日本看護科学会誌
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22 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • がん看護に伴う看護者の不安に関する因果モデルの検証と再構築
    犬童 幹子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はがん看護に伴う看護者の不安尺度を従属変数とし, 否定的看取り体験やがんイメージなど 17 の要因を独立変数とする因果モデルについて, 重回帰分析により検証することである. 調査方法は大阪府内 8 総合病院のがん看護に携わる看護者500名を対象に, 自記式質問紙調査を 1998年 7月~ 8月に実施した.
    その結果,
    多重共線性の問題を排除する作業過程を経て重回帰分析を行った結果, 6 変数によって説明された重相関係数は 0.59 (P<0.001) であり, 有意な影響の強い順は, (1) 否定的看取り体験,(2) がん看護目標に対するギャップ感, (3) 仕事だから仕方なく, 事務的な気持ちで接した態度, (4) 死という言葉を会話の中で口にしたくない態度,(5) 否定的がんイメージ,(6) 看護者のインフォームド・コンセントがうまくいかない状況, の順であった.
    以上の結果より, がん看護に携わる看護者のメンタルな健康のために, 看護者の不安に影響するこれら 6 要因について, 個人的に或いは組織の中で検討される必要性があることなどが示唆された.
  • 中島 登美子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 早期産の母親が実施するカンガルーケアは, 早期産により傷ついた体験の癒しと子どもに対する愛着にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした. 対象は早期産となりカンガルーケアを 3 回以上実施した母親20名, 介入はカンガルーケア(skin to skin care), 測定した変数は, 早期産体験の癒しと母親の愛着, および早期産体験の癒しと関連する気分である. データ収集時期は, 介入前, 介入2週間後, 子どもの退院前の計3回である. データ収集は質問紙法による数量的測定と面接データによる質的測定を用い, これらの結果の類似点と相違点を検討した.
    数量的測定結果は, 早期産体験の癒しの下位尺度, 辛さのとらわれからの解放と現実の受けとめは, 2週間後と退院前は介入前より有意に高かった (p<0.03~p<0.000). これらの変化とやや異なり, 自己の確かさは退院前のみが介入前より有意に高かった (p<0.009). 母親の愛着は, いずれの時期にも有意な相違はなかった. 早期産体験の癒しと関連する気分については, 抑うつ-落込みは2週間後が介入前より有意に低く (p<0.02), 活気は退院前が介入前より有意に高かった (p<0.01).
    面接データでは, 介入 2 週間後には, 罪悪感と不確かさがやわらぎ辛さにとらわれることから解放されていた. 辛さがやわらぐ要因として, カンガルーケアにより子どもの生きる力を感じ取ったことがある. また, 退院前には, 母親として子どもをケアする確かさを得て, ほぼ全員が辛かった早期産体験を肯定的に意味づけていた. これらは数量的測定結果と類似していた. 一方, 辛さにとらわれる程度はケースにより相違があり, その辛さは子どもに対する関係の取り方に影響していた.
  • 深谷 安子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は ADL ギャップ自己効力感尺度を開発し, 慢性期の運動機能障害があり運動リハビリを受療中の在宅要介護高齢者146名を対象に, その信頼性と妥当性を検討した. 本尺度は主成分分析とKappa統計による10項目からなる-次元尺度であるが, 信頼性の検討の結果, Cronbach'α係数 0.86 で内的整合性があり, テスト・リテスト相関係数 0.74 で中等度の安定性も認められた.
    構成概念妥当性は本尺度と ADL ギャップ及び本尺度と抑鬱度との関連性より検討し, 双方に有意な相関が認められ支持された. 併存妥当性は本尺度と一般的自己効力感との関連性より検討したが, 64歳以下, 男性, 歩行自立者の場合に支持された. 本尺度の予測妥当性は直接的には支持されなかった. しかし, ADL ギャップ自己効力感は ADL ギャップを通して ADL 変化に影響することが示され, 間接的に支持された.
  • 手術前後のサポーターの内容と変化
    福井 里美
    2002 年 22 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    がん切除手術の為に入院した中年期患者 (n=23, 平均年齢 52.3±7.68) を対象に, 手術前から退院後 3 カ月まで縦断的に個別面接を行い, ソーシャル・サポート・ネットワークの内容と変化を検討した. 重要度を3段階に区別してサポーターを挙げてもらい, 次にその人を選んだ理由を聞いた. その結果, 患者は一貫して平均 14.5 人をサポーターとしてあげ, 内容は配偶者, 子ども, 自分のきょうだい, その他の親族, さまざまな友人, さらに医療者など多様であった. しかも患者は, それぞれが自分にとってどのような意味があるかを識別しネットワークを構築していることが明らかになった. 最も重要なサポーターには信頼と親愛の気持ちが基礎にあること, 次に重要なサポーターからは情報的・道具的サポートを受けていることがわかった. また, 医師や看護婦はその専門性が最も期待される治療の時期にサポーターとみなされていた. 最後に, ソーシャル・サポート・ネットワークの個人差, 新たなサポーターの可能性,「アンビバレントな感情」の3点について論じた.
  • -分娩介助実習での学生のストレス反応の測定-
    村山 陵子, 渡邊 典子
    2002 年 22 巻 1 号 p. 44-52
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 浅野 みどり, 石黒 彩子, 杉浦 太一
    2002 年 22 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 10歳以上の学童を対象に作成した 4 領域 40 項目で構成された自記式調査票「気管支喘息をもつ学童の QOL 調査票 Ver. 1 (JSCA-QOL Ver. 1)」の信頼性, 妥当性および因子構造を確認し, 質問項目の精選, QOL の構成概念について検討することを目的とした. 愛知県・岐阜県下 11 病院小児科外来に通院中の気管支喘息の学童( 10 歳~18 歳)で, 本人と保護者から同意が得られた 159 名を対象に調査し, 有効回答総数は 142 ( 89.3%)であった.
    その結果は以下の通りであった.
    1. 40 項目の調査票全体,「身体」「社会」「感情」の 3 カテゴリーにおいては Cronbach's α 0.6以上を示したが,「家族」は 0.44 で低く十分な内的整合性は得られなかった.
    2. 反復再現性 (有効回答 98 名)は, 全カテゴリーの級内相関係数が 0.6 以上と高く, 安定性が確認できた.
    3. 40 項目の因子分析では累積寄与率が低く, 因子負荷量 0.4 未満の 15 項目を除いて 25 項目で再度因子分析 (主因子法, バリマックス回転) を行なった. その結果 5 因子が抽出され, 累積寄与率は 48.6%であった. 喘息学童の QOL の構成概念として「日常生活の変化」「生活充実感」「発作誘発」「活動制限」「家族のサポート」の 5 因子が確認された. 今後は「家族サポート」項目, 総括スケールの追加等の修正について再検討し, より精度の高い QOL 調査票を開発する必要がある.
  • -In Search of Core Principles for Nursing in the 21st Century-
    Sumiko Maehara
    2002 年 22 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • Jean Watson
    2002 年 22 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    This paper offers an overview of Holistic Nursing and Caring. It introduces an expanded model for nursing and health care. It is founded upon core values related to holism, grounded in the heritage of Nightingale, yet congruent with contemporary nursing theory and professional developments in “holistic” nursing and medical circles. The concept of holism, and holistic, with their origin in the Western world, were discovered during the conference as perhaps inadequate and different from Japanese and Eastern meanings, language, and orientations toward holistic. That is, perhaps Japanese nursing does not require the language of “holistic”. Rather, with the leadership of Dr. Sumiko Maehara, the conference participants were invited to consider the Japanese word, “Yorisou”, conveying “being with, or going with” as perhaps a more useful term for Japanese nursing than the word holistic. In the end, the convergence of shared values of caring, love, presence, honoring self and other, and Being with, become core for nursing, transcending continents, world-views and time. This paper highlights the convergence of values of caring that are both holistic and more, uniting Eastern and Western Nursing.
  • (The Meaning of the Group or Region)
    Barbara Bowews
    2002 年 22 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • In Search of Core Principles for Nursing in the 21st Century
    Darunee Rujkorakarn
    2002 年 22 巻 1 号 p. 82-92
    発行日: 2002/03/31
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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