一般に, 芝草を加害するゴガネムシ類幼虫は, 防除が非常に困難である。本研究では, それらの防除において有効な薬剤を探索するために, 簡便で再現性の高い試験方法を考案し, いくつかの実験を行なった。
その結果は以下の通りであった。
1.ドウガネブイブイ3令幼虫を対象として, 土壌の深さと殺虫効果との関係を調べるために行なった実験では, 土壌の深さが5
cm以上になると, 薬剤の殺虫効果は著しく低下した, しかし, diailnon 5Gは薬剤成分の蒸気圧が高いので, ガス化作用によって, 10
cm区での死亡率がfenthion 5Gおよびisofenphos 5Gよりも高かった。
2.殺虫剤とAgua-GROとの混合施用によって, 10
cm区においても高い殺虫効果が得られた。特に, diazinon 5G, isofenphos 5G, chlorpyriphos 40ECおよびfenitrothion 50ECで効果が非常に高かった。さらに, これら2週間の処理後の土壌を使って行なった残効試験においては, Aqua-GROを用いなかった区の下層5
cmの土壌では殺虫効果は認められなかったが, Aqua-GROを用いた区では, 下層の土壌においても, 比較的高い殺虫効果が認められた。これは, Aqua-GROが, 薬剤成分の土壌への浸透性を高めたためであると思われる。
3.Aqua-GROの保水効果を調べたところ, 処理2日後まではその効果は高く, 蒸発による土壌水の上昇移動を抑える働きがあることが認められた。この作用は, 薬剤が土壌中に浸透する上で, 重要な役割をもっと思われる。
4.土壌害虫の防除において, 既存の薬剤を有効に利用するという点で, 浸透補助剤は非常に有効であると思われる。
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