近年,給水・給湯用に使用される配管材料の架橋ポリエチレンは,高温時の高強度性,耐クリープ性が求められており,特に過酸化物架橋によって得られる架橋ポリエチレン管は,他の方法で製造される架橋ポリエチレン管に比べて高い架橋度を持ち,高温クリープ特性,耐衝撃性などに優れている.
本研究では,この過酸化物架橋ポリエチレ管に配合する安定剤の種類と量による架橋度への影響と酸化誘導時間で表される安定剤の残留量への影響を調べ,架橋阻害を起こさずに,酸化誘導時間を長くできる配合を見い出した.その配合で調製した管について長期のクリープ性能および耐塩素水性能の評価を行い,必要とされる耐久性を有することが分かった.
このことから,配合する安定剤の種類および酸化誘導時間の測定,架橋度の測定を行うことで,耐久性の評価ができることが分かった.
建築材料の熱劣化に対する簡便な寿命予測方法として,「耐用年数に相当すると考えられる熱劣化試験を行い,物性変化を測定して,その材料が耐用年数を満足するレベルかどうかを判断する方法」を検討することとした.そのために拡張アメダス気象データをもとに日本各地の気温および部位(方位・勾配)毎の斜面日射量を求め,3つの蓄熱レベルに区分して材料の表面温度を計算し,年間の温度環境(温度別累積時間)を求めた.次に,算定用のエクセルファイルを作成し,地域や部位・蓄熱区分および加熱温度を入力すれば,材料が年間曝される温度環境に相当する熱劣化試験時間(年相当試験時間)を算出できるようにした.