日本地球化学会年会要旨集
2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
選択された号の論文の303件中251~300を表示しています
S3  大気水圏光化学反応過程
  • 河村 公隆
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: S3  大気水圏光化学反応過程
    セッションID: 3B12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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     本研究では、インドで採取した2種類の大気エアロゾル試料(汚染および自然起源エアロゾル)を反応チャンバー(石英管)の中にいれ、水共存およびUV照射下におけるOHラジカルとの反応実験を行った。反応終了後、試料を純水で抽出し、ジカルボン酸などを誘導体化した後、GC, GC/MSにて測定した。発表では、低分子ジカルボン酸(C2-C11)・ケトカルボン酸(ωC2-ωC9)・α-ジカルボニル(C2-C3)の濃度変化を報告し、生成と分解など反応メカニズムについて議論する。
  • 渡辺 幸一, 矢地 千奈津, 西部 美雪, 道上 芹奈, 江田 奈希紗
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: S3  大気水圏光化学反応過程
    セッションID: 3B13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    大気中の過酸化物(過酸化水素、有機過酸化物)は、主にオゾンを介した光化学反応によって生成され、二酸化硫黄の液相酸化を促進させることや大気中へのPM2.5の主成分でもある硫酸エアロゾルの供給に大きく寄与していることから、大気中で極めて重要な働きを果たしている。特に、上空大気中の測定は、山岳域など高所における生態系影響評価や雲粒内での硫酸生成過程などを考察するために重要であるが、国内での上空大気中の過酸化物の測定例は非常に少ない。本研究では、ヘリコプターを利用して、富山県上空大気中の過酸化水素、オゾン、二酸化硫黄などの測定を行った。過酸化水素濃度は、地表付近で低く、大気境界層上部で極大であった。また、太平洋高気圧圏内となる通常の夏期よりも、2013年8月のように大陸からの越境汚染の影響を受けていた夏期に過酸化物が非常に高濃度であった。また、夏期は二酸化硫黄濃度よりも過酸化水素が高い状態であったが、寒候期では二酸化硫黄に対して過酸化水素が不足する状態であった。
  • Sunday Oluwatoyin Michael
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: S3  大気水圏光化学反応過程
    セッションID: 3B14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    本発表は、天然水中の過酸化脂質の測定法に関する報告である。過酸化脂質の新しい蛍光プローブに、2-(4-ジフェニルフォスファニル-フェニル)-9-(3,6,9,12-テトラオクサトリデシル)-アントラ[2,1,9-def:6,5,10-d’e’f’]ジイソキノリン-1,3,8,10-テトラオンを用いた。これはLiperfluoと呼ばれ、生体内の過酸化脂質を選択的に定量するのに用いられてきたものである。分析は、蛍光検出器が取り付けられたフローインジェクション分析(FIA)によって行われた。天然水中の過酸化脂質とプローブとの蛍光強度は、過酸化水素、メチルヒドロペルオキシド、エチルヒドロペルオキシドといった他の低分子量過酸化物のおよそ28倍高い数値が出た。この方法を用いて、瀬戸内海海水中過酸化脂質濃度を測定したところ、96.2-382 nMの濃度範囲となった。
G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
  • 中野 孝教
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C01
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    今後の国際的地球環境研究はフューチャーアース(FE)という研究枠組みで進むが、そこでは、(1)地球環境を構成する各圏の相互作用環の実態解明に加えて、(2)それらと食や健康など人間生活との連環、(3)さらに社会との協働や能力開発を図る試みが重視されている。申請者らは、大学共同利用機関法人である地球研におい水や生物を構成する多くの元素と安定同位体比を効率的に獲得できる実験環境を整備すると共に、大学や地域の卒業研究の課題として各地域の陸水に適用し、環境の基盤情報の獲得を試みてきた。これらの多項目水質情報を介したボトムアップ的アップローチは、FE研究でも重要な食のトレーサビリティーや環境モニタリングなどの研究ネットワーク化に貢献できると考えており、その事例を紹介する。
  • 眞中 卓也, 大谷 壮矢, 稲村 明彦, 鈴木 淳, Thura Aung, Raywadee Roachanakanan, 石輪 健樹, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C02
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    ミャンマーのエーヤワディ川流域は、ヒマラヤの河川の中でも特異的にケイ酸塩風化が卓越しており、ヒマラヤだけでなく全球の炭素循環に重要な役割を果たしていると考えられてきた。しかしこの河川のデータは非常に古く、信憑性に乏しい。私たちはこの河川で採水調査を行い、河川水の主要イオン分析から風化岩石の復元を行った。その結果、エーヤワディ川流域のケイ酸塩風化に伴うCO2消費量は63-145 × 109 mol yr-1と計算された。これは従来の見積もりの10%程度に過ぎない。またこれにより、ヒマラヤ全体のケイ酸塩風化に伴うCO2消費量も全球の10%程度と再計算され、ヒマラヤ全体のケイ酸塩風化量が過大評価されていた可能性を指摘することができた。
  • 吉村 寿紘, 若木 重行, 川幡 穂高, 眞中 卓也, 鈴木 淳, ザキール ホセイン, 黒田 潤一郎, 石川 剛志, 大河内 直彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C03
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    ガンジス、ブラマプトラ川は非常に高い87Sr/86Sr組成(~0.72-0.73)をもち海洋への溶存Sr供給源として最も重要な地域のひとつとされる。本発表ではガンジス川・ブラマプトラ川・メグナ川の河川水ならびにベンガル平野で採取した地下水のδ88/86Sr・87Sr/86Sr組成を報告する。ガンジス、ブラマプトラ、メグナ川のδ88/86Srはそれぞれ0.27、0.32、0.28‰で季節変化は認められず、三河川の合流後は0.308‰であった。地下水は0.184~0.365‰の値をとり、平均0.31‰で三河川の合流後の値とほぼ一致した。このことは河川水と地下水がもつδ88/86Srフラックスは大きく違わないという従来の仮定を支持する。
  • 野田 典広
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C04
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    有孔虫や円石藻のように、陸上にも炭酸カルシウムを形成する微生物が存在する。それらの炭素、酸素同位体比を測定したところ、閉じた系で起こるレイリー蒸留の法則に基づく分布となった。また鉱物としてはほとんどがアモルファスな炭酸カルシウムであった。海洋で形成する炭酸カルシウムとは違ったメカニズムが生じている。

    本分野は、主に地盤改良で用いられ主目的の固化の成果はあったほか、亀裂を充填できることも確認できた。
  • 池田 善紀
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C05
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    河川の塩基性化の研究例は少なく、環境に与える影響も不明なことが多い。本研究では、塩基性化が観測されている天野川において2013、2014年に24時間連続観測および採水を実施し、夏季の河川水のpH変化を観察し、栄養塩、アルカリ度、溶存態微量金属の変動について調査し、河塩基性化が環境に与える影響について考察を行った。試料は河川表層水を採取し、気温、水温、pH、溶存酸素(DO)は現地で簡易的に測定した。測定用途によって処理し、持ち帰った試料について、栄養塩類は吸光光度法、アルカリ度は滴定法、微量重金属類はICP-AES法およびICP-MS法、蛍光性有機化合物(FDOM)は3次元励起蛍光スペクトル分析法を用いて分析を行った。塩基性化は2013年にのみ認められ、最大pH9.65を示した。高水温および高DO値を示した。また2014年に比べ2013年の栄養塩濃度が低かったことより、塩基性化の原因としては棲息藻類の光合成による二酸化炭素消費が考えられた。
  • EVEN Emilie, 益田 晴恵, 柴田 崇弘, 千葉 仁, 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C06
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    河川水と河床堆積物を採取し、大阪府の北摂地域の小河川で調査しました。水の濃度は、最大38 ppbのにあったように。海と堆積物中のAsの分布は互いに一致していると、最高濃度は、貫入岩に接触して古生代/中生代堆積岩の地層で発見されています。
    黄鉄鉱のδ34Sのデータは、堆積岩がマグマの活動に関連して硫化物に散在していることが示唆されました。LA-ICP-MSイメージングは、播種性岩石中の硫化物は、一般的に白亜紀後期マグマ貫入の間に堆積熱水鉱床の硫化鉱物に見られる微量元素(として銅、鉄、亜鉛、金)が含まれていることを確認しました。のように富む黄鉄鉱は接触変成作用の間に堆積形成に熱水活動を経て形成されることになります。
  • 新谷 毅, 益田 晴恵, 三田村 宗樹, 根本 達也, 岡崎 香生里
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C07
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    大阪平野は厚さ1500mに達する堆積物からなる構造盆地である。大阪層群と呼ばれるこの堆積物には豊富な地下水が賦存している。私たちは大阪府域の地下水の水質の3次元可視化を目的として研究を進めてきた。その結果、大阪平野中央部の大阪層群最下層から基盤岩にかけて高塩濃度地下水が多く分布することが明らかになりつつある。本報告ではその高塩濃度地下水の起源について検討した。
    大阪府南部や北部の山間には、二酸化炭素を含む塩水が湧出することが以前から知られており、有馬温泉の高濃度塩水との共通性が指摘されてきた。しかし、現時点では、大阪平野深部の高塩濃度地下水と有馬型塩水との関係は不明である。
  • 萩原 直樹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C08
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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     富士山は約10万年前から噴火活動を始め、風化して粘土化した古富士泥流層の上に約1万年前から新富士溶岩層が重なっている。この溶岩層は玄武岩質で流動性が高くまた伏流水を通しやすいので多くの湧水が存在する。これらの湧水を調べたのでケイ酸塩濃度を報告する。

    1 東部地区:御殿場420~490μM、柿田川620~660μM

    2 忍野八海:涌池650、菖蒲池690μM、鏡池660μM、

    3 富士宮:猪之頭500~550μM、、白糸ノ滝630~650μM、
  • 時枝 隆之, 谷口 雄哉, 葛西 眞由子, 伊波 はるな, 小菅 瞭吾, 中山 典子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C09
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    大量のメタンの生成が予想される富栄養化し生物生産性の高まった手賀沼において通年でメタン観測を実施した。表面湖水中の溶存メタン濃度の大気に対する飽和度は、400-87,000%と高度に過飽和状態にあった。湖面から拡散的に大気へと放出されるメタンは年平均で12.7±1.4mgC-CH4/m2/dayであった。この湖沼に1ボックスモデルを適用することで以下の結果を得た。
    ・富栄養湖沼の特徴を反映して、湖水に存在するメタンの多くは湖底堆積物から溶出したものである。
    ・湖水に供給されたメタンの多くは、湖水での平均滞留時間が1日程度で速やかに大気へと放出される。
    ・湖水中での生物学的メタンの酸化除去は夏季から秋季にかけて増加し、全供給量の2割程度を水中から除去する時期もある。
  • 菊地 哲郎, 藤井 学, 吉村 千洋
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    水圏における微量金属の反応性、生物利用性および移動性は、溶存有機物(DOM)との錯形成に強く支配されることが知られている。自然水および下水処理水中の微量金属の溶解性とDOMの分子特性との関係について明らかにするために、相模川流域においてモニタリング調査を行った。採取・分析した全試料について、溶存態の銅および鉄の各濃度(溶存有機態炭素濃度で標準化した値)と、DOMの芳香族性を表す光学指標であるSUVA254との間に、強い正の相関が認められた。化学平衡スペシエーションモデルによる計算の結果、多くの試料において、これらの溶存態金属の大部分はDOM錯体として存在していると推定された。以上のことから、環境条件が異なる様々な自然水および処理水において、単位量のDOMと錯形成する微量金属(銅, 鉄)の量は、DOMの芳香族性により一義的に規定されることが明らかとなった。
  • 橋本 洋平, 古屋 光啓, 山口 紀子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 招待講演
    セッションID: 3C11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    土壌からイネへのCdの移行には,土壌の還元に伴う硫化カドミウム(CdS)の生成によってイネへの吸収が抑制される.既往の研究では,土壌溶液中のCdの化学種を熱力学平衡計算によって推定することによって,Cdの溶解性ならびにイネへの潜在的な移行特性が検討されていた.しかし,土壌の酸化還元電位が理論的にCdSを生成し得る条件であっても,実際の土壌中にCdSが存在しない場合があることが,放射光を光源とするX線吸収微細構造(XAFS)分析によって明らかにされた.これまでの研究において,土壌の酸化還元電位(Eh)の経時的な低下あるいは上昇に伴うCdSの生成変化,ならびに土壌の硫黄(S)の化学種との関係性についての検討はなされていない.また,イネ根圏土壌におけるCdの化学形態と地上部組織への吸収挙動を明らかにすることも重要な課題として挙げられる.これらの未解明な点を明らかにすることを目的として,土壌中のCdをXAFS法およびX線蛍光マッピング(µ-XRF)法を適用した研究を紹介する.
  • 大森 禎子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    二酸化炭素は化石燃料の燃焼により排出しているが、二酸化炭素の排出量に比例して硫黄酸化物の硫酸も排出している。硫酸は雨や雪に溶解して落ちない限り、大気中に蓄積され、極渦や偏西風 の通過道の樹木に、風の通過量に比例して付着して雨で根元に落とされる。硫酸が加わった土壌は金属成分を溶解して金属イオンを溶出する。金属イオンは樹木に吸収されてリン酸化合物からリン酸を奪い、不溶性の金属リン酸化合物になる。樹木はリン酸不足と同じ現象になり、世界中で枯れている。樹木に含まれるタンニンは、金属イオンと化合して防虫効果を失い、虫が大発生する。樹木は二酸化炭素を吸収して糖に変換して生長し、廃材を炭化した木炭は燃焼しない限り二酸化炭素に成らない。樹木が枯れれば、温暖化は加速される。樹木は生長に必要なカリウム等を含み、木炭の中に炭酸化合物として残り、山に撒布すると雨水に溶解して酸性土壌を中和して立ち枯れを救う。
  • 伊藤 理彩, 高橋 嘉夫, 為則 雄祐, 山口 徹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    環礁は標高が低く、自然災害などの影響を受けやすいことから、人類の居住には厳しい環境だと考えられてきたが、マーシャル諸島マジュロ環礁では、2000年以上も前から人類の居住が確認されている(Yamaguchi et al., 2009)。しかしその人間活動に結びつく土壌の発達の詳細な過程については不明な点が多い。そこで本研究では、人が移り住んだことが、土壌発達の過程にどのような影響をもたらしたのかを明らかにするため、土壌中の主成分元素および微量元素の鉛直分布を調査し、その詳細な化学形態ついても分析を行った。
  • 藤森 崇, 板井 啓明, 後藤 哲智, Asante Kwado A, 大塚 将成, 高橋 真, 田辺 信介
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3C14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、途上国での非管理型のE-wasteリサイクル由来の環境汚染が問題視されている。中でも、銅等の有価金属回収や減容化などの目的で行われるE-waste野焼きは、ダイオキシン類縁化合物(DRCs)および重金属類の高濃度排出源となっている。本研究では、ガーナで採取したE-waste野焼き土壌に対してDRCsと重金属類の相互作用を明らかにすることを目的とした。濃度パターンを用いたクラスター・主成分分析の結果、CuおよびPbはDRCsと同一グループに属した。相関分析の結果、特にCuはフラン類(PCDFs, PBDFs, MoB-PCDFs)の生成に関与している可能性が示された。X線吸収微細近傍構造(XANES)により、Cu, Pb, Znの化学形態を同定した結果、主に塩化物(CuCl2, CuCl, Cu2(OH)3Cl; PbCl2; ZnCl2)として存在していると考えられた。また、CuClと複数のDRCsとの有意な正の相関から、Cuの触媒様機構によるDRCs生成が示唆された。
G6  炭化水素資源の地球化学・深部炭素循環
G3  放射性廃棄物と地球化学
  • 吉田 英一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 基調講演
    セッションID: 3D11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    地層処分ではガラス固化体を炭素鋼のオーバーパックで覆い、地下300mよりも深い還元状態と基本とする地下環境に埋設することを基本とする。しかし、廃棄体埋設後の処分坑道近傍が還元状態に復旧するには時間がかかるとともに、操業~埋設期間中に拡散した酸素や酸化状態が一部のオーバーパックを腐食させ、処分場閉鎖後に緩衝材や周辺岩盤中に鉄(水)酸化物の拡散することが想定される。つまり鉄(水)酸化物は、処分場閉鎖後の、周辺岩盤に還元状態の地下水が再浸透してきた後に果たして再度還元され消滅するのか。あるいは、鉄(水)酸化物が還元されない場合、これらは核種移行のバリア機能に関してどのように影響するのか、などについてである。ニアフィールド~ファーフィールドのバリア機能および影響を正確に把握するためには、これらの長期的挙動の理解が不可欠である。

     
  • 岩月 輝希, 林田 一貴, 加藤 利弘, 宗本 隆志, 久保田 満
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3  放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 3D12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    瑞浪超深地層研究所において,地下施設建設・操業時の周辺の酸化還元状態の変化について観測を行った。その結果,坑道の周囲において,地質構造の分布に応じて酸化還元電位が徐々に酸化的状態に変化していることが確認された。また,花崗岩においては,地下施設建設時の酸化インパクトに対して,鉄を含む鉱物の水-鉱物反応が,主要な酸化還元緩衝反応になると推察された。
  • 横山 立憲, 國分(齋藤) 陽子, 村上 裕晃, 平田 岳史, 坂田 周平, 檀原 徹, 岩野 英樹, 常 青, 木村 純一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3  放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 3D13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    炭酸塩鉱物の放射年代学研究が与える年代学的な情報は、将来の長期的な地質環境変動モデル構築への利用に期待できる。還元的な地下環境で生成された炭酸塩鉱物については、未だ年代測定技術が確立されていない。本研究では、レーザーアブレーション試料導入法を組み合わせたICP質量分析計を用いて、炭酸塩鉱物から成る海生化石の微量元素及び同位体の基礎情報を取得し、花崗岩の割れ目を充填する炭酸塩鉱物及び鍾乳石について予察的にU-Pb同位体比測定を行った。その結果、アンモナイト化石中のU-Th-Pb壊変系列の各元素及び同位体分布を可視化することができた。U-Pb同位体比測定では、測定対象とした領域のウラン濃度が低く、また非放射起源の鉛を多く含んでいたため、測定結果から有意なU-Pb年代を得られなかった。一方で、鉛同位体分析から、鉛同位体の組成差が炭酸塩鉱物を沈殿させた水溶液の起源を探るのに有効な指標となることが示唆された。
  • 富岡 祐一, 長谷川 琢磨, 中田 弘太郎, 近藤 浩文, 吉村 公孝, 國丸 貴紀, 西尾 光
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 招待講演
    セッションID: 3D14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では,三浦半島西部の沿岸域において実施した,地下水年代測定による地下水流動場の評価の概要について述べる。

    調査地点の地質構成は、概ねGL-200m以深が泥岩主体の葉山層群(前期~中期中新世)であり、その上位に砂質シルト岩・砂岩互層の三浦層群(後期中新世~鮮新世)が不整合に覆っている。透水係数は三浦層群、葉山層群それぞれ10-7および10-9 m/s程度である。

    地下水年代測定は,深度350mおよび500mのボーリング孔掘削で得られた試料を用いて実施した。地下水年代の指標として,H-3,溶存無機炭素のC-14,Cl-36,およびHe-4を用いた。その他,水素酸素同位体比や各種溶存イオン濃度を分析した。その結果,三浦層群の地下水は流動性が高く,降水を起源とする淡水に対して比較的若い海水が混合しており,また,葉山層群の地下水は700万年程度の地下水年代と推定される化石海水であり,流動性が極めて低いものと考えられた。
ポスター発表(第三日目)
S3  大気水圏光化学反応過程
  • 渡辺 幸一, 高辻 航平, 平井 泰貴, 矢地 千奈津, 道上 芹奈
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S3  大気水圏光化学反応過程
    セッションID: 3P01
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    富山県の立山では、晩秋季から春季にかけては積雪量が膨大であり、約半年間の大気環境情報を記録している。本研究では、4月の立山・室堂平での積雪断面観測を行い、主要イオン成分、ホルムアルデヒドや過酸化水素を分析し、寒候期においての大気環境情報の考察を行った。積雪層内では、NH4+、nssCa2+、NO3-およびnssSO42-については、比較的類似した濃度ピークの一致がみられ、人為起源成分や黄砂粒子の越境輸送の影響を受けていると考えられる。2012年以降、海塩比よりも過剰のCl―がみられるようになっており、最近噴気活動が活発化している地獄谷(弥陀ヶ原火山の噴気孔)の影響と考えられる。ホルムアルデヒド濃度は堆積後の変質の影響を受けているが、nssSO42-などとの濃度ピークの一致がみられることもあり、酸性物質と共に越境輸送されてきている可能性が考えられる。また、過酸化水素濃度は、新雪層やざらめ雪層で濃度が高くなる傾向がみられた。
  • 定永 靖宗, 川﨑 梓央, 鶴丸 央, 井田 明, 岸本 伊織, Ramasamy Sathiyamurthi, 坂本 陽介, 加藤 俊吾, ...
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S3  大気水圏光化学反応過程
    セッションID: 3P02
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    光化学オキシダントの代表的な物質であるオゾンの大気中での定量的な動態は現在でも十分に把握されているとは言い難い。その理由としては、光化学的なオゾン生成が非線形的な挙動を示すことに加えて、オゾンの濃度変化が化学的要因だけでなく、気象学的・物理的な要素も複雑に入り混じることが挙げられる。そのため、化学的な要因と気象学的・物理的要因を切り離して議論できれば、オゾンの定量的な動態把握に向けて大きく前進できることが期待される。本研究ではオゾン生成の光化学的要因について正確に議論できることを目指し、実大気中のオゾン光化学生成速度を直接測定する装置を開発した。また、それを用いて2014 年および2015年夏季に、それぞれ和歌山と東京の森林地域で大気集中観測を行った。本発表では開発した装置の概要と大気集中観測の結果について紹介する。
G3  放射性廃棄物と地球化学
  • 廣田 明成, 東郷 洋子, 伊藤 一誠, 森川 徳敏, 福田 朱里, 鈴木 庸平, 角皆 潤, 池谷 康祐, 小松 大祐, 岩月 輝希
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G3  放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 3P03
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    日本原子力研究開発機構瑞浪超深地層研究所では、花崗岩中に賦存する地下水に関する多くの研究が行われ、硫酸イオン,溶存無機炭素等は浅部で高濃度、塩化物イオン, メタンなどは深部で高濃度となっており、さらに浅部地下水と深部地下水が上下混合していることが分かっている。また、硫酸還元反応、炭酸還元反応などの微生物活動による化学反応も進んでいる。溶存無機炭素と メタンの起源を考える上で、両者の合計濃度の逆数と合計炭素同位体比の関係から、約-25‰の軽い炭素と約-5‰の重い炭素との混合によって形成されていることが分かった。軽い炭素は堆積岩中の有機物起源(約-28 ‰)と考えられ、重い炭素の起源としては海水起源の炭酸塩鉱物(約 0 ‰)や深部流体中の地下深部由来のマントル起源炭素(約-5 ‰)が考えられる。
G6  炭化水素資源の地球化学・深部炭素循環
  • 天羽 美紀
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G6  炭化水素資源の地球化学・深部炭素循環
    セッションID: 3P04
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    東部南海トラフ海域でのメタンハイドレート(MH)の成因を明らかにするために、MH濃集帯を含むコア試料のバイオマーカーを分析し、培養実験によるメタン生成及び酸化活性評価試験、堆積物の遺伝子解析、及び堆積盆シミュレーションの結果との比較を行うことによって、メタン生成ポテンシャルを評価した。メタン生成菌のバイオマーカーと考えられるPMI(2,6,10,15,19ペンタメチルイコサン)の炭素同位体比からPMIの起源がメタン生成菌由来であることが示唆された。PMIの濃度はMH濃集帯で高く、培養実験によるメタン生成及び酸化活性評価試験、堆積物の遺伝子解析の結果及び堆積盆シミュレーションの結果と調和的であった。これらの結果から、MH濃集帯を含む深い深度においてメタン生成活性が活発であった可能性が示唆された。
G8  宇宙化学・惑星化学
  • 佐久間 圭佑
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P05
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
     SmおよびGdの安定同位体である149Sm、157Gdは大きな中性子捕獲反応断面積を有するため、宇宙線照射によって二次的に生成される中性子を捕獲する反応149Sm(n,γ)150Sm、157Gd(n,γ)158Gdに基づく同位体比変動が起こり得る。本研究では、未だ研究報告例のない4つの月隕石試料についてSmおよびGd同位体比測定を行い、その変動度から各隕石の宇宙線照射環境を考察することを試みた。
  • 河井 洋輔, 寺田 健太郎, 上岡 萌, 諏訪 太一, 豊田 岐聡, 石原 盛男, 青木 順, 中村 亮介
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P06
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    イオンマイクロプローブによる局所同位体分析は太陽系の形成過程を明らかにする上で多大な貢献をしてきたが、イオン化効率が低いというのが最大の弱点であった。サブミクロンスケールでの局所分析を可能とするため、我々は、イオンビームによってスパッタされた試料を高出力レーザーでポストイオン化する2次中性粒子質量分析計 (SNMS: Secondary Neutrals Mass Spectrometer) の開発を行っている。これまでの実験から、イオンビームのみによるイオン化の場合と比較して、レーザー照射によりイオン信号強度が10000倍以上増加することを確認した。
  • 横山 築, 山下 陽平, 北島 富美雄, 山内 敬明, 奈良岡 浩
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P07
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    炭素質隕石には多様な有機化合物の存在が報告されている。特に含酸素化合物は多様性に富んでおり、隕石有機物の生成時における酸素の挙動が重要と考えられる。本研究では、2つのCM2隕石(Murchison、Murray)の粉末試料を種々の溶媒で抽出し、元素・同位体比分析、赤外分光分析 (FT-IR)、液体クロマトグラフ分析、プロトン核磁気共鳴分析 (1H NMR)を行い、隕石有機物中の含酸素化合物の化学構造の解明を試みた。測定された酸素含有量と同位体比からメタノール画分は始源的な有機物酸素に富んでいると推測された。また、FT-IRでは1120cm-1付近にC-O伸縮に由来すると考えられる吸収が顕著であり、エーテル化合物の存在が示唆された。1H NMRでは飽和脂肪族アルキル鎖の存在が示唆された。これらの結果から、メタノール画分中の含酸素化合物の大部分が環状エーテルに分岐アルキル側鎖のついた構造であると考えられる。
  • 比屋根 肇, 森下 祐一, 斎藤 元治
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P08
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    SIMSを用いたメタル中の微量親鉄性元素分析の手法を開発し、必要なスタンダードとして合金をいくつか作成した。Y 81020 (CO 3.05)コンドライト中の、コンドルール内部の微小なメタル粒子、およびマトリックス中の比較的大きなメタル粒子について、微量親鉄性元素(とくに白金族元素)の濃度をSIMSを用いて分析した。その結果、PtおよびIr濃度に大きなバリエーションがあることがわかった。
  • 大西 剛司
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P09
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、非集積岩型ユークライトに一般に見られる比較的平坦なREEパターンが単純に主要構成鉱物中におけるREEの組み合わせだけで説明可能かどうかを明確にすることを目的とし、ユークライト中の輝石および斜長石に着目し、個々の鉱物ごとにREE定量分析を行った。輝石のREE測定では、LaとPrのマススペクトル上に主成分由来と考えられる未知の複合化合物イオン種の顕著な干渉により、正確な定量値が得られなかった。Nd~LuまでのMREE~HREEのパターンからLREEはC1コンドライトに対し0.01~0.5倍程度枯渇していると推測される。また、Euの負の異常が認められる。一方、斜長石はREE全質量領域にわたってマススペクトル上の干渉は見られず、LREEに富み、HREEに乏しい右肩下がりのパターンが得られ、Euに正の異常が認められた。コンドライト物質からユークライトとダイオジェナイトの二成分のみが形成されるとすれば、未だ報告例はないが、斜長石に富んだ非集積型ユークライトの存在の可能性も考えられる。
  • 菅 大暉, 武市 泰男, 宮本 千尋, 間瀬 一彦, 小野 寛太, 高橋 嘉夫, 宮原 正明
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G8  宇宙化学・惑星化学
    セッションID: 3P10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
     アエンデ隕石は1969年にメキシコに落下した炭素質コンドライト (CV3) 隕石で、コンドリュール、CAIs、AOAs、Fe/Ni合金およびマトリクスから構成されている。有機物はこの中でマトリクスの部分に含まれているとされているが、サブミクロンスケール観察によるアエンデ隕石中の有機物の分布は明らかにされていない。隕石中の有機物の分布や組成を明らかにすることは、隕石母天体での熱(あるいは水質)変成のメカニズムを理解するための一つの指標となるため大変重要である。

    本研究では、アエンデ隕石のマトリクスから集束イオンビーム法を用いて150 nm程度の厚さに薄膜化した試料を作成した。この試料をKEK-PFのBL-13Aにある小型走査型透過X線顕微鏡 (cSTXM) で観察して有機物の分布と同定を行った。
G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
  • 高橋 浩, 半田 宙子, 高橋 正明, 石川 修伍, 木村 浩之
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    溶存無機炭素の炭素同位体分析を行う上で,試料の採取から分析までに同位体比が変化することがある.最も影響が大きい原因として試料中の生物活動が上げられる.その他にも炭酸塩の溶解や沈殿,外部からの汚染などがある.本報告では,生物活動の影響を回避するために,ろ過が有効であるのか,ろ紙の材質による違いがあるか,また,ブチルゴムのセプタム栓に関する検討結果を示す.
     ろ過をしていない試料では,日数が経過すると炭素同位体比が低下する傾向が見られた.ろ過をした試料では炭素同位体比の変化が小さくなったが,ろ紙の種類ごとに傾向がやや異なるようである.
    灰色と黒色のブチルゴム製のセプタムの2つを比較すると,どちらも炭素同位体比の変化は小さく,両者に差がないように思われる.過去の報告に,灰色のセプタムで,炭素同位体比の変化があること指摘したものもあったことから,今後の変化に注視したい.
  • 南 雅代, 高橋 浩
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    水試料にSrCl2等を添加して炭酸塩の沈殿を生じさせ、沈殿に酸を添加してCO2を抽出する方法(沈殿法)は数mg/Lから数千mg/Lという幅広いDIC濃度を示す陸水を扱う際に便利であり、また、沈殿生成まで行なっておけば、CO2抽出は後でまとめて可能なため、多試料のルーチン分析に適する利点がある。しかし、沈殿法は、沈殿成長に時間を要するため、化学処理に時間がかかるうえ、塩分の多い海水など、水試料の化学組成によっては沈殿が生成しにくく、炭素回収率が低いことがあるという欠点を有している。そこで、本研究においては、炭素回収率が低い原因を明らかにするとともに、14Cならびにδ13C分析値に与える影響について調べた。その結果、水試料中のCa、MgイオンがSrCO3沈殿生成を阻害していること、また、海水においてはSrSO4の沈殿が大量に生成しており、硫酸イオンが沈殿生成を阻害している可能性が示唆された。
  • 中川 書子, 小幡 祐介, 角皆 潤, 小松 大祐, 田中 敦, 梅田 信
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、貧栄養湖の支笏湖および倶多楽湖(北海道)、中栄養湖の琵琶湖(滋賀県)、富栄養湖のさくら湖(福島県)において、同一年内に2回(一次生産が最も活発な時期であると考えられる春と夏)試料採取を行い、その間の溶存酸素および硝酸の三酸素同位体組成の鉛直分布とその変化を求めた。そして、溶存酸素の三酸素同位体組成を使って総一次生産速度を、硝酸の三酸素同位体組成を使って新生産速度(硝酸同化速度)を定量し、また、それらの差から再生生産速度を計算した。これと並行して、窒素15濃縮試薬添加法も行い、比較検証した。
  • 香西 直文, 坂本 文徳, 大貫 敏彦, 佐藤 隆博, 江夏 昌志, 神谷 富裕, 江坂 文孝
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、酵母とゾウリムシから成る単純な微生物食物連鎖系におけるU(VI)とEu(III)の挙動を調べた。酵母に主にリン酸塩として固定された重元素の一部は溶解し、ゾウリムシ由来の水溶性巨大分子に結合し、擬似コロイドを形成した。このように酵母から再溶解する重元素はわずかであり、ほとんどはゾウリムシ由来の膜状沈殿物中にリン酸塩として移行した。この結果は、酵母等の微生物による重元素リン酸塩化による重元素移行抑止効果が、食物連鎖においても概ね維持されることを示す。
  • 野田 典広
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    土壌汚染対策法改正にあたり、トンネルの掘削ずりなどに含まれるヒ素や鉛といった有害物質が法の指定基準を超えて存在する事例がしばしばあり、施工者を悩ませている。これらの合理的な対策について近年の事例を報告する。
  • 福山 繭子, Moses Kachemwe
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、(1)マラウイ南部における地下水の微量元素組成とSr同位体組成に関する地球化学図の作成および(2)基盤岩類の岩石の全岩化学分析から岩石からの地下水への寄与を明らかにすることが目的である。

     マラウイ南部において、20平方km毎に1か所の井戸を選定し、地下水の採取を行った。地下水採取の際、水温、水素イオン濃度指数(pH)、電気伝導度、酸化還元電位(Eh)を測定した。採取した地下水は、秋田大学の四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)(Agilent 7700)で微量元素分析を行った。その結果、過去の限られた研究においてマラウイの地下水はpHが6.3-7.1の範囲を示しほぼ中性だとされていたが、本調査で得られた地下水のpHは5.3-7.2の範囲を示し、特に基盤複合岩体の露出地域ではpHが5.3-7.1と低い値を示した。また、第四紀堆積物の露出地域の地下水は、他の地域に比べ、ほぼ全ての微量元素濃度で高い値を示す。
  • 浅越 佑馬, 寺門 靖高, 岸部 克也, N. M. Refat Nasher
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P17
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    地下水へのヒ素の汚染機構は、還元的環境下で鉄酸水酸化物に吸着されたヒ素が溶出したとする鉄酸水酸化物還元説が有力であるとされている。バングラデシュは地下水の利用が多く試料が得やすいことから、溶存成分の相互関係や微量元素含有量の地球化学的な検討には適している。そこで、本研究ではバングラデシュでサンプリングした地下水のヒ素、および様々な溶存成分の濃度を測定し、それらの相関関係を検討し、地下水水質の形成メカニズムの解明を目指した。バングラデシュダッカ周辺の33地点の井戸と1地点の河川で採水した。アルカリ度、主要陽イオン・陰イオン濃度、ヒ素濃度などを測定した。還元的な地下水は硫酸イオン濃度が低く、鉄、マンガン濃度が高いことが知られている。本研究でもヒ素と硫酸イオンには負の相関、ヒ素と鉄には正の相関があった。しかし、ヒ素とマンガンには負の相関があるように見え、鉄とマンガンが溶出する酸化還元状態がやや異なっていると考えられる。
  • 井上 凌, 益田 晴恵, 米澤 剛, Truong Xuanluang, 中野 孝教
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P18
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
     紅河本流の河川水中総ヒ素濃度は雨季(7-8月):1.4-9.1 μg/L、乾季(4月):2.2-92.9 μg/Lであり、河口に向かって濃度が減少する傾向がみられた。紅河に流れ込む支流の総ヒ素濃度はどちらの時期も本流の濃度よりも低い範囲にあり(雨季:0.2-1.6 μg/L、乾季:0.3-4.5 μg/L)、本流は支流の流入によって希釈される。

     乾期に採取した堆積物中のヒ素濃度は、2.0-55.6 mg/Lであった。紅河本流の堆積物はヒ素濃度が高く、全ての試料で30 mg/L以上であった。河川水中総ヒ素濃度とは異なり、紅河本流で河口に向かって濃度が減少する傾向は見られない。支流の堆積物中のヒ素濃度は紅河本流で採取したものと比べて低く、最大でも12.8 mg/Lであった。

     紅河デルタにおけるヒ素の原因物質は上流の中国領内から紅河を通じ、主として砕屑性粒子として運ばれてきた可能性が高いが、ヒ素を濃集する鉱物の特定は今後の課題である。
  • 吉西 晴香, 益田 晴恵, 淵田 茂司
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
    セッションID: 3P19
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、海底堆積物のヒ素の固定・溶出メカニズムを明らかにすることを目的として、現世の付加体堆積物である熊野海盆において採取された堆積物・間隙水を用いて分析を行った。


     堆積物中のヒ素濃度との比は、100~200mbsfと350~400mbsfで値が増加することから、これらの深度でヒ素が溶出しているといえる。100~200mbsfでは、全ヒ素に占める鉄・マンガン酸化物態の割合が減少することから、この深度では鉄やマンガンの酸化鉱の分解に伴ってヒ素が溶出すると考えられる。200mbsf以深では、堆積物の熟成度を示すTmaxと間隙水中のヒ素濃度に正の相関が見られること、また400mbsfにメタンハイドレートのピークがあることから、堆積物の熟成(脱水)が進んだことで有機物態のヒ素溶出が促進されたと考えられる。
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