1. 昭和16年 (1941年) 以後, 文部省科學研究費に依りて, 數種の纎維作物に就て, Photoperiodism (周光期律) の實驗は日照時間に依り數區に分ちて行へり。
2. ケナフ, Kenaf. Ambari hemp or Bombay hemp (Kibiscus cannabinus L) は短日性なれども, 照明時間に依る影響は品種に依りて著しき差異あり。
3. 自然状態に於て, ケナフの莖葉に生する品種固有の着色は, 日照時間の長短に依りて著しき影響を受く。此點は作物學上興味ある事實にして, 遺傳, 育種及生態學の研究上にも注意すべき問題なの。又葉の裂刻數に於ても同樣なり。
4. 黄麻 Jute (Corchorus capsularis, L) に對する日照時間及温度の影響は品種に依りて異るも, 其栽培地域は概して低緯度地方が適當にして, 北進するに從ひ, 南方品種は採種すらも不可能の場合多し。
5. 商麻, Chinese Jute, Indian mallow, (Abutilon avicennae, G) は短日性作物なれども, 長日に於ても開花す。商麻は日照時間より見れば, 栽培可能の地域は相當廣きも, 低温は不良なり。而して栽培及び纎維採取の簡單なるは, 此作物の特長なり。
6. 苧麻 Ramie, China grass, (Boehmeria nivea H. et A.) は照明時間に依りて性の轉換をなす。而して短照明にては草丈の低下をなす事は多くの作物と同樣なり。
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