Journal of Computer Chemistry, Japan
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16 巻, 1 号
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巻頭言
追悼寄稿
ハイライト
研究論文
  • 陳 奕廷, 陳 皇州, 福田 光完
    2017 年 16 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/03
    [早期公開] 公開日: 2017/04/14
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    電子付録

    八面体構造から四面体構造まで塩素数に応じて構造が変化する塩化鉄(III)錯体に対してDFT法を用いて理論計算を行った.使用した汎関数はBHandHLYP,wB97XD,CAM-B3LYP,LC-wPBEの4種である.基底関数には6-311+G(d,p)あるいは6-311+G(3df,2pd)を用い,PCM法による水媒体中で計算を行った.4種の汎関数を用いたDFT法は概ね錯体構造をよく再現した.2原子の塩素が配位した八面体型[Fe(III)Cl2(H2O)4]+cis型とtrans型の安定性,及び3原子の塩素が配位した三方両錐型の[Fe(III)Cl3(H2O)2]と四面体型の[Fe(III)Cl3(H2O)] の安定性をエネルギー的に比較した.振動計算から得られる配位水分子の伸縮振動の波数の変化を[Fe(III)(H2O)6]3+から[Fe(III)Cl3(H2O)]まで調査したところ,八面体型では水分子の減少とともに伸縮振動は高波数側へシフトし,フリーの単独水分子の伸縮振動に近づく.八面体型では塩素原子の鉄への配位は鉄の極性を低下させ,その結果として水分子との相互作用を弱めると考えられる.しかし,三方両錐型([Fe(III)Cl3(H2O)2])から四面体型([Fe(III)Cl3(H2O)])になるにつれ再び伸縮振動はやや低波数側へシフトした.配位する塩素原子数が同じ3であっても,水分子数が少ないほど鉄との相互作用は強められる.鉄-酸素間距離についても同じ傾向を示した.

  • 吉田 彩乃, 櫻沢 繁
    2017 年 16 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/03
    [早期公開] 公開日: 2017/04/22
    ジャーナル フリー HTML

    複雑な実世界に適応するロボットを開発するために,生物の階層性を模倣したシステムが開発されている.しかしそれらのシステム全体を制御するための同期機構は,コンピュータによる計算によって構成されている.そのアルゴリズムは設計者によってシステムの外部から与えられているため,フレーム問題を回避できない.フレーム問題を回避するためは,システムの内部から生ずる計算アルゴリズムによってシステムが動作する必要がある.そこで我々はBZ反応が計算として機能することに着目し,BZ反応による自励振動ゲルを用いて,アルゴリズムを与える事無く自発的に一方向の運動を示す化学ロボットの開発を目指した.その結果,BZ反応に寄与する物質の拡散速度とゲルの形やサイズのバランスをとることで,内生的に非対称性を作りだすことと,その化学反応によって実際にゲルが一方向に蠕動運動することを具体的に示すことに成功した.

技術論文
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