季刊地理学
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75 巻, 1 号
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編集委員長からのお知らせ
研究ノート
  • 佐藤 寛輝, 張 思遠, 本多 一貴, 佐藤 颯哉, 吉田 国光
    原稿種別: 研究ノート
    2023 年 75 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/21
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     本稿は,埼玉県行田市で毎週日曜日に開催されている「行田はちまんマルシェ」を事例にマルシェという空間の利用が,出店者の経済活動や日常生活にいかなる役割を果たしているのかを明らかにした。マルシェへ農作物や飲食物,工芸品などを出品する出店者が,各人の生産活動もしくは日常生活のなかで,マルシェでの直売という行為をどのように位置づけながら利用し,出店者にとっていかなる経験を生み出しているのかを分析した。そして,マルシェという空間の利用を通じて得られた経験,もしくはマルシェでの直売活動によって他所で得られた経験が生産者の経済活動や日常生活にいかなる役割を果たすのかを考察した。その結果,マルシェ自体は出店者にとって経済的機能を期待する空間とはなっていなかったが,出店者の出店を通じて様々なスケールで得た経験が常設店舗や他所の出店先での経済活動には直接的,間接的にポジティブに作用していた。この作用は経済規模として小さいものの,出店者のマルシェでの活動を媒介して中心市街地を超えた行田市という広い範囲に及んでいた。マルシェは開催を主導した自治体からみると商品を販売するイベントであった。他方,マルシェという空間を主に利用する出店者にとっては市場的価値を期待するものではなく,出店者のマルシェで得た経験は出店者が行田市各所で経済活動を展開させる際にポジティブに作用するものであった。

短報
  • 谷本 涼, 埴淵 知哉, 中谷 友樹
    原稿種別: Short Report
    2023 年 75 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/21
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    J-STAGE Data 電子付録

     近年の都市政策では,ウォーカビリティ(徒歩での生活しやすさ)が注目を集めている。それが地域経済や住民の健康など生活にもたらす効果を定量的に検証するには,一貫した基準による,広域的な,利用しやすい形式の指標の整備と公開が必要である。そこで本研究では,人口密度,施設種類数,道路接続性の3要素からなる,日本全国の郵便番号界ウォーカビリティ指標(JPWI)を,公開を前提に作成した。本稿では指標の作成方法と概要を解説し,「都市的ライフスタイルの選好に関する地理的社会調査」(GULP)の結果に基づく大都市住民の歩行時間との関連性分析を通じて,その有用性を検証した。分析の結果,通勤通学,日常生活,散歩といった目的別の歩行時間とJPWIの間には,いずれも有意な正の相関が確認された。さらに,住所レベルのWIを用いた分析との比較を通じて,JPWIが近隣レベルのウォーカビリティ指標として有用であることが示された。

大会記事・発表要旨
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2023年度東北地理学会春季学術大会のお知らせ
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