最近, 放射線治療の標準化が問題となり, また, 治療の成績とともにQOL(quality of life)が論じられ, 多くの報告があります.これは, 一つの疾患について, 何処の施設で治療を受けても同じ精度で, 同じ治癒率が期待できると言うことであると考えます.このためには, 治療各段階でのQC(精度)が一定の基準を満たしており, 治療のQAが一定のレベルで達成されていることが必要です.治療の標準化のためには, 標的容績の設定, 照射方法の標準化, 治療計画装置・計算方法の精度, 治療装置のQC, 治療手技の標準化, 記録方法・表示方法の標準化などが問題となります.これらの各段階の精度を良くするとともに, 治療全体のシステムにおいてQAを良くする方法について検討の必要があります.治療計画は, 標的領域に線量を集中し正常組織の障害を少なくする方法をシミュレーションする目的から, 体内臓器を3次元的に把握した3次元的な治療計画が必要である.このため, 治療計画は多くのモダリティーの画像を有効に利用した3次元的な標的容積, 臓器の把握, 正確な3次元的な線量分布計算の方法を確立するとともに, 治療計画結果の評価・比較を数値化し治療計画を数値的に分析する必要がある.治療計画のQAに関係する項目として今後検討を要するものは, (1)治療計画画像の取得での誤差の検討.(2)3次元的な標的容績, 臓器の把握.(3)多種画像の有効な利用.(4)3次元線量分布計算の確立.(5)治療計画の評価・比較を数値化する.(6)治療計画を確認できる照合方法の開発.などが考えられる.いままで述べた内容は, 治療計画は将来的にこう成ったらいいという報告で, 現実にすぐ行うにはなかなか難しいかも知れません.国内の治療施設の現状, また, 述べた様なシステムに要する費用, 費用に対する効果等色々な意見が考えられます.また一方で治療成績, QOLを考えた場合, 治療計画は標的容積, 体内各臓器を3次元的に把握し, 腫瘍の局所制御を良くし正常組織の障害を少なくする方向を目指していると思います.現在行っている放射線治療を3次元的な方向に進めることで一歩前進が期待できる可能性もあると考えます.今回の発表は個々のQCの問題ではなく, 治療計画において今後必要と思われる機能について報告しました.
抄録全体を表示