抑えられた。そしてドープされた試料の格子定数はドープ量と共に徐々に変化した。Cr、MnおよびCuドープは超伝導を引き起こさないが、Niドープ試料はCoドープと同様に超伝導を示した。さらにTCの最適値は、Niドープでは組成比x = 0.05で12 K、Coドープではx = 0.1で22 Kであった。これらの最適ドープ量の差は、FeAsに供給する電子の数がCo2+(3d7)は1つであるのに対し、Ni2+(3d8)は2つであることに由来すると考えられる。
  • 高嶋 秀行, 北村 尚斗, 井手本 康
    セッションID: 2C31
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    当研究室ではこれまで、T´-La2-xRExCuO4-δ (RE= Y, Lu, Sm, Eu)のバルク体試料を作製し、その物性、結晶構造と導電性との関係について報告してきた。本研究では、塗布熱分解によりLa2-xRExCuO4-δ (RE=Sm, Y)及び、Sm2-xYxCuO4-δの薄膜試料を作製し、組成、構造と導電率の関係を検討した。粉末X線回折パターンより、La2-xRExCuO4-δではT構造が主相となっており、Sm2-xYxCuO4-δではT´構造が主相となっていたが、第2相として分解によるピークが見られる領域もあった。また、試料の抵抗率は金属的挙動を示し、低温領域で抵抗率が急落する現象が見られたが、零抵抗は示さなかった。
  • 鮎川 晋也, 加藤 雅恒, 野地 尚, 小池 洋二, 池田 一貴, 折茂 慎一
    セッションID: 2C32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    ペロブスカイト型水素化合物CaPdH3-δ(δ=0.7)を合成した。しかしながら、磁化率測定より、2 K以上では超伝導転移は観測できなかった。また、比熱測定より、約860 Kの光学フォノンが存在することがわかった。さらに、比熱測定およびバンド計算から求めた電子比熱係数を比較することにより見積もった電子-格子結合定数は約0.24となり、超伝導体PdHの0.7と比べて小さいことがわかった。超伝導が出現しない理由として、電子-格子結合定数が小さいこと、水素欠損による乱れが考えられる。
  • 藤井 幸子, 中村 孝則, 景山 恵介, 鷹木 洋
    セッションID: 2D01
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    酸化物熱電発電は安全、低コスト、高温使用などの長所を持つことから、今後のエネルギー社会から期待を集めている。我々は環境負荷物質を含有せず、大気中で使用可能なペロブスカイトに着目し、P、N型熱電材料の一部を直接接合させ、接合部以外の境界を絶縁体で絶縁するP型/絶縁層/N型直接接合熱電素子を作製した。3材料は割れ・剥がれなく25対の共焼結ができ、作製できた熱電素子の上下面に温度差を与え出力を測定した。その結果、素子の発電特性 は?T=360℃の温度差で26mWであった。この時、面積あたりの出力に換算すると40mW/cm2となる。
  • 山田 高広, 苅谷 英里, 森戸 春彦, 山根 久典
    セッションID: 2D02
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    β-FeSi2は,地殻に豊富に存在する安価な元素から構成され,有毒元素を含まないため,安全で環境負荷が少ない環境調和型熱電変換材料として注目されている.我々はFeの圧粉成型体をNaとSiの融液とともに加熱することで,理論密度の約70%の密度をもつβ-FeSi2多結晶バルク体を合成することに成功した.Feに対してCoまたはMn粉末を5 mol%含んだ圧粉成型体を原料に用いて合成したβ-FeSi2バルク体は,それぞれn型とp型の熱電特性を示し,ゼーベック係数は400 Kから1000 Kの温度範囲内で,それぞれ-120から-180 μV/K,125から270 μV/Kの値を示した.
  • 柚井 崇宏, 岩崎 航太, 吉野 正人, 有田 裕二, 長崎 正雅, 松井 恒雄
    セッションID: 2D03
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    酸化物熱電材料に関しては、NaxCoO2における高い出力因子の発見以来、Co系酸化物を対象とした材料探索が活発に行われている。本研究では、ペロブスカイト型(La,Sr)CoO3、及び層状ペロブスカイト型(La,Sr)2CoO4を対象として、その電気伝導率(σ)、ゼーベック係数( S )、出力因子(σS2 )の評価を行った。 La1-xSrxCoO3における最も高い出力因子は3.2×10-4 W m-1 K-2(La0.9Sr0.1CoO3, 300 K)で、La2-ySryCoO4の出力因子はこれよりも一桁程度低下した。これはLa2-ySryCoO4の電気伝導率がLa1-xSrxCoO3に比べて低いことに起因する結果であり、結晶構造中の岩塩型ブロックにおけるキャリアの散乱がその原因であると考えられる。
  • 平田 好洋, 原 章洋
    セッションID: 2D04
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    固体電解質粒界での酸化物イオンの流束が、与えられた電場下において、異なる曲率(r)をもつ隣り合う二粒子内の酸化物イオンの活動度(ar)の差と関係づけられた。流束は、粒径の減少に伴い増加する電導度(σi (+))と減少する電導度(σi (-))の二つのタイプを導く。両電導度はar = 1 (r > 0) とar = a02 ( r < 0, a0はr = ∞での活動度)を与える臨界の粒径 (r = rc)で、それぞれ最大値と最小値を与える。rc > rの範囲では、σi (+) 及び σi (-)は粒径に依存しなくなる。結果として、全電導度(σ(t) = (σi (+) +σi (-)) / 2)は、粒径の逆数の二次関数で表わされ、r = rcで最大値に達する。電導度と活性化エネルギーの粒径依存性について、理論と実験の間で良い一致が見られた。
  • 原 章洋, 平田 好洋, 鮫島 宗一郎, 松永 直樹, 堀田 照久
    セッションID: 2D05
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    硝酸塩のシュウ酸共沈法で作製されたGd添加セリア(GDC)がアルゴン雰囲気中、1173-1673 Kで加圧焼結された。その後、1273-1573 Kの空気中でアニールされた。平均粒径0.27-3.8 μm、相対密度93-98 %のGDCの複素インピーダンスが、空気中、573-1073 K、100 Hz-2 MHzの周波数領域で測定された。573-673 Kの複素インピーダンスは、粒内及び粒界での拡散抵抗、表面からの酸化物イオンの拡散抵抗及び電極反応に分離することができた。粒界容量と平均粒径には直線関係が認められた。粒内及び粒界の容量、平均粒径から粒界幅の近似を行った。計算された粒界幅は、2-4 nmであった。573-673 Kで測定された粒界電導度は、平均粒径3 μmで極小値をとった。この粒界電導度は、提案された粒界電導理論と良い一致を示した。
  • 嶺重 温, 大西 芳樹, 大幸 裕介, 小舟 正文, 吉岡 秀樹, 矢澤 哲夫
    セッションID: 2D06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    酸化物イオン導電体、ランタンシリケート(La9.33+xSi6O26+1.5x, LSO)[1]は導電性の温度依存性が低いという特長をもち、中温作動可能な固体酸化物形燃料電池(SOFC)としての実用化が期待される。これまでに、微量のカチオンドープを行うことでイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を上回るイオン導電性を示すこと、既存の高イオン導電体と比較しても遜色ない導電性を示すことが明らかとなっている。本研究では、更なる導電率向上と導電機構解明を目指してLSOへの種々の元素置換による電気特性への影響を調べた。
  • 尹 景田, 三其 輝彦, 村田 憲司
    セッションID: 2D07
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    低温作動、高効率なセラミックリアクターは、発電、水素製造、排ガス浄化など様々な用途に利用でき、現在われわれが直面している環境・エネルギー問題を解決する有望な反応装置となりうる。セラミックリアクターの実用化には、低温でも高活性な材料・部材の開発、そして、革新的形状のセル製造・集積化技術の開発が必須である。当社では、材料・部材の開発の中で、集電体材料としてSrドープLaCoO3に熱膨張係数調整用のCeO2を添加したLSC-CeO2集電体の開発を実施した。CeO2の添加量により熱膨張係数の調整が可能であり、微細構造の制御により高い伝導率を維持した集電体を作製することができた。当日は、微細構造とガス透過係数との関係、LSC-CeO2熱処理温度と導電率との関係などについても詳細に報告する。
  • 上村 和裕, 安田 公一, 塩田 忠
    セッションID: 2D08
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    低温作動を可能とする固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,SOFC)の電解質材料として,GDC(Gadolinia Doped Ceria)が有力な材料の一つとして考えられている.しかし,GDCの強度はセリア単味よりも低く,高強度化が必要となる.そこで本研究では,破面観察により破壊源を同定し,GDCセラミックスの強度低下要因を明らかにすることを目的とした. GDCセラミックスは,Ce0.9Gd0.1O2粉末を大気雰囲気中,1200℃,1300℃,1400℃,1500℃,1600℃で2時間焼結することにより作製した.比較のために,CeO2セラミックスも同様にして作製した.作製したGDCセラミックスとCeO2セラミックスの強度は4点曲げ試験により測定した.曲げ試験後,SEMを用いて破面観察を行い,破壊源の特定を試みた.以上の結果により,GDCの強度低下の原因について考察した.
  • 山崎 典宗
    セッションID: 2D09
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 山口 十志明, 清水 壮太, 鈴木 俊男, 藤代 芳伸, 淡野 正信
    セッションID: 2D29A
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    SOFCは多種の燃料を選択できるものの、作動温度が高い(800℃以上)ため金属等の安価な材料の使用が制限されることや、熱応力を緩和するため起動/停止時間の短縮が困難などの課題が残されていた。このような背景の基、中低温作動および急速起動特性を有する高性能SOFCの開発を目的として、新規ハニカムSOFCの開発に取り組んでいる。本発表では、このハニカムSOFCの設計および製造プロセス開発について報告するとともに、作製したハニカム型SOFCの性能について紹介する。
feedback
Top