ペット栄養学会誌
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18 巻, 2 号
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原著論文
  • 木村 友子, 秋山 蘭, 兼田 裕希, 上田 香織, 丸山 夏輝, 小田 民美, 佐伯 香織, 森 昭博, 左向 敏紀
    2015 年 18 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    食後の血糖上昇に最も影響を与えるのは炭水化物であり、摂取した炭水化物量によって追加インスリン療法を行い、食後の血糖値をコントロールするカーボカウントという方法が近年注目されている。そこで本研究では、炭水化物摂取量の違いが糖尿病犬の血糖値およびインスリン必要量に与える影響について明らかにすることを目的とし、速効型インスリン1.0 Uを注射することによって摂取できる炭水化物量、つまり犬におけるカーボカウントの算出について検討した。血糖値をリアルタイムで確認できる人工膵臓装置を糖尿病犬に接続し、コントロール食と高炭水化物食(コントロール食+コーンスターチ粉)を給与して、速効型インスリンによる連続的静脈内投与を行い、正常血糖範囲(血糖値80-120 mg/dl)を維持した。結果は、高炭水化物食のインスリン必要量はコントロール食と比較して増加し、速効型インスリン1.0 Uあたり炭水化物をおよそ12.7 g摂取できることがわかった。この炭水化物摂取量は糖尿病犬のインスリン効果値によって左右されるため、あらかじめ個体ごとのインスリン効果値を算出する必要があると考えられた。本研究より、食事中の炭水化物量は糖尿病犬におけるインスリン必要量の決定に関する重要な因子であることが示唆された。
  • 片野田 祐介, 桃井 康行
    2015 年 18 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    歯周病はイヌやネコで高頻度にみられる口腔内疾患である。ヒトではジンジバリス菌を中心とした歯周病菌がその病因に関わっており、イヌやネコでもヒトと同様の歯周病菌が関与している可能性がある。本研究では歯周病菌を半定量的に評価する医療用のプロテアーゼ検出半定量キットをイヌとネコに応用し、さらに菌種特異的なプライマーを用いたPCR法による歯周病菌の検出と口腔内を視覚的に評価しスコア化を行なった。その結果、イヌでキットによる評価と視覚的な歯周病スコアの間に相関がみられ、イヌにおいてキットによる客観的な歯周病の評価が可能であると考えられた。またネコでもキットにより口腔内のプロテアーゼを検出することができた。次に歯周病の予防・改善効果が期待されるラクトフェリンなどを含むサプリメントの効果について検討した。8頭のイヌに1日2回、1週間サプリメントの給与を行なったところ、簡易検査キット、PCR法、視覚的口腔内スコアのいずれでも改善がみられる例があったがサプリメントによる改善に有意な差は認められなかった。本研究では、医療用のプロテアーゼ検出キットがイヌの歯周病の病態評価に利用できる可能性が示唆された。
  • 小田 民美, 森 昭博, 佐伯 香織, 左向 敏紀
    2015 年 18 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ヒトの研究において、血糖値、インスリンやインクレチン濃度には日周リズムが存在することが知られているが、犬においては明らかではない。したがって、本研究の目的は、朝夜での健常犬の血糖値、インスリン、インクレチン濃度を比較検討することとした。朝7時から夜7時の朝試験と、夜7時から朝7時までの夜試験を比較した。本研究では、4頭の健常犬を用い、朝夜7時の12時間ごとに同じフードを同じ量給与した。そして、食後の血糖値、インスリン、インクレチン濃度(glucose-dependent insulinotropic polypeptide〔GIP〕and glucagon-like peptide-1〔GLP-1〕)を測定した。血糖値は朝夜で有意な変化は認められなかった。一方、インスリン濃度は食後1時間目に夜試験で有意に上昇していた。GIP、GLP-1濃度は食後数時間で増加し、徐々に低下していく日内変動をとったが、朝夜で最高濃度が異なっていた。これらの結果より、健常犬においてもこれらのパラメーターに日周リズムが存在することが明らかとなった。
  • 佐子田 嘉明, 後藤 尚也, 影山 靖, 田口 福志, 池田 周平, 祐森 誠司
    2015 年 18 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    高脂肪食を摂取したマウスの系統間で脂質代謝の差異を検討した。C57BL/6J(B6)、BALB/cA (BALB)およびKKマウスに、通常食と、高脂肪食として高紅花油食、高ラード食、高パーム油食を6週間不断給餌後に解剖し、肝臓と精巣上体周囲脂肪の重量、血液生化学値を測定した。B6とBALBマウスは、高紅花油食群と高ラード食群の体重が有意に増加し、KKマウスは高脂肪食群全てで有意に増加した。B6とBALBマウスの脂肪重量は高ラード食群が最も大きかったのに対し、KKマウスは高パーム油食群が最も大きかった。血糖値は、B6マウスでは全ての高脂肪食群で、BALBマウスではと高ラード食群で有意に上昇し、中性脂肪は、BALBとKKマウスの高パーム油食群で有意に上昇した。よって、マウス系統と摂取した食餌中の脂肪の違いにより、脂質代謝反応は異なることが明らかとなった。
総説
解説
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