日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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78 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
巻頭言
臨床技術
  • 水井 雅人, 溝口 裕司, 田城 孝雄
    2022 年 78 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 2022/03/20
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

    【目的】メタボリックシンドロームをはじめとする肥満による健康に対する影響は世界中で懸念されている.日本では男性の腹囲が85 cm以上,女性の腹囲が90 cm以上であれば内臓脂肪面積が100 cm2以上と同等とされる.腹囲による内臓脂肪評価は内臓脂肪以外の組織の影響が懸念される.本研究は内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の存在量を比較して腹囲計測法による内臓脂肪面積を推量する妥当性を検討する.【方法】内臓脂肪面積評価を希望した822名の内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,腹囲のデータを取得した.次に腹囲と内臓脂肪面積,腹囲と皮下脂肪面積,内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の相関を求めた.【結果】腹囲と内臓脂肪面積は高い相関があるが,内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の和のほうがより高い相関があった.内臓脂肪面積と皮下脂肪面積には相関が低かった.腹囲が基準値を超えた場合,内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の相関はなかった.【結語】腹囲と内臓脂肪面積は相関があるが臍高部の内臓脂肪と皮下脂肪の存在量は個人差が多い.したがって,われわれは腹囲計測法を内臓脂肪面積の推定に用いると誤差が多いため正確ではないと結論付けた.

  • 阪本 貴博, 松本 賢治, 大塚 正和, 南部 秀和, 奥村 雅彦
    2022 年 78 巻 3 号 p. 263-269
    発行日: 2022/03/20
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

    【目的】三次元半導体検出器を用いたOリング型リニアックのガントリquality assurance(QA)の実施の可能性を検討することである.【方法】三次元半導体検出器ArcCHECK(以下,AC)を用いて,Oリング型リニアックHalcyonのガントリ角度と回転中心精度の検証を行った.ガントリ角度は0, 90, 180, 270°を測定した.ガントリ回転中心精度は時計回り方向と反時計回り方向の回転照射を行い,評価を行った.【結果】ガントリ角度の結果として,ガントリ角度の表示値と比較すると,ACの最大誤差は0.1°であった.ガントリ回転中心精度の結果として,アイソセンタとガントリの回転中心の距離は時計回りと反時計回り方向において,それぞれ0.45, 0.41 mmであった.【結語】ACは光照射野とアイソセンタ指示のレーザポインタを有しないOリング型リニアックにおいてガントリ角度および回転中心精度の確認が可能である.

資料
  • 谷川 琢海, 谷川原 綾子, 福田 晋久, 鈴木 達也, 安渡 大輔, 原田 耕平, 柄多 秀逸, 上杉 正人
    2022 年 78 巻 3 号 p. 270-279
    発行日: 2022/03/20
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル フリー

    【目的】Picture archiving and communication system(PACS)の機能の一つに,診療録を電子的に保存するための法的要件を満たす画像管理機能がある.本研究では,PACSの画像管理機能に関する実装および画像データの運用管理の多様性を明らかにすることを目的として,北海道の病院を対象としてアンケート調査を行った.【方法】調査は北海道のPACSを導入している261病院を対象として行い,PACSの画像管理方法における画像削除の方式などについて質問した.【結果】93施設からアンケートの回答が得られた(回答率:35.6%).PACSでの画像の削除方式に論理削除を採用している施設の割合は45.6%,物理削除は36.8%であり,他の設定についてもばらつきが認められた.【考察】現状の画像管理機能の実装と画像データの運用管理には施設ごとの多様性があることが明らかとなった.PACSの画像管理機能の運用において,医療機関は法令およびガイドラインの内容を十分に理解し,電子保存の3原則と情報セキュリティへの対応について留意することが必要である.

2021年度 瀬木賞
  • 江崎 徹
    2022 年 78 巻 3 号 p. 283-284
    発行日: 2022/03/20
    公開日: 2022/03/20
    ジャーナル 認証あり
    Editor's pick

     本論文は,CT撮影における被ばく推定に必要な特定スライスを,深層学習を用いて自動選択する手法についての研究である.WAZA-ARIv2 というWeb システムによる被ばく推定に必要なのは5スライスであるが,ほかにも目印となる4スライスを加えた9スライスを自動選択対象とすることで,5スライスの認識精度を上げているところに新規性がある.また,被ばくの推定精度が高く,比較的臨床運用に近いと考えられる点も編集委員会で高く評価された.
     この研究ではWAZA-ARIv2システムへの利用を想定しているが,CT検査において特定スライスを推定する手法や精度向上のために用いられた手法は,他のアプリケーションへの応用も考えられ,関連研究分野への貢献も期待できる.以上から本論文は瀬木賞に選出された.

第77回総会学術大会 「合同市民公開講座」
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