生物教育
Print ISSN : 0287-119X
43 巻 , 2 号
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研究論文
  • 寺田 卓二, 片山 舒康, Robert L. Wallis
    2002 年 43 巻 2 号 p. 54-62
    発行日: 2002年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    オーストラリア・ヴィクトリア州の中等学校生物では,日本の高等学校に比べて室内実験,野外実習,その他の探究活動などの実験・実習が頻繁に実施されている.我々はそれらの実験・実習の内容と頻度をヴィクトリア州の都市部と地方の中等学校において調査した.

    いずれの調査校でも生物の実験・実習は,ヴィクトリア州教育委員会によって示されたVCE学習デザインに基づいて実施されていた.また,いくつかの実験・実習は数日間にわたって実施され,中には学校を離れて行う野外実習も含まれていた.更に,1単位あたりの平均実験・実習回数はおよそ4回で,これは大阪府の高等学校について報告された2.3回に比べてかなり多かった.

    このように頻繁に実験・実習が実施されている主な理由は,大学その他の高等教育機関が各実験・実習の評価を通常のペーパーテストの成績と同様に,入学者の選抜に利用しているためである.

  • 相澤 信, 吉野 弘
    2002 年 43 巻 2 号 p. 63-74
    発行日: 2002年
    公開日: 2021/09/25
    ジャーナル フリー

    理科教育の真髄は,生徒が自然と直接向かい合うことにある.生物教育においては,生徒は生きた生物とのふれ合いの中から「生命」・「自然」・「思考」・「自分」という視点の変化を経て自然科学的な素養を身につけていくことになるものと思われる.優れた教材モデル生物は生物教育の最も重要な要素の一つであることは疑いのないところであるが,モデル生物の特性を的確に把握して初めて教材としての輝きを得ることになるのである.本研究は,イエバエを教材モデル生物として取り上げ,概日リズムの教材としての可能性を検討し,高校生と課題研究の形で行った約15年間の成果の中から羽化のリズムに関するものをまとめたものである.羽化自動記録装置を開発し,羽化をリズムの形で把握できる飼育法を工夫し,異なる系統のイエバエを用いて比較解析を行った結果,イエバエにおける羽化周期は体内時計によって制御された概日リズムであり,幼虫期のリズムと蛹期のリズムの両者によって制御されていることが明らかになった.さらに,眼色,体色,翅の3つの形質に突然変異を持つ三重劣性突然変異体は羽化リズムに関しても短周期性突然変異であることが明らかになり,交配実験の結果は単一の劣性遺伝子によって制御されていることを示唆している.また,この突然変異体は高温条件下では羽化周期に関する温度補償性が失われていることがわかり,時計生物学的にきわめて貴重な系統になる可能性も示唆された.本研究で開発した実験システムは概日リズムの突然変異体の検出にも有効であることが明らかになったので,今後生徒たちとイエバエの自然集団における概日リズムの多様性を調べることによって,概日リズムの役割や意義についてより深く考察する機会を与えるものと期待される.

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