日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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79 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
巻頭言
原著
  • 福永 晃太, 藤原 康博, 圓崎 将大, 小味 昌憲, 平井 俊範, 東 美菜子
    2023 年 79 巻 9 号 p. 913-922
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/07
    ジャーナル フリー

    【目的】Voxel-based quantification (VBQ) smoothingは,Montreal Neurological Institute標準空間上の定量画像に対する平滑化方法の一つである.VBQ smoothingは,組織境界の定量値の変化を抑制する特徴をもつが,脳の緩和時間マップに適用する際に緩和時間の変化をどの程度抑制できるかは明らかになっていない.本研究の目的は,緩和時間マップに対するVBQ smoothingの有用性を明らかにすることである.【方法】健常者20名を対象に2D multi-dynamic multi-echo sequenceを用いて脳を撮像し,緩和時間(T1値,T2値,プロトン密度)画像を取得した.緩和時間マップのカーネルサイズを1から6 mmまで変化させてVBQ smoothingとGaussian smoothingを適用し,脳組織を対象に平滑化後の緩和時間の変化を評価した.【結果】VBQ smoothingを適用した緩和時間マップは,Gaussian smoothingと比較して平滑化による緩和時間の変化が小さかった.また,カーネルサイズの増加に伴う緩和時間の変化は,Gaussian smoothingと比較して小さかった.そのため,VBQ smoothingは,緩和時間マップに対して平滑化を行う場合,Gaussian smoothingよりも緩和時間の変化を小さくできることが示された.【結語】VBQ smoothingは,平滑化による緩和時間の変化を抑制でき,緩和時間マップに対して有用な平滑化方法である.特に緩和時間が大きく異なる組織が隣接する領域で有用性が高い.

臨床技術
  • 萩原 祐, 榎 卓也, 城本 航, 琴浦 規子
    2023 年 79 巻 9 号 p. 923-931
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/04
    ジャーナル フリー

    Readout segmented echo planar imaging(readout segmentation of long variable echo trains: RESOLVE)は,single shot-echo planar imagingよりも高分解能の拡散強調画像の撮像が可能であるが,SNRが低いことが懸念される.本研究では1.5 T MRIにおいてRESOLVEを使用した前立腺を標的とする高分解能拡散強調画像の撮像条件のうち,TRとNEXを変化させて撮像し,SNRおよびADC値について比較検討した.b値は800 s/mm2とし,男性健常ボランティア8人の撮像を行った.前立腺移行域,辺縁域にROIを設定し,SNRとADC値を求めた.また,放射線科専門医3人で粒状性について視覚評価を行った.移行域ではTRの変化によるSNRの有意な差はなかったが,辺縁域ではTR延長とともにSNRが上昇する傾向にあった.辺縁域においてTR=11000 ms, NEX=2のSNRは中央値8.1[6.9–9.3]であったのに対し,TR=5000 ms, NEX=3, 4のSNRはそれぞれ中央値8.5[7.5–9.3],9.8[8.8–11.2]で同等以上になった.NEX=5のSNRは中央値11.1[10.7–11.7]で有意に高くなった(p<0.008).NEXを多く設定するほうがSNR上昇に有効であり,視覚評価も同様の結果を示した.ADC値は移行域で約1404×10−6 mm2/s,辺縁域で約1469×10−6 mm2/sでそれぞれ各条件下において有意な差はなかった.辺縁域においてTRよりもNEXによるSNR向上が定量,視覚ともに効果的であることが明らかとなった.

資料
  • 松田 大志, 上田 悦弘, 上本 賢司, 山下 祐美恵, 武井 良樹, 若山 司, 坂田 元徳, 奥村 圭祐, 松下 矩正, 花井 諒
    2023 年 79 巻 9 号 p. 932-940
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/25
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,受講者参加型セミナーにおける対面方式とWeb方式の受講者事後アンケートから,Web会議システムを用いた受講者参加型セミナーの有効性を評価することである.Web方式のセミナーにおいて,受講者に臨場感のある実習を体験してもらうため,実技を説明した4編の動画を作成した.われわれは対面方式のセミナーとWeb方式のセミナーの受講者が答える事後アンケート結果を比較した.この事後アンケートによる,受講者の所属施設の地域,経験年数,セミナーの評価を調査した.セミナーの期待度,理解度,満足度,講義時間に関する質問は5段階評価とした.講義時間を除き,値が高いほど評価が高い.講義時間は値が高いほど長く感じ,値が低いほど短く感じ,3が適切である.セミナーの期待度,理解度,満足度など座学に対する評価は対面方式とWeb方式に有意差はなかった.対面方式とWeb方式に有意差はなく,どちらも4点以上の高得点を獲得した.座学の講義時間に関する評価では,対面方式ではやや短いと感じ,Web方式では適切と感じるなど,有意差があった.実習やディスカッションに関する評価は対面方式,Web方式に有意差はなく,4点以上の高得点を獲得し,講義時間はやや短い結果となった.このことから,私たちが提案するWeb方式のセミナーに対する評価は,対面方式と比較しても有意な差がなく,高い評価を取得できた.

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