中国農業試験場で育成された穂重型品種·系統, 中国地方で作付けされている主要品種, 海外で育成された多収品種を対象に, 太陽エネルギー利用効率(
Eu)および太陽エネルギー転換効率(
Ec)を比較検討した。太陽エネルギー利用効率は, 1.37∼1.61%の範囲で, とくに穂重型品種·系統の中国113号, 中国116号, ホシユタカ, インド型品種の台農67号, 密陽23号, 日本型品種の日本晴, 黄金晴で1.55%以上の高い効率を示した。玄米重における太陽エネルギー利用効率(
Eu grain)は, 0.48∼0.75%の範囲で, 中国118号, ホシユタカ, 密陽23号, 日本晴, 黄金晴で0.7%以上の効率を示した。
Ecはホシユタカ, 日本晴, 中国118号が, それぞれ3.21%, 3.20%, 3.00%と高い効率を示した。穂重型イネにおける
Ecの高い効率は, 生育期間が長いために積算日射量が多く, 日射吸収量が多くなったことに起因していると考えられた。日射利用効率(
RUE)は, ホシユタカ, 日本晴, 中国118号が, それぞれ1.98 g/MJ, 1.97 g/MJ, 1.85 g/MJで, 供試品種·系統で大きな差異は認められなかった。穂重型イネの
Ecや
RUEを高めるには, 葉身傾斜角が大きく, 高い
LAIにおいても優れた受光態勢をもつ草型が理想であり, 高い収量生産能力は登熟期の追肥により葉の
SPAD値が維持されることで, 高い個体群吸収率が持続されることが必要である。
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