“健全な水循環の構築” は, いまやわが国の水行政における共通の基本方針である。というのは, 第二次大戦後の国土復興, 高度成長を支えた急速な国土開発, さかのぼれば20世紀初頭以来の近代化を支えた国土開発によって, 自然界に長く営まれていた水循環は著しく変化し, そのためさまざまな悪影響が生じ, われわれの生活基盤に脅威を与えてきている。
開発が水循環に与える影響は重要な研究テーマでもあり, それに基づいて, 今後は開発計画樹立にあたって, 水循環への影響を事前に予測し, その対策を考える “水循環アセスメント” が必要である。
水田経営の近代化は, 水田周辺の水循環に影響を与えるが, 今後重大なのは, さらに進む減反政策が, 水田周辺のみならず, その流域に与える水循環の変化について十分予測し, その対策を考えるべきである。
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