人造大理石浴槽の温水浸漬による耐久性評価は,色差計や光沢度計を用いた視覚的評価で行われている.一方,機械的評価は曲げ強度や衝撃強度のような試験体の厚み全体の測定に基づいたものであり,劣化が生じている表面部分を測定した例は見当たらない.そこで,SAICAS(表面・界面切削装置)を用いて表面劣化の機械的評価を行った.人造大理石は,粒度分布の広いフィラーで構成され,その分散状態は均質ではない.
本研究で使用した人造大理石試料はシランで表面処理したガラス粉末をフィラーとして作成した.シラン処理および未処理のサンプルを90°Cの温水に所定の期間浸漬した.温水浸漬した試料表面の機械的性質をSAICASにより測定し,得られた水平力(Fh)の値を用いて試料表面の劣化状態を検討した.その結果,人造大理石の温水による表面の劣化状態やガラス粉末の表面処理の有無の差が,SAICASを用いて評価できることが分かった.
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