本稿は,CTの線量管理として,米国で先駆的に実施されているACR-DIR(American College of Radiology-Dose Index Registry)の概略を述べた.また,本邦におけるDIRの現況について,ACR-DIRソフトウェアの試用経験からその有効的な活用方法と問題点,そして肺がんCT検診の精度管理にDIRを応用し,開発を進めているCADIシステムについて述べた.CADIは,CTの線量管理機能だけでなく,画質管理機能も有していることが特徴の一つである.東日本大震災を通じて,多くの国民が放射線を,そして放射能を怖がり不安を募らせている.ビッグデータの解析は,さまざまな場面で有効的に活用されている.しかし,ビックデータつまり医療被曝の履歴がなければ何も始まらない.国際社会の枠組みに同調し,本邦によるDIRシステム,ひいては国家的な放射線のデータ管理の確立に期待したい.