傾斜角度15度の南, 西, 及北に面する丘稜傾斜地の環境條件の差異な調査し, 傾斜地利用の一助たらしめんとしたものである。
1) 日射量ば夏季其の差少なく, 冬季に於て大であり, 總量に於ては南斜面最も大で北斜面最小である。
2) 氣温は比較的其差明瞭でばないが, 一般に南斜面高く冬季にほ他斜面に比し南斜面著しく大であつた。
3) 地温は最も明瞭に傾斜方向による差異を示し, 南斜面最も高く, 西斜面之に次ぐ。
4) 風速は季節風の影響を受け, 冬季には北斜面風速大で, 夏季には西, 南斜面比較的風速大である。
5) 土壤水分含量ば常に南斜面最も少ぃ。北斜面20cm面は冬季に於て土壤凍結著しく, 地下20cm迄凍結した。
5) 指標作物として, 馬鈴薯, 大豆, 燕麥を用いたが, 夏作物には北斜面に於て却つて生育良好なるものもあり, 土地利用上作物の選擇に注意すれば北斜面も有效に使用し得るのである。
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