てんかん研究
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5 巻, 1 号
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  • 井上 有史, 鈴木 節夫, 三原 忠紘, 八木 和一, 清野 昌一
    1987 年 5 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    要素性視覚症状で発作が起始する96症例の臨床症状, 脳波所見, 治療経過を検討した。既知の病因をもつ症例が多く, 精神神経学的所見, CT所見は半数以上の症例で陽性であった。発作症状は視覚, 眼球, 眼瞼に関する発作徴候の他に, 自律神経発作, 意識減損発作, 強直間代発作, また部分運動・感覚発作, 転倒発作が多くの症例で認められ, 後頭葉のみならず他領野に由来する多彩な症状がみられた。発作間欠時脳波には, 発作波が後頭部に限局した症例は25例にすぎず, 後頭部以外にも焦点があった症例は59例, さらに12例では後頭部に発作波がみられなかった。約半数において, 側頭部に発作波焦点が認められた。また焦点性多棘波が36例にみられた。3年以上観察した症例を薬物治療によく反応する群 (32例) と抵抗する群 (25例) にわけると, 発作予後に関わる要因として神経学的異常, 後頭部以外のてんかん性異常波, 多棘波, 自動症, 部分運動発作, 転倒発作などをあげることができた。
  • 大谷 和正, 森川 建基, 福島 克之, 東 卓司, 宮越 雅子, 八木 和一, 清野 昌一
    1987 年 5 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    Epilepsia partialis continua (EPC) の6症例について臨床経過ならびに脳波, CT, 脳血管撮影 (CAG) の所見と予後との関連について検討した。神経精神医学的ならびに発作予後の良好な2例 (発症時年齢: 15歳, 19歳) は, 脳波と放射線学的異常所見に乏しかった。臨床経過は非進行性ではあるが, 発作は持続した3症例 (発症時年齢: 15歳, 12歳, 2歳) では全例に片麻痺を合併し, 1例 (2歳発症例) には複数部位の持続性ミオクローヌスとともに難治の合併発作がみられた。脳波には背景活動の軽・中等度の異常, CTには軽・中等度の大脳の萎縮像がみられ, そのうち, 2例 (12歳, 2歳発症例) にはCAGにcavemous angiomaが認められた。神経精神医学的所見が進行性に悪化し, かつ発作も持続した1例 (発症時年齢:2歳) では複数部位の持続性ミオクローヌスとともに多様な合併発作を有し, 脳波の背景活動には右半球性の著明な高振幅性徐波化と左半球性の低振幅化が, CTには左半球の進行性の萎縮が認められた。
    以上の結果, 幼児期発症のEPCでは, 脳の未熟性を基盤として, 発作ならびに神経精神医学的所見は, より複雑かつ進行性に経過するものと考えた。
  • 扇谷 明, 金沢 治, 河合 逸雄
    1987 年 5 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    抗てんかん薬治療にもかかわらず, 1年以上にわたって, 月1回以上の複雑部分発作をもつ難治側頭葉てんかん34例に対して, carbamazepine (CBZ) ないしphenytoin (PHT) の単剤治療を試みた。その単剤の投与量は複雑部分発作が1カ月以上抑制されるか, あるいは副作用が出現するまでとした。13例がPHT有効で, 3例がCBZ有効であった。そのうち3例がCBZ無効でそれに代わるPHT有効であり, また9例はPHT, CBZの両薬剤とも無効であった。以上難治例に対してPHTの方がCBZに比し有効例が多かった。発作の抑制される血中濃度は通常の至適濃度を越えていた。また薬物抵抗例は発作頻度が高く, 複雑部分発作で発症しているものが多かった。
  • 大塚 頌子, 荻野 竜也, 村上 暢子, 大日方 修, 天野 るみ, 大田原 俊輔
    1987 年 5 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    小児の難治てんかんの実態を解明するために, 初診時年齢が15歳未満で初診後3年以上追跡された小児てんかん561例のうち, 追跡時点で初診時に比して発作頻度が不変または増悪している難治群について調査した。あわせて追跡時点で3年以上発作が抑制されている経過良好な対照群と比較検討した。
    難治群は41例 (7.3%), 対照群は375例 (66.8%) であった。難治群の比率をてんかん分類別にみると, Lennox-Gastaut症候群で28.2%と最高率で, 次いでWest症候群10.5%, severe myoclonic epilepsy in infancyは症例数が少ないが, 全例難治であった。初発年齢別では生後6カ月未満の症例で難治率が高率であった。一方, 対照群の比率は特発性全般てんかんでは85.6%で高率であった。
    対照群との比較では有意差を示したのは難治群で初発年齢が生後6カ月未満のものが高率なこと, 基礎疾患を有するものが多く, 成因では家族歴が低率で出生前要因が高率なこと, 精神遅滞, 運動障害の重複, てんかん重積状態, 新生児痙攣の既往も高率であった。難治群の治療の評価ではみせかけの難治例が比較的多いことが注目された。
  • 大塚 頌子, 荻野 竜也, 村上 暢子, 山磨 康子, 岡 〓次, 榎 日出夫, 大田原 俊輔
    1987 年 5 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    難治てんかんの規準の設定に資する目的で一定の規準で難治例を選択して比較検討した。
    調査時点で初診時に比して発作頻度が不変または増悪している症例を難治群Iとし, 調査時点で初診時に比して発作減少を認めるが, なお1回/月以上の頻度で発作が存続しているものを難治群豆とし, 両群を比較したところ, 初診時発作型, てんかん分類, 初発年齢, 重複症状, 転帰, 脳波所見などでよく類似していたが, 難治群IIではLennox-Gastaut症候群, West症候群などの症候性全般てんかんの占める比率が難治群Iより高率であった。
    以上より難治群Iの規準は難治群IIと同質の症例とその他の難治な局在関連性てんかんを含み, 小児の難治てんかんをよく代表しうる規準と考えられた。
  • 三浦 寿男, 白井 宏幸, 砂押 渉
    1987 年 5 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    欠神発作に対するclonazepam (CZP) 単剤投与の効果を, 脳波所見におよぼす影響とともに, 血中濃度面と合わせて検討した。CZPの初回維持量は0.1mg/kg/dayを基準としたが, 高血中濃度を示した3例では副作用として過動傾向が持続するため, 維持量を前記基準より減じた。
    対象20例中17例では, 12-56カ月 (平均27カ月) の観察期間中すべての臨床発作が抑制されており, しかもこのうち14例では, 投薬開始後6カ月以降の過呼吸賦活を含む脳波記録で発作性異常波が消失していた。しかし, 有効例と無効例でCZP血中濃度に差を認めなかった。
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