季刊地理学
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48 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 土浦市の事例
    黒木 貴一, 赤桐 毅一
    1996 年 48 巻 2 号 p. 81-95
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    環境に配慮した諸計画のためのエネルギー消費量や大気環境負荷物質量の実態把握は, ミクロスケールには家1件や車1台毎の積み上げにより, 一方, マクロスケールには国や県を単位とした統計値から比較的容易にできる。しかし, ミクロとマクロの間にある中規模地域の実態を把握することは, そう容易ではなく, 現実にはほとんど値がない。
    本論では統計資料の処理を工夫し, 土地利用を介在させることにより, 原単位 (単位面積当たりのエネルギー消費量や大気環境負荷物質量) を簡便に把握し, 環境諸量の把握に利用する原単位法を考案した。エネルギー消費は原油換算量 (kl) で, 大気環境負荷物質はNOx, SOx, CO2の質量 (kg, t) で整理し, 原単位は土地利用毎に単位面積当たりの各量 (/km2) で表す。
    原単位法は地理的事象の最小単位である土地利用情報に付加価値をつける方法で, ある地域に対し土地利用を単位とした集計による, エネルギー消費や大気環境負荷物質量の簡便かつ迅速な評価が可能である。
    本論では土浦市を対象とし, この考え方に基づいて土地利用別に環境諸量の分布や量を地図に表現できるランク図などを示した。
  • 熊本平野の事例
    黒木 貴一, 赤桐 毅一
    1996 年 48 巻 2 号 p. 96-114
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    海水面上昇により水没する地域が被る社会経済的な影響を定量的に把握する手法の開発を目的とし, 熊本平野を例に土地利用情報と統計資料から単位面積当たりの社会経済的資産価値 (資産の原単位) を把握し, 任意の範囲での影響予測ができる原単位法を開発した。社会経済的資産は地価, 生産性, 居住・就業人口, 償却・在庫資産, 構造物資産の諸量 (円, 人) でまとめ, 原単位は土地利用毎に社会経済的資産の単位面積 (km2やm2) 当たりの各量でまとめた。
    原単位法を用いた海水面上昇による影響予測を行った結果, 熊本平野では, 1mの海水面上昇によって, 約10km2の土地が海水面下になることで, 約4,000億円分の土地と約200億円分の構造物が水没し, 1年間に約18億円の生産物が産み出せなくなる。また, 約1万人が居住地を, 約1千人が職場を失い, それに伴って約160億円分の家庭用品や約10億円分の償却資産, 約1億円分の在庫資産が内陸へ移動しなければならなくなることが分かった。
    原単位法では, 地理的事象の最小単位である土地利用情報を社会経済的資産価値に読みかえることとなるため, 土地利用を単位とした面積の積算集計により, 社会経済的資産の簡便かつ迅速な評価ができる。この手法は, 地震, 洪水等の自然災害被害状況の把握にも利用できる可能性がある。
  • 野尻 亘
    1996 年 48 巻 2 号 p. 115-136
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究の課題は1990年に日本道路公団が調査した全国の高速道路のOD行列を記述統計学的に分析し, 高速道路の交通流動の空間構造を解明することにある。都道府県間・インターチェンジ相互間の最大流流出先に着目して, 交通圏の設定を試みた。
    さらに14地域ブロック間の輸送人員と品目別貨物輸送量について, 前処理を施した上で, 多次元尺度構成法を用いて分析した。それらのスコアを布置した結果から三大都市圏の密接な結合, 東・西日本の分割, 大都市圏とその隣接地域との強い結合などの興味深いパターンが認められた。
  • 入間市狭山台地区を例にして
    星野 達夫
    1996 年 48 巻 2 号 p. 137-146
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    農業振興地域の指定が除外され, 市街化区域に編入された, 入間市狭山台地区を対象に, ゾーニング変更に先立って行われた農地所有権移転の動向を考察した。狭山台地区は1993年よりゾーニングが変更されたが, その5年前にさかのぼり, 入間市で行われた農地所有権移転の分布を把握し, ゾーニング変更地区に占める割合を比較した。その割合は, 農地所有権移転の理由により大きく異なり, 経営委譲の44%が最高であった。さらに, 狭山台地区において土地利用の悉皆調査を行った。経営委譲の行われた農地のうち農業生産の場として利用されている割合は, 同地区全体の割合よりも高かった。また他の理由による所有権移転の行われた農地は不耕作地や荒れた茶園の割合が高く, 管理の低下が目立った。経営委譲が他の農地所有権移転と異なる傾向を示すのは, 制度的には生前一括贈与がその背景にある。そして, これが市街化区域に農地を残存させる結果をもたらしている。
  • 香川 貴志
    1996 年 48 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 48 巻 2 号 p. 152
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 48 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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