日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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78 巻, 4 号
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巻頭言
原著
  • 古牧 伸介, 木田 勝博, 林 由佳子, 正田 尊士, 田淵 昭彦
    2022 年 78 巻 4 号 p. 333-341
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/02
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,心電図非同期3D multishot T1-FFE-EPIを用いた下肢非造影MRAを考案し,撮像条件の適正化を行うことである.更に,下肢動脈の描出能の検討のため,造影CTAとの視覚評価による比較を行い,その有用性について検討した.【方法】3.0 T-MRIとMRIファントムを用いて,EPI factorの変化に対する画像歪みを調査した.また,8名の健常ボランティアの大腿動脈を対象に,flip angleの変化に対するsignal-to-noise ratio(SNR)を求めた.更に,EPI factorの変化に対する大腿動脈のSNRと大腿動脈と大内転筋のcontrast ratioより,適正EPI factorを求めた.得られた適正条件による下肢非造影MRAと下肢造影CTAが施行された10症例を対象とし,骨盤部,大腿部,下腿部を後向きに視覚評価を行った.【結果】適正なflip angleは25°,EPI factorは3だった.臨床症例を用いた視覚評価において,骨盤部と下腿部における下肢非造影MRAと下肢造影CTAには,有意差は認められなかった(p=0.52, p=0.88).大腿部では,下肢非造影MRAが有意に高かった(p=0.02).【結語】心電図非同期3D multishot T1-FFE-EPI法を用いた下肢非造影MRAは,flip angle 25°,EPI factor 3が適正条件だった.本法は,視覚評価による造影CTAとの比較において,大差のない下肢動脈の描出能をもつことから,スクリーニング検査や精査としての利用が期待される.

臨床技術
  • 成田 啓廣, 大久保 真樹, 深谷 貴広, 酒井 健一, 能登 義幸
    2022 年 78 巻 4 号 p. 342-347
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/02/25
    ジャーナル フリー

    【目的】一般に,CT画像のNPSは1枚のノイズ画像から測定される.しかし,CT画像は三次元(3D)のボリュームデータであることから,3Dのノイズ特性(3D-NPS)を有する.本研究では,さまざまなアプローチにより算出したNPSの関係を,中央断面定理に基づいて明らかにし,実際のノイズ画像を用いた解析により実証する.【方法】3Dノイズデータを体軸方向に投影し,2Dフーリエ変換(FT)して算出したNPSをNPSz-projectionfx, fy)とした.3Dノイズデータから3D-FTにより算出したNPSを3D-NPS(fx, fy, fz)とした.また,1枚のノイズ画像から2D-FTにより算出したNPSを2D-NPS(fx, fy)とした.ここで,fx, fy, fzx, y, zに対応する空間周波数である.NPSz-projectionfx, fy=0)と3D-NPS(fx, fy=0, fz=0)が一致し,2D-NPS(fx, fy=0)と3D-NPS(fx, fy=0, fz=0)は一致しないことを,中央断面定理に基づいて説明した.この関係を証明するために,CT画像から算出したNPSを比較した.【結果】3D-NPS(fx, fy=0, fz=0)は,NPSz-projectionfx, fy=0)と一致し,2D-NPS(fx, fy=0)とは一致しなかった.【結語】中央断面定理に基づき,さまざまなアプローチによって得られるNPSの関係を明らかにした.この関係を理解し,適切なノイズデータの取り扱いおよびNPS測定法を選択することが重要である.

  • 松友 紀和, 深見 光葉, 小池 貴久, 山本 智朗
    2022 年 78 巻 4 号 p. 348-356
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/08
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,放射性医薬品を取り扱う際の水晶体被ばく線量の推定とX線防護メガネの必要性を検証した.【方法】水晶体等価線量を推定するため,線源(99mTc, 111In, 123I)を蛍光ガラス線量計から30 cmと60 cmの位置に設置して3 mm線量当量率を測定した.また,シリンジシールドと含鉛防護板,X線防護メガネ(0.07, 0.50, 0.75 mmPb)の有無で線量低減率を評価した.【結果】防護具を使用しない場合の3 mm線量当量率は,99mTcで6.13±0.13 µSv/min/GBq, 111Inで23.08±0.19 µSv/min/GBq, 123Iで11.07±0.11 µSv/min/GBqとなった.シリンジシールドと含鉛防護板を使用した場合の線量低減率はすべての放射性核種で90%以上となった.また,鉛当量0.75 mmPbのX線防護メガネの線量低減率は99mTcで68.8%,111Inで60.6%,123Iで68.1%を示した.【結語】放射性医薬品を取り扱う際の推定等価線量は水晶体の等価線量限度を超えない数値であった.鉛当量0.75 mmPbのX線防護メガネは,放射性医薬品(99mTc, 111In, 123I)を取り扱う際の水晶体被ばく線量低減に必要である.

  • 八木 悠太, 大久保 真樹, 齋藤 宏明, 金沢 勉
    2022 年 78 巻 4 号 p. 357-363
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的はMRIにおけるT2*強調効果の定量評価手法を考案することである.【方法】超常磁性酸化鉄造影剤を用いて複数の鉄濃度の溶液を作成した.これらのT2*強調画像(T2*WI)の信号強度を測定し,鉄濃度と信号強度の関係を得た.この関係に基づいて,脳内の微小出血を想定した鉄濃度マップを信号値へ変換することで模擬T2*WIを生成した.模擬T2*WIにおける低信号域の定量的な評価指標(S値)を定義した.3機種のMR装置(Philips 1.5 T, GE 3.0 T, Siemens 3.0 T)におけるT2*WIのecho time(TE)を変化させ,S値を比較した.また,ASTM F2119によって規定されるアーチファクトの評価指標(A値)をT2*WIへ適用し,考案法と比較した.【結果】TEの延長に伴ってS値も増加したことから,S値はT2*強調効果の増強を反映していると考えられた.いずれのTEにおいてもPhilips, GE, Siemens社の順にS値は低下し,A値でも同様であった.【結語】考案法による評価はA値と同様の傾向を示すことから,妥当性が示唆された.考案法は用いるファントムに依存せず,普遍的な手法として利用できる可能性がある.

資料
  • 渡邉 浩, 近野 正哉, 藤田 佑香, 栗原 翔, 外處 花奈, 萩原 未稀, 山本 和幸, 坂本 肇, 竹中 完, 細野 眞
    2022 年 78 巻 4 号 p. 364-371
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    【目的】改正された電離放射線障害防止規則(2020年4月)では,眼の水晶体の等価線量限度が「5年で100 mSv,なおかつ1年で50 mSv」に引き下げられた.医療部門での職業被ばくを減らす必要がある.この研究の目的は,X線診療室での散乱線量を個人線量当量として測定し,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)検査における等価線量限度との比較を容易にすることである.【方法】散乱線量は,X線診療室に格子状に配置された放射線測定器によって測定した.線量率は,X線管の周りから患者まで伸びる防護クロス(0.25 mm Pb当量)を使用した場合としない場合で測定した.【結果】ERCPを実施する術者の立ち位置での最大線量率は,地面から150 cmで2.9 mSv/h(3 mm線量当量率)であった.防護クロスを使用しない場合の眼の水晶体の等価線量限度を遵守するためのERCP件数は28件/年であった.【結語】本研究結果はX線診療室内の個人線量当量測定が眼の水晶体の等価線量限度との比較を容易にする可能性を示唆した.

  • 竹井 泰孝, 宮嵜 治, 松原 孝祐, 鈴木 昇一, 村松 禎久, 福永 正明, 赤羽 正章
    2022 年 78 巻 4 号 p. 372-380
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/03
    ジャーナル フリー

    【目的】わが国の診断参考レベル改訂に必要となる最新の小児computed tomography(CT)被ばく線量を把握する.【方法】われわれは日本放射線技術学会,日本小児放射線学会の会員が在籍している医療機関409施設に調査用紙を送付し,小児頭部,胸部,腹部CT検査の撮影条件やCTDIvol,DLPの装置表示値を収集した.【結果】43施設(11%)より回答が寄せられた.回答施設のすべてでmulti detector-row CT(MDCT)が使用されており,その98%以上は64列以上のMDCTであった.逐次近似応用再構成等の被ばく低減機能を搭載したMDCT装置への更新が進んだことでCTDIvolは低下していたが,頭部CTや一部の腹部CTでDLPが増加していた.【結語】前回調査に比べてCTDIvolは低下していたが,DLPは増加傾向であった.DLP増加は撮影長やダイナミック撮影相数の増加が影響していることが考えられ,主治医や放射線科医とともに撮影プロトコルを見直すなど,更なる医療被ばく最適化の実践が必要であると考える.

教育講座─放射線技術学におけるファントムスタディ─
教育講座─MRIの基礎と応用技術─
教育講座─Radiomics/Precision Medicine研究の現状と将来─
教育講座─より安全で理想的な放射線治療計画技術への挑戦─
教育講座─乳がんの画像診断から病理まで─
JIRAトピックス
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