日本放射線技術学会雑誌
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80 巻, 2 号
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巻頭言
原著
  • 前田 幸人, 松本 圭一, 井狩 彌彦, 赤松 剛, 清水 敬二, 津田 啓介
    2024 年 80 巻 2 号 p. 155-165
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/08
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,自動投与装置を使用したアミロイドpositron emission tomography(PET)薬剤の投与精度担保のため,アミロイド薬剤の放射能吸着が少ない物品(シリンジ,チューブ,三方活栓,翼状針および留置針)を明らかにすることである.【方法】最初に,本邦のアミロイドPET薬剤投与に使用されている物品を調査した.次に,使用頻度が高かった三方活栓,延長チューブ,翼状針および留置針を選択し,用手的投与実験によってアミロイド薬剤の放射能残留率を求めた.最後に,放射能残留率の少ない物品を用いて,自動投与装置を使用したアミロイド薬剤投与の投与精度を求めた.【結果】延長チューブについては,ポリ塩化ビニル製よりもポリブタジエン製の放射能残留率が低かった.また翼状針に比較し,留置針の放射能残留率が低かった.自動投与装置が示した投与放射能量は184.1 MBq,患者に見立てたバイアルへ吐出された放射能量は170.2 MBqであり,投与精度は8.2%であった.【結語】アミロイド薬剤の投与精度の担保のために,放射能残留率が低いポリブタジエン製の延長チューブと留置針を使用することを推奨する.

臨床技術
  • 竹谷 明, 高木 玲, 山本 彰規, 戸澤 光行, 稲岡 努, 寺田 一志
    2024 年 80 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/06
    ジャーナル フリー

    NICU(neonatal intensive care unit)でのポータブル撮影は介助する看護師の頭部とX線管が近接するため,われわれは防護具の開発を行ってきた.開発当初の防護具は高い防護効果が得られた一方で,一体形X線発生装置部に装着したため,視界の妨げになる,扱いにくい等といった声が上がっていた.この点を改善するために今回,0.13 mmPbで幅17 cm・長さ45 cm(重量200 g)の細長タイプ,芯材を入れて幅を広くした幅25 cm・長さ45 cm(重量300 g)の幅広タイプの移動型X線装置のコリメータカバー部に吊り下げる二つの新防護具を作成した.防護効果の測定結果は頭の高さで幅広タイプが80.6%,細長タイプでも76.8%と高い防護効果が得られた.新防護具に対する看護師アンケート調査では,二つのタイプで視界や介助の際に邪魔になるかといった設問に差はみられず.少しでも防護効果が高い幅広タイプを好む意見が上がった.技師からも両タイプともに装着後も照射野調整が可能で扱いやすいと好感を得た.新防護具は,高い防護効果があり,扱いやすさの改善といった面で臨床の場での有用性が期待できる.

  • 小野 直人
    2024 年 80 巻 2 号 p. 175-187
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/29
    ジャーナル フリー

    【目的】体表面鉛カットアウトを使用した電子線治療時のPDD,OARを把握すること.【方法】モンテカルロコードPHITS version 3.24を使用しPDDおよびOARのシミュレーションを行った.また,その妥当性を評価するためシリコンダイオード検出器を用いて実測を行い比較した.【結果】リニアックのシミュレーションによるPDDおよびOARのパラメータは実測値と2 mm以内で一致した.体表面鉛カットアウトを使用した場合も,R100以外はおおむね2 mm以内で一致した.体表面鉛カットアウトを使用した場合,ブロードビームとなる正方形照射野のカットアウトサイズは6 MeVが3 cm,12 MeVが5 cm,18 MeVが8 cmであった.【結語】モンテカルロシミュレーションは,測定が困難な体表面鉛カットアウト照射野のPDD,OARを把握するために有用であった.

  • 福永 正明, 宮﨑 嵩之, 小笠原 貴史, 大角 真司, 北川 和希, 藤岡 斉, 関口 麻衣子, 田中 春奈
    2024 年 80 巻 2 号 p. 188-198
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/19
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,体内留置型医療機器(IMD)に関する最新のmagnetic resonance(MR)安全性情報を確認する重要性を検討することを目的として,現在MR安全性情報データベースに登録されている全品目(117種類10031品目)におけるMR適合性標識が変更された品目数とその割合を調査した.【方法】2021年12月と2022年8月のMR安全性情報データベースにおけるMR適合性標識の変更品目数と割合を調査した.【結果】MR Safety Unlabeledは,4116品目41.1%から859品目8.6%へ32.5%減少した.MR ConditionalのIMD数は,4141品目41.3%から5896品目58.8%へ17.5%増加した.【結語】多くの体内留置型医療機器におけるMR適合性標識が変更されているため,最新のMR安全性情報を確認することが重要である.

資料
  • 池長 弘幸, 舛田 隆則, 石川 哲也, 谷 忠司, 森分 良, 矢尾 大樹
    2024 年 80 巻 2 号 p. 199-206
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,男女間で被検者因子である年齢,HT, TBW, BMI, LBWおよびBSAと肝臓ダイナミックCT検査における肝動脈相の腹部大動脈および門脈相での肝臓実質のCT値増強の相関関係を明らかにすることを目的とした.【方法】2021年1月から2021年6月の期間に肝臓ダイナミックCT検査を行った191例を後ろ向きに登録した.CT装置は80列MDCTであるAquilion Prime SPを使用した(管電圧:120 kV,管電流:自動管電流調整機能使用,noise index 8.0 HU,スライス厚5 mm,管球回転時間:0.5 s/rotation,ヘリカルピッチ:0.813または0.825,再構成関数:FC03).ヨード造影剤は600 mgI/kgを使用した.腹部大動脈と肝臓実質の造影後画像のCT値から単純画像のCT値を差分し,投与ヨード量で除してヨード1グラムあたりのCT値増強の変化(ΔHU/gI)を単純,肝動脈相,門脈相から算出した.被検者因子である年齢,体重(TBW),身長(HT),ボディマス指数(BMI),除脂肪体重(LBW),および体表面積(BSA)と腹部大動脈および肝臓実質のΔHU/gIの相関関係を比較した.【結果】腹部大動脈のCT値増強は,男性で8.6±2.7 ΔHU/gI,女性で9.5±1.7 ΔHU/gI,肝臓実質のCT値増強は,男性で1.4±0.5 ΔHU/gI,女性で2.9±0.5 ΔHU/gIと有意に女性が高値を示す傾向にあった(p<0.05).腹部大動脈のΔHU/gIと被検者の年齢との間には男性,女性ともに弱い正の相関が認められた(r=0.382 and 0.213)(p<0.05).腹部大動脈のΔHU/gIとHT(r=−0.466 and −0.251),TBW(r=−0.609 and −0.535),BMI(r=−0.505 and −0.465,LBW(r=−0.642 and −0.576),BSA(r=−0.644 and −0.577)との間には男性,女性ともに負の相関が認められた(いずれもp<0.05).肝臓実質のCT値増強のΔHU/gIと被検者の年齢との間には男性,女性ともに弱い正の相関が認められた(r=0.258 and 0.150)(p<0.05).肝臓実質のCT値増強のΔHU/gIとHT(r=−0.487 and −0.321),TBW(r=−0.580 and −0.525),BMI(r=−0.473 and −0.413),LBW(r=−0.615 and −0.576),BSA(r=−0.617 and −0.558)との間には男性,女性ともに負の相関が認められた(いずれもp<0.05).【結語】男女間で被検者因子である年齢,HT, TBW, BMI, LBWおよびBSAと肝臓ダイナミックCT検査における肝動脈相の腹部大動脈および門脈相での肝臓実質のΔHU/gIの相関関係を明らかにし,男性ではBSAが女性ではLBWが最もΔHU/gIと高い相関がみられた被検者因子であった.

  • 林 宏祐, 三浦 英治, 小澤 修一, 羽原 幸作, 川久保 淳, 中尾 稔, 奥村 拓朗, 國本 陽英, 山田 聖, 野崎 浩茂, 永田 ...
    2024 年 80 巻 2 号 p. 207-215
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/26
    ジャーナル フリー

    【目的】IGRTの位置精度評価のためのファントム,解析プログラムを作成し,複数施設で本評価方法の解析精度検証と実用性を実証した.【方法】自作ファントムを使用してend to end試験を行い,画像照合後を基準としてマイクロメータで任意量変位後のEPID画像を取得した.自作の解析プログラムと市販ソフトウェアを使用して,標的と照射野の中心位置の差を算出した.3施設で,本IGRT位置精度評価方法の検証を行った.【結果】EPID画像か算出した標的の移動量とマイクロメータで変位させた任意量の差は最大で自作の解析プログラムが0.24 mm,市販ソフトウェアが0.30 mmであった.3施設で取得したEPID画像の標的と照射野の中心位置の差は最大で0.97 mmであった.【結語】自作したファントム,解析プログラムを用いた本評価方法はIGRTの位置精度を評価することが可能である.

特別企画 会員インタビュー ~日本放射線技術学会に貢献された人々~
第79回総会学術大会 教育講演
教育講座―将来に向かう電子線の放射線治療の再考―
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