酸性の冬季降水の化学的特性, およびそれらと降水をもたらす気象条件との関係を明らかにする目的で, 新潟県十日町市において, 1990年12月から1993年4月までの3冬季にわたり降水を採取・分析した。その結果, 冬季降水のpHの降水量加重平均値は, 1991年が4.46, 1992年が4.16, 1993年が4.22であり, さらに十日町市における冬季降水は, すべてpHが5.6以下の酸性降水であることが明らかになった。また, 降水中のNO
3-, nssSO
42-は酸性化寄与物質, NH
4+, nssCa
2+は中和物質であり, これらによって降水のpHが良く説明することができた。
冬型の気圧配置時の寒気の吹き出しによりもたらされた降水中では, 海塩起源物質の割合が大きくなる。また, 本州の日本海側や南岸を通過する低気圧によりもたらされる降水中では, 逆に非海塩起源物質の割合が大きくなる。さらに, 南岸低気圧による降水では, 酸性化寄与物質の割合が大きく, その割合の増加に伴いpHが低くなることが明らかになった。
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