環境情報科学論文集
Vol.21(第21回環境情報科学学術研究論文発表会)
選択された号の論文の109件中1~50を表示しています
  • 宮本 和明, 坂部 創一, 清水 裕史
    p. 1-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    近年,QOL(Quality of Life)が重要な概念になりつつある。しかし,情報化社会におけるQOLの研究は数少なく,既存の主要なQOL 指標の中に情報関連のQOL 項目が殆ど欠落しているのが現状である。そこで,本研究では情報化社会におけるQOL の現状把握と向上のために活用できる情報関連QOL 指標を,多変量解析を用いて開発をし,その信頼性と妥当性を検証した後,活用方法を考察した。
  • Bespyatko Lyudmyla, 井村 秀文
    p. 7-12
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    自然保護の新たなメカニズムとして,環境サービスに対する支払い(PES)が多くの国で導入されている。なかでも,コスタリカ政府が導入したPES は,国レベルで成功した最初の例として国際的に注目を集めている。他方,日本においては,多くの県で環境サービスの受益者に負担を求め森林保護・管理を行う森林税が導入されている。本稿では,日本におけるこの地方レベルの制度とコスタリカのPESの比較を行う。そのため,まず両国の森林の情況を比較し,両国におけるPES 制度の成立に影響を与えた要因を整理する。次に,PES 制度としての両者の特徴について比較考察する。
  • ナホトカ号事故事例より
    濱田 誠一, 沢野 伸浩
    p. 13-18
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    礫浜は油防除作業が非常に困難であり,海岸により油の残留特性が著しく異なる。そのため油防除の効率向上や長期的な環境被害の低減を図るには,各礫浜の油残留特性を予め評価しておく必要がある。本研究では礫浜の油残留特性と海岸の礫形の関連性を検討するため,ナホトカ号油流出事故後,漂着油が長期間残留した能登半島の礫浜において画像解析による礫形評価を行い,モニタリング調査による油残留年数と比較した。礫形の最大投影面の画像を,1)投影面積と周長の比,2)平滑化した輪郭と実際の輪郭との差,3)輪郭の屈曲角度の3点から指標化した結果,各指標と油残留年数に高い相関が見られ,特に3)の指標に高い相関(R2=0.858)を得た。
  • 鵜飼 剛平, 奥 敬一, 笹木 義雄, 森本 幸裕
    p. 19-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    水田に生息する生物と共存する農法を用い,それらの生物名を冠した「生き物ブランド米」が1999 年頃より販売されるようになった。本研究では,豊岡市の「コウノトリ米」を事例とし,購入者の日常の食や環境への関心,さらに生態系や農法等生産現場に対する理解の状態を解明することを目的に,コウノトリ米購入者及び一般米購入者へのアンケート調査を行った。コウノトリ米購入者は,安全など食への関心が高く,農や自然など環境にも関心が高かった。生産地の情報については,コウノトリの生活誌についてはくわしい理解が進んでいたが,農法に対しては理解が深まっていない面もあることが指摘できた。
  • オンライン販売企業および消費者を対象にした調査をもとに
    韓 英珍, 近藤 加代子
    p. 25-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    オンラインショップは,オフライン店舗に比べ,環境配慮商品の販売およびエコマーク等の商品の環境情報表示が著しく少ない。この現状を踏まえ,オンライン販売企業と消費者とに対して,オンラインショップ上の環境配慮商品の販売・消費行動および環境情報に関する認識と態度について,アンケート調査を行った。その結果,消費者は環境配慮商品の購買意欲を一定示しているにもかかわらず,環境情報に関する知識を持たない販売企業が多く,消費者の環境に配慮した消費行動は阻害されていることが分かった。オンラインショッピングに対応した環境情報表示のあり方について早急に整備する必要があろう。
  • 川原 広誉, 熊谷 樹一郎
    p. 31-36
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    都市計画上で注目される密集住宅市街地の問題では,防災面だけでなく住環境面での問題も派生する。このような地域を対象に整備を推し進めていくためには,まず,広域から建物群の密集状態を定量的に分析し,計画実施地域を誘導することが重要となる。本研究では,建物密集度を分析する上で,従来の平面的な情報からの特徴量に加え,建物高さ情報を用いた新たな特徴量を定義し,これまでに提案された街区単位での広域分析手法に導入した。閾値による分類結果から,建物高さ情報を導入することによって,建替促進ゾーンの抽出精度が向上するとともに,地域特性がより詳細に区分されていることを確認した。
  • 東岸 芳浩, 谷川 寛樹, 橋本 征二
    p. 37-42
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    都市構造物として蓄積された建築物・土木構造物は耐用年数経過後,中間処分場にて再生資材としてリサイクルされるか,最終処分される。また耐用年数を迎える以前に経済的,社会的要因により利用されなくなる建築物も存在する。都市の物質代謝を明らかにし,将来必要・不要となる物質量を知ることは循環型社会の構築に寄与することができる。本研究は建築物の物質代謝を明らかにするためにGIS を用いて,航空写真・現地調査をもとに経年的GIS データベース構築を行った。このデータベースを用い,各年代間の建築物の移り変わりを定量化することで,地域特性を考慮した耐用年数の推計を試みた。
  • 和田 有朗, 道奥 康治
    p. 43-48
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    高度処理水を利用したせせらぎ用水を対象として,水辺環境に対する利用者の満足度などを評価・分析し,建設費と利用者便益の費用便益分析を行った。主として,CVM(仮想市場法)を用いて,せせらぎ水路の環境価値を評価し,旅行費用法との比較を行った。CVM での費用便益比が旅行費用法での費用便益比を上回っている。費用便益分析よりせせらぎ水路は費用便益効果があることがわかった。せせらぎ水路の水辺環境機能は住民から高く評価され,身近な暮らしに役立つ施設となっている。
  • 高木 直茂, 川本 義海, 三寺 潤, 本多 義明
    p. 49-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    道路に求められる機能の方向として4つの概念(強化,拡張,転換,純化)を提示し,生活環境の改善に資する道路の有効活用に必要な視点を体系化するとともに,有効活用例としてすでに取り組まれている既存の交通施策の状況を把握・整理した。つぎに,福井県を対象として,道路の整備方針からみた有効活用方策を8つに整理し,道路管理者の意識と整備実態から方策ごとに注目する有効活用施策を抽出した。最後に環境改善に対するこれらの効果を検討するため,歩行者系の環境改善の一施策について道路利用者である住民の意識から有効活用に対する考え方の整理をおこない,今後のさらなる有効活用のための要点を提起した。
  • 濱野 周泰, 高松 匠也, 鈴木 貢次郎
    p. 55-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    ヤマモモの種子発芽に及ぼす温度や光条件,種子寿命について調べ,生育・種子発芽環境や種子増殖法について考察した。‘瑞光’と‘森口’,‘千葉産’,‘横浜産’の4種の最も発芽率の高い温度は,15°C前後であった。自生地の温量指数によれば,1年のうち約5~6ヶ月間が15.0~17.5°Cであった。この値と実験室内における発芽温度・期間がほぼ一致した。光発芽性種子であり,乾燥短命種子であった。無処理は発芽率は約45%であり,発芽までに180日を要したが,ジベレリン(GA3)処理によって100ppmでは約90日で発芽を開始し,約180日で70%の発芽率に達した。
  • 鈴木 弘孝, 臼井 敦史, 目黒 伸一
    p. 59-64
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本稿は,2004 年8 月に実施した兵庫県姫路市の緩衝緑地(姫路緑地:中島地区)での樹木調査に基づき,胸高直径と樹高との関係から得た回帰直線の傾きとアスペクト比を基に,植栽後約30 年が経過した樹木の生長動態について検討し,今後の樹林の適正な保全と管理の基礎的データを得ることを目的とする。調査の結果,樹林の主要構成種の平均アスペクト比は60.3~77.8 であった。また,当地の潜在自然植生構成種であるアラカシ,コジイの生長が顕著であり,林冠部を占有していた。これに対して,クスノキ,オオシマザクラの高木層での構成比が低く,当地での生長は良好とは言えない状態であった。また,ナンキンハゼについては,平均アスペクト比が100 を上回りアラカシとの種間競争により肥大成長が抑制された状態にあることが推察された。
  • 大藪 崇司, 折原 貴道, 岩瀬 剛二
    p. 65-68
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    本研究では,日本国内に植栽されたユーカリ樹木の生理活性の季節変化とユーカリ樹木から生じる大型菌類の発生消長の対応関係を明らかにするため,三重県亀山市ならびに兵庫県南あわじ市において外生菌根相とその発生消長を調査するとともに,ユーカリ樹木のSAPD 値と光-光合成曲線の季節変化を測定した。その結果,12 種類の菌類相が確認され,そのうち外生菌根性の子実体は,亀山市で4種,南あわじ市で2種であった。外生菌根性の子実体は,5 月から12 月までの8 月と11 月を除いた期間に発生し,樹木のSPAD 値あるいは気温の上昇によって発生が誘導され,気温の低下により収束が引き起こることが示唆された。
  • 照葉樹環境保全林の地上部現存量
    宮内 大策, 藤原 一繪
    p. 69-74
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
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    大分県大分市の埋立地に造成された植栽後30 年を経過した環境保全林で,常緑広葉樹24 本(クスノキ,アラカシ,タブノキ,ホルトノキ,マテバシイ)を伐倒し,幹の直径や樹高を測定したのち,幹重・枝重・葉重を秤量し,相対生長関係を作成した。同林内で胸高直径測定可能な樹木を対象に毎木調査をおこない,伐倒調査で作成した相対生長関係を適用して,二酸化炭素固定量推定の礎となる地上部現存量の推定を行った。その結果,地上部現存量は327.3(幹:230.1,枝:82.3,葉:14.9)t/ha と推定され,日本の常緑広葉樹林の50~60 年生の既往研究と同程度の地上部現存量であることが分かった。
  • 村上 和仁, 石井 俊夫, 瀧 和夫, 松島 眸
    p. 75-80
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    野外設置型モデルエコシステムにおける植物プランクトン相の変遷に着目して群集構造に及ぼす底泥処理の影響,特に種多様性に及ぼす影響について実験的に検討を行った。その結果,1)底泥処理により栄養度に変化が生じ,処理強度が強くなると富栄養化度が低下すること,2)底泥処理により生物相の多様性に変化が生じ,処理の強度が強すぎると多様性が低下すること,3)底泥処理により生態系構造に変化が生じ,処理強度が強いほど構造変化が大きいこと,が示され,環境修復を施工する上では,修復手法の選択に留意し,生態系に及ぼす影響を評価しておく必要があると考えられた。
  • 井上 悠香, 大藪 崇司, 藤原 道郎, 山本 聡
    p. 81-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は海岸埋立地という特殊環境の中で,樹木が健全に育つために必要な環境条件について明らかにした。海岸と直角方向に等間隔に植栽されたマテバシイとウバメガシを調査対象樹木とし,気象状況や土壌交換性ナトリウム濃度などの植栽環境調査および樹高・枝張り・最大光合成速度などの樹木の形状および生理生態調査を行った。その結果,海岸線からの距離と土壌交換性ナトリウム濃度の相関関係が高いこと,土壌交換性ナトリウム濃度の増加に伴い,成長量と生理活性が低下することが認められた。海岸埋立地において成長を維持するためには,海岸線から距離および土壌交換性ナトリウム濃度としてウバメガシでは48m,50.6mg/100g,マテバシイでは88m,25.0mg/100g であると考えられた。
  • 岡 浩平, 吉崎 真司, 小堀 洋美
    p. 87-92
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    神奈川県湘南海岸において,地形特性と砂防柵の有無が海浜植生の成帯構造の成立に及ぼす影響ついて調査した。その結果,砂浜の比高が高い立地は,高波浪時の撹乱など海からの影響が小さく,また海浜植物の多様性が高いことがわかった。また成帯構造の成立には,砂浜の比高を確保し,海からの環境勾配が連続的に変化する立地を形成することが重要と考えられた。一方,砂防柵の設置は,急激に安定した立地を形成するため,環境勾配の連続性を遮断してしまうと考えられた。今後,砂防柵の設置の際には,砂防柵の高さや遮風率,設置位置などを十分に検討し,砂防柵による後方環境の保護機能を維持しつつ,環境勾配の連続性を遮断しない工夫が必要と思われた。
  • リモートセンシングとGISを用いた解析
    アザリアスションゴ ダニエル, 長澤 良太
    p. 93-98
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    サバンナ生態系において,火入れという行為は多くの草食性野生生物の生息地管理のためにきわめて重要である。アフリカ大陸における最大規模を誇るクルーガー国立公園(南アフリカ共和国)でも例外ではない。そこで,火入れ地の分布とその後植生の回復過程および野生生物の出現頻度の関係について,リモートセンシングとGISを駆使した解析を行った。火入れ地の分布と植生の回復過程については,Terra/MODISの16day NDVI合成画像から検討した。一方,指標とした草食性大型動物はアフリカ水牛,ゾウ,サイの3種で,公園レンジャーによって目撃確認された地点をGISデータ化して用いた。その結果,アフリカ水牛とサイの出現はNDVIの値が上昇を始める雨季の始め頃から,火入れが行われた箇所の植生が回復しているところに集中することが確認された。これに対し,ゾウの場合はより多様な餌を求める習性により,火入れとその後の植生回復域とは関係なく分布していることがわかった。
  • 中尾 史郎, 江種 伸之
    p. 99-104
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    紀の川集水域に生息する準絶滅危惧種エサキアメンボのメタ個体群構造を明らかにする目的で,2000ha以上の範囲の溜池と河川の104か所における2年の存否情報を記録した。この地域における飛翔距離は一般に400-500m程度と推定した。3つの独立した生息場所群を認め,そのうちの1つにおけるメタ個体群動態を記述するためにパッチ占有モデルを使用した。生息場所の質とパッチサイズを考慮した空間明示モデルが実際の分布情報に最もよく適合した。
  • 元森 ひろ子, 谷川 寛樹
    p. 105-110
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    1970 年代以降,全国でカメムシによる果樹や作物への被害が深刻化している。和歌山県でもカキやモモなどを中心に被害が広がっている。本研究では,果樹園と果樹カメムシの増殖源となっているスギ・ヒノキ林を地球観測衛星の情報から抽出し,果樹園とスギ・ヒノキ林について空間分析を行うことを目的とした。まず,土地被覆分類は精度向上のため,衛星データを斜面方向・斜面角度別に切り出し,分類作業を行った。次に,抽出したスギ・ヒノキ林から果樹園までの距離や面積の分布について空間的な分析を行った。その結果,被害状況を示すデータとスギ・ヒノキ林の面積の分布で高い相関が得られた。また,解析結果を反映した果樹食害予測マップの作成を行うことが可能となった。
  • 大澤 啓志, 片桐 由希子, 山下 英也, 石川 幹子
    p. 111-116
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    木曽川中流部の河川敷の公園予定地において,カワラサイコを指標種にその生育地特性を考察した。資料図面および現地調査により,生態的立地特性を反映した自然環境情報図として地形区分図と植生図を作成した。カワラサイコの生育分布を悉皆調査したところ,約20400株が確認され,ほぼ高位の河原に分布が限られた。作成した地図に生育範囲を重ね合わせた結果,大部分が稀な冠水性の高位の自然草原に含まれ,このエコトーン区分が本種の主要な生育地であることが示された。また,本指標種の保全上,公園計画において留意すべき事項を考察した。自然環境情報図の応用的な利用として,一連の生態的な計画フローを提示することが出来た。
  • 持田 美和, 倉本 宣
    p. 117-122
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    絶滅危惧種のホトケドジョウは湧水のある環境の指標動物であり,谷戸の代表種でもある。本種は圃場整備された現代の谷戸でも生息が確認されている。本研究では,本種の谷戸内の移動の実態および生活史を明らかにし,本種が生息を続けられる圃場整備後の保全対策の提言を行った。調査は多摩川の支流の三沢川源流域に位置する,3本の谷戸の用水路および細流で行った。環境調査と標識調査を行った結果,谷戸の水路環境によって生活史が異なることが明らかとなった。圃場整備後も本種が生息を続けるためには,非灌漑期にも小水路を機能させることや,水路に堰を残すことが重要である。
  • 小林 昭裕
    p. 123-128
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,自然公園での利用実態調査手法について,調査目的に即した調査手法の適合性および公園の運営管理に資する知見の提供という観点から,既往文献をもとに,改善に向けた課題を検討した。調査目的は,利用実態の把握,利用に伴う自然環境および利用体験への影響,管理の効率性と予測に関するものに大別された。調査手法上の課題として,調査項目,検討対象となる空間スケール,サンプリング手法,計測尺度に関する学際的検討の必要性が示された。現状のサンプリング調査の精度の向上には,調査手法の標準化を行い,事例研究で得られたデータの比較検討を可能にし,調査目的や調査対象の特性に応じた最小単位の計測尺度を定める必要がある。
  • 山本 清龍
    p. 129-134
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    公園利用における期待阻害は,実際にその場所を訪問せずとも生じうる。そこで本研究では,検討の対象となっている地域を利用しない利用者をも含めて,自然公園利用者の期待を把握できるように調査設計し,(1)自然公園の利用者が持つ期待を類型区分すること,(2)属性,登山意向と期待および期待阻害の関係性について明らかにし,登山意向の規定因となる期待阻害を特定すること,の2点を目的とした。研究の結果,富士登山に対する期待を5つに類型区分し,特に野趣性・独居性の保持の期待については,利用者のうち過半数で否定的な登山意向を持ち,期待阻害が生じていることを明らかにした。
  • 一場 博幸, 栗原 雅博, 下嶋 聖, 中島 敏博, 古谷 勝則, 加藤 峰夫
    p. 135-140
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,登山道の荒廃や植生地の踏みつけ,し尿の散乱が山岳性自然公園の問題になっている。本研究では,尾瀬国立公園の至仏山をケース・スタディにして,利用者タイプ,利用行動パターン,至仏山の保全・利用意識について調べた。これによって至仏山利用実態の全体像が明らかになった。さらに,保全のための利用対策上の課題として,インフォメーション機能の強化策の検討,登山道や利用施設の総合的な検討,利用調整(例えば団体の小分割化)や自然ガイドの積極的活用の検討が必要であることが明らかになった。
  • 兵庫県内の事例を対象として
    橋本 美由紀, 錦澤 滋雄
    p. 141-146
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では兵庫県内の都市部のコミュニティガーデンの実態を21事例の現地踏査に基づいて把握し,コミュニティガーデンにおける活動の場の構成要素と活動内容の関係性を分析した。その結果,コミュニティガーデンの活動の場の構成要素と活動内容が相互に影響を与え,「地域の美化」,「安全な地域社会づくり」,「住民間のコミュニケーションの促進」の3点の効果をもたらす関係にあること,また,これらの効果を得たい場合にはどのような活動の場の構成要素や活動内容を設定するのが適当かを明らかにした。これより,コミュニティガーデン活動によって,それぞれの地域の課題に対応していくことが可能になると考える。
  • 有馬富士公園を事例として
    嶽山 洋志, 山下 義弘, 中瀬 勲
    p. 147-152
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    指定管理者制度の導入が進む中,公園のサービス水準を向上するために,PDCAサイクルに基づく自主事業や施設・植栽等の点検・評価・改善の取り組みが,公園管理者に求められている。本研究ではe-leaning等の教育分野で開発したGPS搭載携帯電話とWEB-GISとの連動システムを公園管理に応用し,その有用性を検証した。結果,小さな公園の不具合情報や隠れた公園の魅力情報など,日常管理の質の向上に貢献する情報が得られた。また,システムの特性としては,点検や評価にかかる労力および時間が大きく短縮できることが確認できた。
  • 石内 鉄平, 桑原 祐史, 小柳 武和
    p. 153-158
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,茨城県において重要な観光資源である偕楽園公園の特長や価値をよく認識し,それを維持しかつ発展させていくために,偕楽園公園管理に着目した。現在,偕楽園公園において,利用者の特性を考慮した管理項目は存在せず,公園利用者の回遊特性を反映した公園施設の充実が求められている。また,偕楽園公園は梅の公園として有名ではあるが,一年を通じて,さまざまな花木・草花が楽しめる公園である。偕楽園公園の利用者行動と四季の変化を勘案して,新たな魅力を見出すことを目的としている。
  • 方 芷君, 木下 剛, 田代 順孝
    p. 159-164
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では国内の植物園72 園の基本属性と展示内容を調査し,それらの植物園の展示空間構成要素を集計・分析した。国内の植物園は1960 年代から大量に設立され,面積10ha 以下の植物園が多いことがわかった。また,園内施設と展示内容の集計により,植物園は多様な展示内容をもち,来園者へのサービスと自然教育の役割を重視していることが分かった。展示空間の構成要素の主成分分析とクラスター分析の結果,国内の植物園の展示空間の構成は自然環境型,展示重視型,レクリエーション型と温室観賞型に分けられ,特徴的な展示空間を持つ植物園が多くみられた。いかに各園の特色を発揮し,国内の植物園の水準を向上させるかが今後の課題となる。
  • 土屋 一彬, 鹿野 陽子, 武内 和彦
    p. 165-170
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    水路網の取水から末端までの全体を対象に,現在に至る変遷過程について,旧版地形図とGIS を用いて解析し,さらに,水路が消失および残存した背景について,行政担当者や管理者への維持管理や利用に関するヒアリングも併せて都市化による水路網の変遷について考察した。その結果,消失した水路については市街地の拡大や道路の拡幅などの都市化の進行との関係が認められ,地域ごとの水路網変遷に対する都市化の影響の表れ方の違いを明示することができた。残存した水路の背景については,歴史的景観の保全や農地の水利権など,水路の価値とそれに対応した制度などの存在が共通して指摘できた。
  • 高田 英里, 加我 宏之, 下村 泰彦, 増田 昇
    p. 171-176
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,温泉街の衰退化に伴い,温泉街の景観における地域の固有性や,「ゆっくりと滞在できる」空間としての魅力性を回復すべく「環境活用型の滞在空間」が求められている。湯治の円熟期といわれ長期滞在が一般化していた江戸期中期から末期の温泉地では,源泉を中心として地形構造や生活様式に応答した地域固有の空間構造が成立していた。そこで城崎・有馬温泉地を事例として,空間イメージを規定する概念である「中心性」,「方向性」,「領域性」の3つの視点から両温泉地の空間構造を把握・比較考察を行った。その結果両温泉地の空間特性は,地系・水系構造上の立地特性及び社会的背景に基づく空間構成要素の違いにおいて,特に「中心性」と「方向性」に深く関わっていることがわかった。
  • 山田 桐子, 宮崎 均, 吉田 佐智子
    p. 177-182
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    温泉街が形成されている地形,水系資源,街路形態に着目し,温泉街の空間構造を明らかにすることを目的とする。地形による分類は5つ,水系資源による分類は7つ,街路形態による分類は4 つにそれぞれ分類できた。分類結果をもとに,温泉街の分類を行い,空間構造の傾向が明らかとなった。温泉街の空間構造は地形,水系資源の影響を大きく受けて形成されており,また街路形態は地形別で特徴があり,まちの骨格として温泉街の拡がりに大きく影響していることが明らかとなった。温泉街の空間構造を把握することは各温泉街がもつ固有の地域資源や地域特性を活かし,個性豊かなまちづくりを行う上で重要である。
  • 藤沢 直樹, 糸長 浩司
    p. 183-188
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    丹沢大山地域の自然再生とその担い手を育てる方向を探るために,神奈川県の公立小学校を対象に丹沢大山を教材とする環境教育の実態とニーズを把握した。県下の丹沢地域8市町村の公立小学校68校と都市部の公立小学校625校,計693校を対象としたアンケート調査と教育委員会へのヒアリング調査を実施した。アンケート回収内訳は,丹沢地域37校・都市部149校,計186校であり,環境教育を実施するうえでの共通課題は「時間の確保」であった。環境教育の教材として活用したい丹沢大山の地域資源は”水源地・湖沼・河川などの水資源”が最も多く,次いで”多様な生き物”であった。現状では,丹沢大山地域は小学校環境教育の場としての利用は少ないが,環境活動に関わる組織・団体との連携協力による教育課程における時間有効利用,情報発信により,環境教育の場や教材としての利用を増やすことが期待できる。
  • 森 智香, 深町 加津枝, 堀内 美緒, 奥 敬一
    p. 189-194
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,大学生を対象に,1)環境への関心度と消費行動,2)フェアトレードの認知度と消費行動,3)フェアトレードへの関心度と今後の購入意志を明らかにすることを目的としている。アンケート調査から,大学生の環境への関心は高いが,自分自身の消費行動における環境への配慮は低いこと,フェアトレードという言葉を知っていてもフェアトレード商品の購入経験のない者が半数以上いることなどが明らかになった。また,日常環境に配慮した消費行動を選択している者は,フェアトレード商品の購入経験も,商品と接する機会も多い傾向にあった。フェアトレードについて知るきっかけがあればフェアトレードに関心を示す者が多いことがわかった。
  • マイカップの利用を事例として
    佐藤 あかね, 阿部 治
    p. 195-200
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,一般生活者による日常生活での環境配慮行動を引き起こす要因と阻む要因を明らかにするため,環境配慮行動の一例として「マイカップを利用する」という行動を取り上げ,調査と考察を行ったものである。フィールド調査を中心とした事例研究から飲料購入者がマイカップを利用する理由・利用しない理由を抽出し,広瀬(1994)の「環境配慮的行動と規定因との要因連関モデル」を用いてマイカップ利用とその促進要因・阻害要因との連関について考察した。この結果,マイカップ利用行動においては広瀬(1994)のモデルで示された要因に加え感覚的な評価が要因として連関することを提示した。
  • 章 俊華
    p. 201-206
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,頤和園に生息する植物の花ことばの持つ意味を通して,庭園空間に与えたその場所のイメージの表現と特徴に着目し考察を行った。その結果,松,柏が最も多く用いられ,試練に耐え抜く「節操」,「不老不死」,「長寿永固」の象徴とされ,槐,柳は「招宝」,「たくましい生命力」などの現実的な願いや,陽春の光に満ちあふれるような活力的な庭園空間の表現と特徴を表わしている。桃,竹,丁香,海棠,木蓮,連翹,紫荊,紫藤などで,幸福,長寿,君子,名誉,栄華富貴,子孫繁栄など物質的生活と精神的文明の高度な調和を求めてきた空間を反映している。一輪の花,1本の木を重視し,庭園空間の雰囲気により全体的なバランスを考慮し自然美を再現する。また現実を超越した非現実的理想郷の庭園空間の表現と特徴が見られる。
  • 趙 炫珠, 李 宙營, 藤井 英二郎
    p. 207-212
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    香りの生理・心理的な効果の研究では,西洋ハーブの香りが多く,オリエンタルハーブの香りの評価が少ない。本研究では,6種のオリエンタルハーブの香りを20 代の男女35 名に嗅いでもらい,脳血液動態とSD 法による印象評価を行った。脳血液動態では,ユズ,ヒノキ,ヨモギ,ハッカ,サンショウ,シソの順に脳血流量が減少する傾向が見られた。SD 法では,シソとサンショウ,ハッカは刺激的な香り,ユズは爽やかな香り,ヒノキは木の香り,ヨモギは刺激でない香りとして有意に評価された。これらの結果から,刺激的な香りより爽やかな香りの方が脳活動に鎮静作用の可能性が示唆された。
  • ポッゲンドルフ ロレンツ, 小野 良平, 下村 彰男
    p. 213-218
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    日本では自然崇拝にもとづく神道により, 多くの神社で「神木」がいまだに残されており, これらの木々は樹齢数百年のものが多い。しかし, その意味合いや樹木としての生態的要求に対する知識や認識は欠如していると考えられる。今後, これらの神木を保護していくための知見を得るために, 本研究では旧郷社の境内地内における神木の配置などの現在および過去の状態を把握し, その消失の要因と神木の文化的意義に関して考察を行なった。境内地内での配置などからは上位に位置づけられているものの, 神木は周辺環境の変化や生態学的知識の欠如による枯損などで次第に消失した。
  • 福井県池田町を事例として
    李 泰榮, 小野 恵, 川本 義海
    p. 219-224
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,過疎農山村地域の住民意識に基づいて,生活環境に対する評価,定住意向,生活環境における重要課題の把握およびこれらの関連性分析により生活環境の改善方向を検討したものである。その結果,生活環境に対する評価では全体的に否定的な意見が多いことと定住意向が強いこと,そして生活環境改善の重要性が確認できた。これをもとに因果構造分析を行い,生活環境に対する満足度を高めることが定住意向の向上につながるといった関連性を明らかにした。以上より,地域住民が求めている生活環境の改善方向を検討し,公共交通環境を中心とした買い物環境や医療・福祉環境の改善方向を提示した。
  • 亀野 辰三, 田中 孝典, 熊野 稔
    p. 225-230
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,歩道舗装と街路樹を同時に整備する際の歩行者の選好意識について分析したものである。また,併せて,歩行者にとって望ましい街路樹の高さを見出すことにした。そのために,我々は,舗装の種類,街路樹の高さ,街路樹の色の3つの属性を基に計9種類のシミュレーション画像を作成し,コンジョイント分析を用いて歩行者の選好要因について検討した。分析の結果、被験者は歩道のデザインよりも街路樹の高さを重要視していることが明らかになった。また,望ましい樹高の水準は7mで,9mでもプラスの評価であり,5mの樹高ではマイナスの評価になることが示された。
  • 水上 象吾, 西田 奈保子
    p. 231-236
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分に関するリスク・コミュニケーションのあり方を考察するため,地層処分や施設立地に対する市民の意識や,原子力政策への参加意識等を検討した。その結果,処分施設に対するNIMBY現象が確認されるとともに,施設立地を受け入れる地域への対応として他地域による立場や気持ちの理解が大切であること,原子力政策への市民参加における課題等が明らかになった。また,地層処分問題へ自分が関与しているとの認識は,地域により関係性の捉え方が異なることが示された。以上より,地域属性により地層処分に対する認識が異なることを考慮した議論を行っていく必要があること,市民どうしによる情報共有が必要であることを指摘した。
  • 長澤 恵美里, 藤田 壮, 大西 悟
    p. 237-242
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    川崎エコタウンを対象に,循環型の生産施設の生産技術を工程ごとに分節化して,各工程のCO2排出量削減への寄与度を分析するプロセスを構築した。循環型のセメント産業,製鉄業,ステンレス産業を対象として,新規資源利用効率,リサイクル資源利用効率,新規資源転換エネルギー利用強度,リサイクル資源エネルギー利用強度,中間資源転換エネルギー利用強度,資源循環の代替率を定義して,その比較分析を行った。その結果,資源循環の代替率を向上させることで,CO2排出量を抑制することができることが明らかとなった。また工程を分析化し生産関数を導くことでCO2排出量を算定し,技術要素を抽出した結果として,循環型の生産施設における技術要素とそのCO2の限界的効果を定量的に算定した。
  • 森下 兼年
    p. 243-248
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    1998年の国の地球温暖化対策推進大綱,同年の地球温暖化対策の推進に関する法律等を受けて、都道府県・政令市等の自治体では地球の地球温暖化防止推進計画を策定している。この計画は地域内から発生する温室効果ガスの排出量の算定,削減目標,部門別の対策行動が主な内容となっている。本研究は,全国的に増加傾向にある民生家庭部門のエネルギー消費量について,既存の統計資料を用いて,複数の方法により算定し値を比較した。また,独自の住宅形態,世帯構成を考慮したアンケートによるエネルギー消費量の調査を行い,将来のエネルギー消費量の推計について解析を行った。
  • 坪井 塑太郎, 谷口 智雅, 後藤 真太郎
    p. 249-254
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,現在,石油・天然ガス田開発の進むロシア・サハリンからのタンカー輸送時の油流出事故を想定し,これを人間生活に深刻な影響を及ぼす負の要因をもつ「環境災害」と位置付け,網走湾流域居住者のリスク認知の特徴と海鳥大量死骸漂着による風評被害の影響を検討したものである。その結果,油流出事故のリスクは,他のリスクファクターとの比較から,不可抗力性と制御可能性の双方を併せ持つ特徴を示し,加齢に伴うリスク意識の増大の存在や,地震や風水害といった天災よりも高い確率で発生が想定されていることが明らかになった。
  • 恒見 清孝
    p. 255-260
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    有害大気汚染物質の一つであるニッケルの自主管理による費用対効果を明らかにすることを目的に,2002年度のPRTR排出量データに加えて,一般廃棄物,下水汚泥の焼却に伴う排出,石油・石炭燃焼に伴うニッケル排出量を国内およびニッケルの高濃度地域で推定した。そして,既存の自主管理対策に加えて,フェロニッケル製錬所,製鉄所と火力発電所を対象にした排出量削減対策のシナリオを設定し,各対策の費用効果分析を行った。その結果,フェロニッケル製錬と石油・石炭燃焼がニッケルの主要発生源であること,フェロニッケル製錬所における対策の費用対効果が地域でも高いことが明らかになった。
  • 木村 雄二, 山本 祐吾, 吉田 登, 齊藤 修, 盛岡 通
    p. 261-266
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,シナリオ・アプローチを用いて将来のライフスタイルを規定するドライビングフォースを選定し,多様な価値観に応じて選択・実現しうるライフスタイルを作成した。ドライビングフォースとしては「高齢化」「所得の二極化」「個人化」「時間利用」「情報化の進展」が抽出され,それらから「ロハス型」「地域協同型」「現状維持型」「個人自由型」のライフスタイルを描き出すことができた。また,異なるライフスタイルごとに,食生活を対象とした具体的な生活行動を設定し,それに付随する製品・サービスの戦略づくりをおこなった上で,暮らしに伴って排出される環境負荷の違いを定量的に評価した。
  • 上田 泰史, 盛岡 通
    p. 267-272
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    製品環境負荷低減のツールとしてグリーン調達が,組立て事業者で活発に行われている。本論文では電子・精密事業者のグリーン調達要求内容を基準として,第10回日本経済新聞環境経営度調査の産業別上位会社におけるグリーン調達要求事項について比較整理を行った。その結果,電子・精密,電機,自動車産業は環境管理体制と納入部品環境情報を要求し,鉄鋼・化学等の原材料産業は敷地内プロセスの環境取組みに重点を置く特徴がある。更に,自動車事業者では自社仕様による専用部品環境負荷低減と電子・精密事業者は汎用的な部品調達にグリーン調達を利用する二つのビジネスモデルがあることが分かった。
  • 田原 聖隆, 高田 亜佐子, 義家 亮, 上宮 成之
    p. 273-278
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施においては,製品製造による資源使用量および環境負荷物質排出量の明細表であるインベントリデータの収集が必要である。我が国では環境問題への関心の高まりから,インベントリデータの拡充が求められている。本研究ではインベントリデータの拡充を目的として,PRTRデータを既存インベントリデータへ導入する手法を提示し,既存インベントリデータとの差異について検討した。また,導入手法の一部について日本版被害算定型環境影響評価手法(LIME)によるLCIAを比較した。
  • 細野 哲央, 李 宙營
    p. 279-284
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年行き過ぎた植栽の安全管理が散見されることから,植物が交通の障害となったことにより発生した事故の裁判事例を分析し,植栽の必要最小限の安全管理基準を明らかにすることを目的とした。主にインターネットデータベースを用いて裁判例を収集し,判決上重視された要素と管理者の法的責任の関係性を分析した結果,通行することに心理的な抵抗を感じる程度の植物による交通障害も放置することのないように管理する必要があることや,交通障害の発生が予測できたはずなのに事故発生防止措置がとれていなかったと判断されるような場合には,交通障害除去のための時間的な余裕がなかったとしても不可抗力は認められないことなどが明らかになった。
  • 轟 修, 松村 暢彦, 鳴海 邦碩
    p. 285-290
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,我が国の工業用地は減少に転じており,特に窯業などの地場産業で顕著となっている。そこで本研究では地場産業集積地域における工場跡地の現状と課題を指摘することを目的にした。まず全国の工場立地動向の実態から工場立地として「面積」「利便性」「地価」が重視されていることがわかった。次に工場跡地の再利用における課題を,窯業を地場産業とする岐阜県瑞浪市陶町をスタディとして明らかにした。その結果,当該地域では長期にわたる大量の工場跡地の遊休地化によって建屋の崩落が進む等の環境的課題を呈しており,また全国の工場立地の実態からは当該跡地への新規工場立地はのぞみにくいことが指摘できた。
  • 篠木 幹子, 宇佐美 誠史
    p. 291-296
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年,地方部では公共交通離れが進んでいる。自動車利用から公共交通利用へと行動を変化させる要因を探求するために,本研究では「公共交通に対する重要性の意識」が個人の行動に与える影響を,調査データをもとに実証的に検討する。分析の結果,(1)公共交通利用者は年齢の高い女性であるのに対して,自動車利用者は年齢がそれほど高くない有職者である,(2)自動車利用者ほど,公共交通での旅行時間を長く見積もり,事故死リスクや公共交通の重要性を低く評価する,(3)公共交通の重要性に関する意識は,旅行認知や事故死リスクの認知のゆがみを抑制する可能性がある,ということが明らかになった。
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