宮城県蒲生干潟周辺において,既存のDEM,航空レーザ測量データおよび海図と,SfMソフトウェアにより作成したDSMとを用いて,陸域と海域とを結合した複数時期のDEMを作成し,2011年東北地方太平洋沖地震津波後の地形変化を検討した。調査地域では,津波時の侵食と,その後約2年半の変形は,主に上部外浜以浅(標高約-7~-6 m以浅)で生じたことが明らかとなった。津波後の調査地域は堆積傾向にあり,浅海底のバーが陸上に乗り上げて形成されたバームが,海側へと次々に付加されて,砂州の幅が拡大したと考えられた。津波後に確認された砂州の幅の拡大と上部外浜の縮小は,波浪卓越海岸に堆積物が豊富に供給された場合に生ずる,浜堤平野の拡大過程の一部を示していると推定された。調査地域における砂州の回復が,南方の井戸浦海岸と比べて早いのは,沿岸漂砂の流入を阻止する人工構造物などが調査地域に存在しないことが影響した可能性がある。