労働科学
Online ISSN : 2187-2570
Print ISSN : 0022-443X
89 巻, 3 号
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原著
  • 吉川 徹, 北島 洋樹, 橋爪 絢子, 藤森 洋子, 池崎 陽子, 松田 晋哉
    2013 年 89 巻 3 号 p. 77-88
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は新規開発された「止血弁つき安全装置つき静脈留置針(以下,留置針A)」の末梢静脈カテーテル留置手技における心理的負担軽減効果について,①留置針Aを利用している医療従事者536名への質問紙調査,②従来針と留置針Aの作業分析による比較により明らかにした。その結果,73.0%の使用者が留置針Aの使用は患者のケアと安全にとって効果的であり,82.3%が医療従事者の安全にとって効果的だと回答した。止血弁があることで従来針より末梢静脈ルート確保手技がしやすくなっていることが明らかとなった。作業分析から,留置針Aは従来針より非利き手の「押さえる」行為の平均動作時間が7秒短縮され,非利き手の「離す」,「持つ」の動作は2秒増加していた。止血弁により,非利き手の自由度を確保したことが,作業の余裕を生み,血液曝露による不安を軽減したものと考えられた。一方,止血弁の存在をうっかり忘れてしまうことによる止血弁解除後の血液漏れなどの事例も報告されており,従来針に新たな性能が付加された器材の導入には別の血液曝露リスクももたらされることも確認された。(図2,表5)
  • 尾之上 さくら, 吉川 徹, 毛利 一平
    2013 年 89 巻 3 号 p. 89-101
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/25
    ジャーナル フリー
    本調査は,港湾労働者100名を対象として,港湾における労働者の健康状態,安全衛生の現状と課題を理解することを目的に行った。健康状態に関しては,特にメンタルヘルスの問題に注目し,ストレス関連遺伝子の解析により個人のストレス耐性を評価した。その結果,全体の27.1%にストレス反応がみられ,47.9%の人に軽度から重度の抑うつ状態が見られた。また,遺伝子解析では,s/s型,s/l型の遺伝子型で抑うつ状態となる可能性が高くなることが分かった。各企業とも安全衛生に対するさまざまな取り組みが行われていたが,メンタルヘルス面での問題解決につながる効果的な対策を確認し,講じていくことは今後の課題と考えられた。(表10)
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