労働科学
Online ISSN : 2187-2570
Print ISSN : 0022-443X
90 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論説
  • 小木 和孝
    2014 年 90 巻 3 号 p. 88-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/01/25
    ジャーナル フリー
    故斉藤一医学博士(1910-2014)は,1935年倉敷労働科学研究所に入り,労働科学研究所にあって研究を続け,1982年に所長を退任後までにわたって,労働科学研究を先導し,支えてきた。産業現場調査をもとに労働負担に着目して,その実態と改善策について実証的研究を行った。とりわけ,高温環境における水分喪失と内部環境の調整,労働時間と交替制のあり方,技術革新下の労働生活実態にそくした健康対策について半世紀を越えて研究を続けた。労働の生理的負担とそれに伴う血液性状など内部環境の調整を睡眠時を含む生活実態に見合って調査する研究手法が基盤になっている。研究成果をもとに,これからの産業労働のあり方についての労働科学的見地から多くの提言を行い,広く応用された。アジア地域との国際協力にも積極的に取り組んだ。人を惹きつける人徳に根差した指導と洞察力により,労働科学研究の発展に大きく貢献した。
原著
  • 茂木 伸之, 鈴木 一弥, 酒井 一博, 鈴木 浩之, 尾本 きよか, 谷口 信行
    2014 年 90 巻 3 号 p. 94-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/01/25
    ジャーナル フリー
    超音波検査は筋骨格系障害のリスクを抱えている。本研究の目的は,検査部位と被検者の体型を考慮したリスク低減のための改善方策を探ることである。病院の検査室に勤務する超音波検査技師7名を調査対象とした。腹部検査と心臓検査の作業姿勢を分析した。被検者モデルの体型は2条件(標準と太め)であった。
    腹部と心臓の超音波検査において筋骨格系障害のリスクのある姿勢が同定された。一部の姿勢角度に被検者モデルの体格差による影響がみられた。被検者の体格が大きい場合に,腕の拳上や上体の傾きの出現が増大した。
    超音波検査者の筋骨格系障害を予防するためには,超音波診断装置の人間工学的な調節をする改善が重要である。周辺で使用する機器の改善も必要であることが本研究で示唆された。特に,検査台の高さの調節が姿勢負担を軽減することが示唆された。(図5,表3)
  • 中村 肇, 高野 研一
    2014 年 90 巻 3 号 p. 105-114
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/01/25
    ジャーナル フリー
    わが国の中堅中小ものづくり企業の経営手法の1つとして著者らが提案している 「技能を活かした経営戦略(“技能経営”)」 について,技能経営の実施レベルが高いと判定された企業の追跡調査によって有効性を把握した。技能経営の実施レベルが高いと判定された企業について企業情報データベースより得られた3~8年後の利益との関連を分析した結果,技能経営を実践している企業は同種の企業全般と比較して黒字企業の割合が大きいこと,技能経営の実施項目の中でも 「自社の技能の広範かつ継続的なアピール」 を行っていることが中期的な利益状況に好影響を与えていること等が明らかとなり,技能経営が有効な経営のあり方であることが示唆された。(図4,表6)
feedback
Top