季刊地理学
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56 巻, 4 号
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  • 鉄道駅周辺地区と中心街の関係から
    高野 誠二
    2004 年 56 巻 4 号 p. 225-240
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究では, 1975年から1995年の間の日本における, 都市中心部の構造変容を明らかにする。個別の事例研究が多かった既存研究とは異なり, 中規模以上の都市の全数調査を行い, 駅周辺地区と中心街の競合関係に焦点をあてた。
    日本の都市では, 都市の中心が中心街から駅周辺地区へと移動しつつあることはこれまでも指摘されてきた。しかし本研究では, 駅の乗降客数の多い大都市圏内であるか否か, 歴史的に形成された強力な中心街を持つ古い都市であるか否かによって, その進展は大きく異なることが確認された。駅周辺地区の開発状況は, 駅の乗降客数だけでなく, 多数の大型店や市街地再開発事業が集積することにも大きく関係している。
    駅裏側地区における都市機能の集積は, 駅施設の様態と大きく関係していることも判明した。増加しつつある「駅と街づくり」事業によって駅周辺地区が大きく変わりつつある今日, 駅周辺地区を理解することは重要である。
  • 車 相龍
    2004 年 56 巻 4 号 p. 241-253
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    農村地域であった大田は, 鉄道, 高速道路などの内陸交通の要地として都市化を経験した。韓国の科学技術拠点はそういう大田の近隣にある大徳で開発された。この大徳研究団地が大田に編入されたことで, 大田は科学技術都市としての新たな発展の転機を迎えた。国の経済危機の影響で大徳研究団地の雇用が不安定化し, 起業家の道を選んだ研究員が増えたことで, 大田では大徳研究団地を中心とするベンチャー企業集積地である大徳バレーが形成された。これは先端技術産業地域として発展し始めた大田の地域変化を意味する。
    このような大田における地域変化には, 国や自治体による多様な地域政策的な介入が作用してきた。さらに, 近年, 大田では大徳バレーに基づく革新の持続・強化を目指す新たな地域政策が展開されつつある。ここで革新とは「知識創造による新価値の創出をもたらす新結合」を指す。大田が空間的・主体間・政策的な新たな結合を繰り返しながら経験した地域変化は, 革新を支える関係の構造, すなわち「革新の地域構造」の形成と発展をもたらしたといえる。
  • 渡辺 悌二, 太田 健一, 後藤 忠志
    2004 年 56 巻 4 号 p. 254-264
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    大雪山国立公園の中でももっとも利用者が多い地域の一つである, 旭岳姿見の池から裾合平周辺において, 1991年以降, 10~13年間にわたる登山道侵食のモニタリングを実施した。侵食量・侵食速度の見積には, 登山道の断面を反復測量する方法をとり, 侵食量を体積ではなく流失した土壌の面積であらわした。
    算出された侵食速度は193.4~1,402.5cm2/yr (平均617.4cm2/yr) で, 観測地点による違いが大きかった。また, 土壌侵食量・侵食速度は, 同一地点においても年による変動が大きく, 1~3年間程度の短期間のモニタリングでは, 侵食速度を正確に知ることはできない。短期間の侵食速度は, たとえば1999年の事例からわかるように, 夏季の豪雨によって著しく大きくなる。これまで大雪山では, 融雪水の恒常的な供給が土壌侵食に大きな貢献をするものと考えられてきたが, 夏季の豪雨の貢献も大きいと考えるべきであろう。
    これらの結果から, 中・長期的国立公園管理にとっては, 長期モニタリングによる侵食速度の見積が不可欠であることが強調される。しかし同時に, 短期間のデータの蓄積も必要であり, 定期的な反復測量を長期モニタリングの中に位置づける必要がある。
  • 2004 年 56 巻 4 号 p. 265-268
    発行日: 2004/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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