近年,世界全体で母子保健や感染症対策が進み,世界全体で乳児死亡率が低下し,世界全体の平均寿命も1990年の65歳から2013年に71歳と延び,各国で高齢者人口が増加し,アフリカ諸国の都市部では高齢者の孤立や生活苦が表面化している。
都市における高齢者を地域社会で支援する「共助」のあり方について,ザンビア共和国ルサカ市の低所得者居住地であるチャワマ地区の高齢住民および住民団体(CBO:Community Based Organization)のリーダを対象に聞き取り調査とワークショップを2015年3月および8月に実施した。高齢者は住民との交流を望んでおり,住民リーダーらも高齢者を地域社会で支援するシステムが必要であると認識していることがわかった。CBOはマンパワー,予算,経験が十分でない等の課題がある。地域住民らの活動の連携や社会参加の場として日本の公民館をモデルにした集会所(CLC:Community Learning Center)の役割が注目された。
Post MDGsとして採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)に高齢者者対策の項目(目標3「あらゆる年齢のすべての人に対する健康な生活の確保,福祉(well-being)の促進」)が入り,今後アフリカ諸国を含めた世界的規模で地域の「共助」を活用した高齢者対策を実施することが求められる。
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