季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
ISSN-L : 0916-7889
59 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 2003年宮城県北部の地震
    中澤 雄太, 村山 良之
    2007 年 59 巻 2 号 p. 71-86
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 2003年7月26日宮城県北部の地震で被災した農村部における住宅復興の実態と課題について明らかにすることを目的とする。世帯レベルの聞取り調査にもとづいて, 被災直後の避難から住宅再建または補修に至る住空間の変化と, そのための資金確保に注目し, 農村部としての特徴がどのようにこれらに影響するか検討した。(1) 自宅敷地内で避難生活を送るものが多く, それを可能にする空間が農村部には存在するが, 農機具や付属建物など住宅被害以外の費用も多くかかる。(2) 再建世帯における主な資金源は住宅ローンであり, 共済や地震保険がそれに次ぐ。住宅ローンを組めたのは農外就業の若い世代と同居する世帯である。一方ローンを組めずに転出した世帯もある。(3) 県や国の支援制度は, 金額と支給対象制限のために, 再建には効果的とは言えない。(4) 補修世帯では, 共済や地震保険と県の支援によって全額の費用を賄った世帯が多い。(5) 再建世帯では農地転用の要不要によって, 補修世帯では自力補修かどうかによって, 再建や補修時期に遅速が生じた。このように, 農村部の特徴は住宅復興過程にも反映しており, それに対応した支援制度などが求められる。
  • 村上 亘, 細田 育広
    2007 年 59 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    岩手県八幡平市を流れる松川支流湯ノ沢に建設された治山堰堤後背地 (堰堤上流側; 北緯39°52′21″, 東経140°54′37″付近, 標高約900m) における23年間の地形と植生の変化を調査した。調査方法は, 空中写真判読と地形測量・植生調査による。その結果, 堰堤建設後の調査地内における氾濫原の最大幅が, 堰堤建設前の10mから60mに拡大したことがわかった。また, 堰堤建設前は流路との比高も大きく, 60年生以上の樹木が生育する比較的安定していた場が, 堰堤建設後は生起確率2年程度の降雨に伴う土砂移動の影響を受ける不安定な立地環境に変化したことが明らかとなった。このため, この地形上に堰堤建設前より生育していたダケカンバ, ブナ, アオモリトドマツといった高木には現在, 衰弱・枯死する個体が認められた。一方, 堰堤建設後に新たに形成された地形上には, 比較的寿命の短いヤナギ類の侵入はあるものの, ダケカンバが優占して侵入・成立していた。これらの樹木が現在の環境に適応できれば, 将来的にはダケカンバと比較的寿命の短い樹種で構成される林分が堰堤後背地に成立していくものと予想された。
  • 漆原 和子, 乙幡 康之
    2007 年 59 巻 2 号 p. 99-110
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    南西諸島の防風対策は, 屋敷囲いとして石垣のみを用いる場合と, 石垣に防風林のフグギを組み合わせる場合がある。本研究では屋敷囲いとしての石垣とフクギの防風林を同時に用いる例として, 集落が第二次大戦の影響をほとんど受けず, 防風に対する屋敷囲いの原型を残している沖縄県の渡名喜島を取り上げた。渡名喜島はハブが多く, トンボロ上に住居を築かねばならなかった。低平なトンボロ上に立地し, 屋敷を掘り下げて防風をおこなうことが渡名喜島の特色ある景観である。掘り出した砂を母屋のまわりに積む必要があり, 内石垣で砂が崩れないようにした。道路側には外石垣を用い, その間に砂を積んで, フクギを2~5列を植えることにより防風効果を高めている。村落の道路は交差軸を少しずらし, 道路を吹き抜ける強風が弱まるように工夫がされている。しかし, 1973年以降, 失業対策のたに外石垣をブロック塀に変えた。その後, RC工法の母屋も全戸の34%に増え, 強風に対して母屋の強度が増してきた。それにともない, 近年屋敷の掘り下げを埋め戻す例が多くなり, 屋敷囲いが変化しつつある。
  • 2007 年 59 巻 2 号 p. 111
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 2007 年 59 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2007/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 2007 年 59 巻 2 号 p. 120
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top