本報告は2, 3殺菌剤を用い, それらの散布時の稀釈水量がブラウンパッチの防除効果に及ぼす影響を調べ, かつ散布後の散水による薬剤の芝生層への透過について実験したものである。結果の概要は以下の通りである。
1.薬剤散布時の稀釈水量を0.1, 0.5, 1, 2, 4.l/
m2の5段階に分けて散布した結果, キャプタン2
g/m2, チウラム2
g/m2およびTPN1.6
g/m2を稀釈した場合, 防除効果は稀釈水量が少ないと低下した。TPNでは稀釈水量が多い場合にも防除効果が低下した。一方, チオファネートメチル0.8
g/m2, SKKF-1 2
g/m2を稀釈した場合にはいずれも稀釈水量に関係なく防除効果が高かった。
2.キャプタン2
g/m2, チウラム2
g/m2およびTPN2
g/m2を1.0, 0.5, 0.1l/
m2の水で稀釈したのち散布し, 0.5と0.1l/
m2区には散布直後およびその翌日に, それぞれ0.5, 0.9l/
m2の散水を行ったところ, いずれの薬剤も散水による防除効果は高くならなかった。しかし, SKKF-1は散水とは関係なく高い防除効果を示した。
3.キャプタン2
g/m2を1~8l/
m2の水量で稀釈し, 芝生層に散布したところ, 稀釈水量が多いほど芝生層への薬剤の透過は大きかった。また, キャプタン2
g/m2を0.5l/
m2の水量で稀釈し, 芝生層に散布し, その直後および翌日に, 4, 8l/
m2の散水を行ったところ, いずれの散水区においても, 芝生層への薬剤の透過は大きくならなかった。
4.稀釈水量を4l/
m2として, キャプタン2
g/m2チウラム2
g/m2, TPN2
g/m2およびSKKF-1 2
g/m2を散布し, それぞれの薬剤の芝生層への透過性を比較したところ, キャプタン, チウラム, TPNの透過性にはほとんど差がなく, いずれも低かった。しかし, SKKF-1では顕著な差がみられ, 他の供試薬剤に比べ透過性が大きかった。
5.キャプタン2
g/m2を1l/
m2の水量で稀釈し, 最終濃度が500倍と1000倍になるように展着剤を加用して散布したところ, 展着剤の加用によってブラウンパッチの防除効果が非常に高くなった。
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