多成分系のポリプロピレンインパクトコポリマー (ImPP) の複雑な熱酸化劣化挙動を明らかにするために, 昇温溶離分別法 (TREF) を用いてI (105℃~110℃), II (110℃~115℃), III (115℃~145℃) の3つの温度領域でそれぞれ分別・分取を行ない, 各フラクション毎の熱酸化劣化挙動を調べた.FT-IRや
13C-NMR測定より同定したこれらフラクションの一次構造の結果と劣化挙動の結果を併せて検討を行なったところ, 一番高い温度領域IIIで得られる1mPPのマトリックスであるフラクションは高メソペンタッド (mmmm) 連鎖からなるPP単独重合体を主成分としており, 熱酸化劣化に対する耐性がもっとも劣ることが分かった.以上の結果から, ImPP全体の劣化耐性は基本的にこのフラクションの含有量によって決定されることが示唆された.
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