教育メディア研究
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25 巻, 1 号
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  • 360度ドーム映像を使った第二外国語学習
    大井田 かおり, 吉住 千亜紀, 中辻 晴香, 尾久土 正己
    2018 年 25 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    学習におけるフロー体験は,学習への内的動機づけとなる。フロー理論を外国語学習に取り入れることは提案されて来たが,実際にフロー理論を外国語教材および学習プランに取り入れ,その効果を検証する試みはなされていない。ドームシアターに投影されるドーム映像はフローを引き起こしやすいと考えられることから,実際にフロー効果があるのかを検証するため,ドーム映像を使用した第二外国語の学習プランを作成し,実験授業を行った。撮影された実験授業光景とアンケートから,外国語学習におけるドーム映像の有用性とフロー体験の誘発が検証され,ドーム映像は従来の映画やビデオ以上の効果を持つことがわかった。また,ドーム映像を用いた外国語教材および学習プランは,特に外国語初学者の導入部に用いるのに適していることがわかった。
  • 小学校第6学年を対象とした調査
    大久保 紀一朗, 和田 裕一, 窪 俊一, 堀田 龍也
    2018 年 25 巻 1 号 p. 19-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,マンガの読みに固有の読解力や,文章の読みと共通する読解力の内実を明らかにするために,マンガの読解力と文章の読解力の関係性について検討することを目的とした。マンガの読解力および文章の読解力の測定にあたっては,マンガと文章それぞれについて,van Dijk & Kintsch(1983)の文章理解モデルにおける3つのレベルの表象(表層レベル・テキストベース・状況モデル)を反映する設問からなる理解度テストを実施し,得点間の媒介分析ならびに相関分析を行った。その結果,マンガと文章の表層レベルに関する問題の得点はテキストベースに関する問題の得点を媒介して,状況モデルに関する問題の得点に影響していることが示され,マンガの読解においてもvan Dijk & Kintsch(1983)の文章理解モデルが適用できることが示唆された。また,マンガと文章の読解力の関連性に関して,表層レベルの理解では異なる認知能力が寄与している一方,テキストベースや状況モデルの読解では共通する認知能力が寄与していることが示唆された。本研究で得られた知見を踏まえ,マンガの読解と文章の読解の共通点や相違点について議論した。
  • 成城小学校訓導・関猛の実践に着目して
    髙橋 直治
    2018 年 25 巻 1 号 p. 37-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,戦前の成城小学校で初めて映画を用いた教育を実践した訓導(教諭),関猛を対象とし,関猛が教育雑誌に残した言説・実践記録を網羅的に検討することで,これまで限定的にしか語られることのなかった戦前の映画と教育をめぐる関係を,改めて考察するものである。本稿では,特に1925年から1933年までに着目する。それは,日本の映像メディアと学校教育との関係についての再帰的言説が醸成される契機となる1932年の「動く掛図論争」以前の実践であること,つまり,その後,戦中・戦後を経て現在に至るまで慣用とされる映画と教育の関係枠組みにおける二元論的構図(映画による教育/映画についての教育)とは別の,教育における映画利用の可能的様態を示唆する重要な期間であることによる。関の映画教育は,作品鑑賞としての映画利用や,各教科の教鞭補助具としての映画利用のみを行なったのではなく,制作・編集・上映・討議等の一連の「行為」としての映画活動を,教育として活用したものであった。それは,映画というメディアによる新しい教育の実践であった。
  • 木村 明憲, 浅井 和行
    2018 年 25 巻 1 号 p. 61-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,小学校における情報活用能力を育成する教科「メディア・コミュニケーション科」(以下MC科)の教科用図書(以下教科書)を開発した。教科書を開発する際は,本教科の基本方針である「21世紀型情報活用能力の育成」「メディアとコミュニケーションを一体とした指導」「課題解決を主体とした指導」と情報活用能力を育成する上で重要な「教科横断的な指導」の4点に重点を置いた。これらの重点を教科書の紙面構成に反映することで,教員にとっては「21世紀型情報活用能力の育成」「メディアとコミュニケーションを一体とした指導」に対する理解を深めたり,指導がしやすくなったりするといった効果が見られた。しかし「課題解決を主体とした指導」「教科横断的な指導」についての紙面構成に課題が見られた。また,児童にとっては,全ての重点で肯定的な回答の割合が高く,開発した教科書を参照しながら授業を受けることで学習内容の理解に及ぼす効果が確認された。
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