抗菌剤として銀を添加したABS成形品の変色機構を検討した. 変色部, n-ヘキサンによる変色部からの抽出物および抽出成分のTLCにより分離された変色成分について, 主に顕微FT-IRおよびGC-MSスペクトルを測定した. 本研究では変色部より (1-Naphthyl, 2 (-α-Methyl) acetracene ethyl silver cyanide) が抽出分離できた. さらに, 変色部および未変色部についてラジカル生成量をESR測定により比較した. 以上の検討に基づいて, ABS成形品中に添加されている銀 (Ag) が, その活性が高いため, 人体より代謝されるコレステロールなどの脂質類と容易に反応して銀錯体を形成し, 成形品を紫色に変色させる機構を提案した.
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