5年以上経過観察しえた精神運動発達が正常な小児の大発作痙攣患者132例のてんかん波消失に関し検討し, 次の結果を得た。
1) てんかん波の出現には年齢依存性があり, 6~10歳にてんかん波検出率のピークがあり, 以後減少し17歳時点では11.7%にみられるのみであった。
2) てんかん波消失に関しては, 加齢に伴う脳の成熟が, 抗痙攣剤の効果, てんかん波内容よりも大きな影響を持つ可能性が示された。
3) 無治療例が7例みられたが, 全例初診後5年以内にてんかん波は消失していた。
4) 脳波内容では, 皮質焦点波と全汎性棘徐波結合の両者を示したものの予後が悪かったが, これらの多くは初診年齢の早いものが多く, 年齢素因を加味すると有意差はみられなかった。
5) 抗痙攣剤内容, 血中濃度との脳波的予後に相関はみられなかった。
以上の結果より, 精神運動発達が正常な小児のてんかん波は脳の成熟に伴って自然消失する可能性の高いことが示唆された。
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