カップ式自動販売機やディスペンサーで使用されているバルブやノズルなど機能部品の耐久性評価として,それらの部品に使用されている3種類の熱可塑性樹脂(LLDPE,POMおよび PA612)を成分組成(クエン酸,アスコルビン酸,エタノール,ショ糖,リモネン)が異なる種々のシロップに浸漬し,樹脂の物理的特性やシロップの異臭味の変化を調べた.シロップが,樹脂の物理特性(引張強度,伸び,弾性率など)に影響し,同時に,樹脂がシロップの味に影響することがわかった.LLDPEでは,リモネンを含むシロップに浸けると樹脂の膨潤と引張強度の低下が顕著に見られた.PA612では,膨潤および,引張強度,伸び,弾性率などの物理的特性に大きな変化が見られた.POMでは,エタノールによる膨潤と弾性率の低下が見られ,さらに,エタノールとクエン酸両方を含むシロップに浸漬した場合にシロップの味がかなり変化した.本研究により,部品の耐久性や飲料の品質を確保するためには,シロップの成分に応じた樹脂を選択することが重要であることが示された.
前報においてPOMをクエン酸とエタノールを含むシロップに浸漬させたところ,シロップに異臭味が生じることが分かった.そこでクエン酸とエタノールの含有量が異なる複数のシロップを用いてその発生条件について検討および原因物質の特定を行った.クエン酸とエタノールを含む複数のテストシロップに,成形したPOMを浸漬し,そのシロップに対して分散分析付味覚評価を行なったところ,クエン酸とエタノールがPOMに相乗的に作用することで異臭味が生じることが明らかになった.樹脂を浸漬したシロップをGC/MSで分析し,溶出物質の検出強度と異臭味の強度との相関を評価した結果,脂肪酸とヒンダードフェノールが異臭味の主な原因物質であることが明らかになった.これらの原因物質は,POMの分子量や化学組成に依らずクエン酸とエタノールの相乗作用により生成されることが分かった.
The polyetherurethane was composed by using poly (ethylene glycol) (PEG) and Lysine triisocyanate (LTI) and was provided at a high yield (90%). The polyetherurethane was characterized by thermal and mechanical properties. The thermal stability of the obtained polyetherurethane was measured by TGA, and the weight loss started at 290°C. The Young’s modulus of the obtained film taken from S-S curve was 63.2MPa. As a result of hydrolysis in phosphorus acid buffer solution (pH 8.4) as degradable examination, the obtained polyetherurethane was disintegrated into PEG and LTI.