季刊地理学
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最新号
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論説
  • ─岐阜県多治見市の事例─
    庄子 元
    原稿種別: 論説
    2024 年 76 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/09
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    本稿では岐阜県多治見市を事例に,従事者雇用の形態を集落営農法人の採用戦略と手段,従事者の意思決定から明らかにし,従事者雇用の形態から集落営農法人の今日的な性格を考察した。早くから離農が増加した多治見市のA集落では,集落内の農地維持を目的に集落営農法人のB組織が設立された。B組織は農地を漏れなく維持するための水稲とブルーベリー,農業経営を存続させるためのイチゴとマイクロ野菜を生産し,これらは① 多治見市内女性の単純労働者としての雇用,② 農業技術を有する複雑労働担当者の正社員雇用から成り立っている。彼/彼女らをB組織とマッチングさせた関係は異なる。① がA集落内女性からの紹介というインフォーマルな紐帯であるのに対し,② では岐阜県農業大学校とのフォーマルな結びつきが重視されている。加えて,① と ② では賃金水準も異なる。① の賃金は岐阜県の最低賃金に設定されているが,②は地域内の農外企業と同水準であり,よりよい人材の確保が目指されている。こうした従事者雇用からは, B組織が農地維持を目的とする小農的な性格を維持しつつも,企業的な性格を取り込みつつあると指摘できる。

研究ノート
  • 本多 広樹
    原稿種別: 研究ノート
    2024 年 76 巻 1 号 p. 20-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/09
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    本稿は,さいたま市を事例として充電インフラの採用者に着目し,その立地や行動の分析を通して充電インフラ普及パターンの時空間構造とその要因を明らかにすることを目的とした。そして,マップやビジョンといった時空間情報の分析と,各採用者の意思決定や行動の分析とを組み合わせ,充電インフラ普及の特徴について考察した。全国的に充電インフラが大きく普及した2010年代において,さいたま市ではその最初期から充電インフラが市内の全区に立地していた。その後も市内の充電インフラは毎年増加した。採用者の行動を時期区分して分析すると,新規採用を行う業種が時期ごとに異なるという特徴が明らかになった。この過程では,当初採用した充電インフラについて,後に更新・追加を行った採用者も存在した。そして採用者への聞取りを踏まえ,同じグループに属すると名称を基に判断した施設に着目すると,グループ施設にて一斉に充電インフラを採用するという行動を複数のグループが取ったと考えられる。この行動により,各時期で採用者の業種構成に違いが生じたと言える。また,結果として市内のさまざまな区に同時に充電インフラが普及した。

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