芝草研究
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14 巻, 2 号
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  • Paclobutrazol処理が各種芝草種子の発芽並びに初期生育に及ぼす影響
    野間 豊
    1985 年 14 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    芝草植物用生長調節剤としてPaclobutrazolの作用性について検討した。
    供試芝草植物は, 第1表に示した。
    芝草草種により対Paclobutrazol感受性を異にした。種子の発芽におよぼす影響については, 10-4M~10-3M以上の処理濃度では発芽率の低下が認められた。
    供試芝草植物の茎葉伸長生長に対する抑制効果が顕著であった。又根の伸長生長に対して促進, 発生本数に対して増加の傾向を示した。
  • 今井 勝, 安部 征雄, インタヴォンサ ケオ, 小池 正史
    1985 年 14 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    千葉県市原市在のゴルフ場コウライシバ苗圃を利用して, 10月上旬から翌年の3月下旬にわたり蒸散抑制剤を0, 0.2, 0.4, 0.8, 1.6g/m2の割合で定期的に散布した。それらシバ材料のコア・サンプルを筑波大学へ運び, 規制環境下で光合成・呼吸・蒸散の測定を行なった。また, 蒸散抑制剤散布と地温の関係も調査した。その結果, 用いた薬剤は直接作用として葉のガス交換を抑制するが, 地温上昇効果があるために, 寒冷期のシバの生理活性を高く維持し, 早春のスタートも早める作用のあることが分った。
  • 林 聴, 永田 浩美, 谷 利一
    1985 年 14 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    芦の湖カントリークラブに発生したred thread様病害の病斑部より病原菌を分離し, 種々の性質を調査した。芝生用植物の幼苗に対する接種試験ではペンクロスベントグラス, シーサイドベントグラス, イタリアンライグラス, ケンタッキー31フェスク, ウィーピングラブグラスに対して病原性を示し, ノシバ, センチピードグラス, バピアグラス, バーミューダーグラス, ペレニアルライグラスではほとんど発病しなかった。以上の結果はred threadの宿主範囲とほぼ一致した。ペンクロスベントグラスマットに対する接種試験によると, 本菌は地上部のみを侵し, 罹病葉上に紅色, 糸状の菌糸塊を形成する。また, 本菌はかすがい連結を形成しない。以上より, 本病は本邦未確認のred threadであると考えられ, 「赤葉腐病」 (病原菌Laetisaria fociformis (McAlp.) Burdsall) と命名したい。
    病原性は10~25℃の範囲でみられ, PDA培地上での菌体発育および出芽胞子の発芽の温度条件とほぼ一致した。in vitroでの薬剤試験では, 本菌に対してTPNおよびベノミルが最も有効で, 10ppmで約90%の発育阻害を示した。
  • 病害の発生時期と病原菌の消長について
    小林 堅志
    1985 年 14 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    1.既に当圃場に発生する春はげ症はRhizoctoniaによって起る病害であることを明らかにしたが, この病原菌が秋から春までの発生期間全般に渡って発病に関与しているか否かは明らかでない。
    そこで, この病害の期間中の発生時期と病原菌の消長を調査し, 温度との関係について検討を行った。
    なお, 実験はヒメコウライシバグリーン, および, コウライシバグリーンを用い, 抗菌力が異る数種の殺菌剤散布区と無処理区を設けて行った。
    2.Rhizoctoniaに抗菌力がある殺菌剤, トルクロホスメチル2g/2l/m2, イプロジオン2g/2l/m2, TPN2g/2l/m2の各4回散布区では全期間を通して全く発病が見られなかったが, Rhizoctoniaに抗菌力がない殺菌剤, エクロメゾール2cc/2l/m2, ヒドロキシイソキサゾール4cc/2l/m2散布区, および, 無処理区では明らかに発病が見られた。
    発病が見られた区では, 秋は休眠直前 (12月21日) から休眠初期 (1月17日) に一部発病が始まり, その後, 春先は萌芽前後の時期 (3月7日) から萌芽期 (3月20日) に激しい発病が見られた。
    病徴としては秋はやや褐色がかった不鮮明なものであったが, 春は灰褐色のものと褐色の鮮明なものが見られ, 後者が多かった。
    3.休眠期間中の春はげ症の発生を芽出し実験から調査した結果, Rhaaoctoniaに抗菌力がある殺菌剤散布区では全く発病が見られなかった。
    一方, Rhizoctoniaに抗菌力がない殺菌剤散布区と無処理区では, 休眠前に発病があった地点は発病が見られ, 発病がなかった地点でも新たな発病があり, 休眠後半で多かった。
    4.病原菌と発病の関係を見ると, 全期間中Rhizoctoniaが検出されなかった区は病害の発生が全く見られず, Rhizoctoniaに抗菌力がある殺菌剤散布区であった。一方, Rhizoctoniaが検出された区は発病が見られ, Rhizoctoniaに抗菌力がない殺菌剤散布区と無処理区であった。
    これに対し, Pythium, Fusarivm, Curvularia (Helminthosporiumを含む) の検出率は発病の有無とは直接関係がなかった。
    そこで, 病原菌であるRhizoctoniaの発生消長を見ると, 11月中旬~12月中旬 (休眠前~休眠直前) と1月中旬~3月 (休眠後期~萌芽開始前後) にそれぞれ1回ずつ発生極限値があり, 後者が大きかった。
    5.発生時期, 病原菌の消長と温度との関係を見ると, 秋は最低気温が10℃以下になる芝草の休眠前後の時期に病原菌は増加し, 一部発病を見るが, 冬は一たん減少するものの, 春にかけて最高気温が9℃ぐらいから再び増加し, 12℃前後で最高に達し, 芝草の休眠後半から萌芽前後の時期に激しい発病が見られ, 萌芽後の4月下旬の最高気温が23℃, 最低気温が10℃を越す時期まで活動する。
  • 異る地方に発生する春はげ症の病原菌について
    小林 堅志, 井上 光
    1985 年 14 巻 2 号 p. 124-133
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    1.和歌山に発生する春はげ症の病原菌はRhizoctoniaであるが, 異る地方に発生するものも同じ病原菌であるか否かを, 主に, Rhizoctoniaに抗菌力がある殺菌剤を用いて調査を行なった。
    2.琵琶湖C.C. (滋賀県) に発生する春はげ症については, 病原菌のほかに病害の発生時期, 及び, 病原菌の発生消長も合せて調査した。その結果, 病原菌はRhizoctoniaであることが明らかになった。
    また, 病原菌は秋では10月上旬の休眠直前の最低気温が12~13℃で最もよく検出され, 12~1月頃の休眠中の最高気温が5℃以下では低下するが, 2月中旬の最高気温が8℃では活動し, その間の休眠中から若干発病が見られた。そして, 3月中下旬の最高気温が10℃を越えるようになると, 再び病原菌がよく検出され, 萌芽前後の4月頃になると激しい発病が見られた。
    3.奈良, 兵庫 (瀬戸内海側) , 神奈川, 滋賀, 兵庫 (日本海側) , 大阪の各府県下のゴルフ場に発生する春はげ症の病原菌もいずれもRhizoctoniaであることが判明した。
    4.その他の春はげ症の原因としては病原菌によらないものもあると考えられる。
  • 田浜 康夫
    1985 年 14 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    コムラサキシメジ菌によるフェアリーリングの土壌中においては肉眼的観察のできうるような状態に発生していなくて, 土壌中への薬液の浸達の障害にはならなかった。最も重要なものは土壌中の水分であり, 乾燥していると均一に浸達しない。適当に土壌水分があれば1m2あたり10lの散布で良好であった。
  • 三嶋 公明, 杉山 日出男, 勝又 孝三, 廿日出 正美
    1985 年 14 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    近年, 関東・東海地方のゴルフ場でアシナガコガネ類の発生が目立ちはじめた。このコガネムシは白色に特に引きつけられる習性をもつため, 白い服を着たゴルファーに集まったり, ゴルフ場近くの民家の白い洗濯物に集まり, 不快害虫として, 特に注目されてきた。
    静岡県東部の東名カントリークラブでは越冬は2令と3令がほぼ1対1の割合で行われ, 3月下旬から蛹化が始まり, 4月下旬には9割が蛹となった。成虫は5月上旬の日平均気温が17℃をこえる頃から地上に出現し, 最盛期は5月中・下旬で, 6月中旬に発生は終わる。アシナガコガネの方が, ヒメアシナガコガネよりやや早く発生し, ヒメアシナガコガネの方がおそくまで発生が続く。
    冬期の幼虫数調査では1区平均50匹と非常に生息密度の高い場所があったにもかかわらず, 表面上は芝草への被害は観察されなかった。しかし, 堀りおこしてみると, 簡単に手で芝草をめくることができる程, 根部には, 大きな食害を受けていたので, 春期の除草剤や乾燥による被害が現われる恐れも推察される。
    現在, ゴルフ場で芝生への被害が問題視されていないのは, このコガネムシの発育スピードが非常におそく, 摂食量が少ないこと, 芝草の生育時期とコガネムシの生育ステージとがずれていることが考えられる。
    この虫は訪花性のコガネムシであり, 特にアシナガコガネは白色を好むため, 成虫発生時期に咲いている白い花の大半を食害し, 白く塗ったカートや白い服を着たゴルファーにまで集まってくる。
  • 竹内 安智, 青木 章彦, 竹松 哲夫
    1985 年 14 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    7種類のジニトロアニリン系除草剤 (trifluralin, benefin, dinitramine, prodiamine, penoxalin, nitralin, oryzalin) の主要芝生1年生雑草にたいする殺草スペクトラムを圃場試験とガラス室内試験により調べた。これらの除草剤はいずれも雑草発生前処理で大きな除草効果を発揮した。イネ科雑草のノビエ, メヒシバ, スズメノカタビラやスズメノテッポウには効果が大きかった。広葉雑草にたいする防除効果は除草剤により異なった。pendimethalinとdinitramineはキク科, アブラナ科, アカザ科, マメ科, ヒユ科, タデ科, ゴマノバグサ科およびナデシコ科の各雑草に大きな効果があった。これに次ぎ, nitralin, prodiamineおよびoryzalinが比較的多くの種類の雑草に有効であった。しかし, マメ科, キク科やアブラナ科, 雑草にはやや劣った。benefinとtrifluralinは供試した広葉雑草全般に効きにくかった。
  • 竹松 哲夫, 青木 章彦, 竹内 安智
    1985 年 14 巻 2 号 p. 156-161
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    4種類のジフェニルエーテル系除草剤の芝生一年生雑草にたいする殺草スペクトルを圃場とガラス室内で調べた。
    一般的に除草効果は雑草発生前処理の方が発生後処理よりも大きかった。発生前処理ではよりイネ科雑草に効き, 発生後処理ではより広葉雑草に効果が大きかった。これらの除草剤はナデシコ科, アブラナ科, キク科やマメ科雑草などには効きにくいが, bifenoxとnitrofenはナデシコ科以外の雑草には比較的効果があった。
    bifenoxにsimazineやatrazineを加用するとイネ科, ナデシコ科, アブラナ科, キク科, マメ科, タデ科, ヒユ科, アカザ科やゴマノバグサ科の多種類の雑草にたいし, 発生前処理でも発生後処理でも効果があった。
  • 武田 俊司, 竹内 安智, 竹松 哲夫
    1985 年 14 巻 2 号 p. 162-170
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    1. Chlorsulfuron 2gai/10aの出芽前処理楚, 広葉雑草に卓効を示し, 4~8Sai/10aの処理は, スズメノカタビラやコゴメガヤツリの生育を強く抑制した。イヌピエ, メヒシバに対しては, 本剤89ai/10aの高薬量でも効果不十分であった。
    2. Chlorsulfuronの高薬量処理でも, コウラィシバやベントグラスに全く薬害が認められなかった。したがって, 本剤は多くの芝生に対し, 選択的に安全性が高いことがわかった。
    3.圃場試験でも本剤は低薬量で広葉雑草に卓効を示したが, メヒシバ, イヌビエ, コゴメガヤツリには, 高薬量でも実用的効果は認められなかった。
    4.草丈10~30cmに成育した雑草に本剤を処理したとき, 2~4gai/10aの低薬量でセイヨウタンポポ, ヒメジョオン, ハルジョオンに卓効を与えた。また, チドメグサ, カタバミに対しては, 高薬量 (8g/10a) で実用的効果が認められたが, ヒメスイバ, ヤブカラシにはほとんど効果がなかった。
    5. ChlorsulfuronとSimazine, AtrazineあるいはSiduronとの混用は, イネ科雑草やコゴメガヤツリに対する防除効果が増強される。ChlorsulfuronとTriazineとの混用はコウライシバに, Chlorsulfuron+Siduronはベントグリーンにおける使用が期待される。
  • 河野 通世
    1985 年 14 巻 2 号 p. 171-172
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 日本芝草学会芝草用語策定委員会
    1985 年 14 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 1985/11/30
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
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