日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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79 巻, 8 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
臨床技術
  • 木寺 大輔, 清水 雅司, 上野 登喜生, 松下 大希, 上村 忠久, 吉満 研吾
    2023 年 79 巻 8 号 p. 775-783
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/22
    ジャーナル フリー

    【目的】当院では,患者紹介の資料提供や術前計測のために,撮影機器やPACSサーバとDICOM接続することで医用画像を紙媒体に直接出力できるDICOM対応プリンタを導入した.本研究では,紙出力したX線画像の表示性能を明らかにする目的で,liquid crystal display(LCD)モニタと比較検討した.【方法】LCDモニタと紙媒体のコントラスト応答を測定し,画像表示の階調特性の精度を検証した.両者のコントラスト分解能をCDRADファントム像にて,解像特性を矩形波チャート像にて評価した.【結果】紙媒体のコントラスト応答はDICOM grayscale standard display function(GSDF)から乖離しており,高濃度領域において誤差率が大きくなった.高コントラスト部のコントラスト分解能はLCDモニタと紙媒体で同等であったが,低コントラスト部のコントラスト分解能は紙媒体がLCDモニタより劣っていた.解像特性は,紙媒体がLCDモニタより優れていた.【結語】紙出力X線画像の表示性能が明らかとなった.紙出力画像は利用目的を限定して使用する必要があると考えられる.

  • 岩倉 圭佑, 宮﨑 研一, 土井 邦雄
    2023 年 79 巻 8 号 p. 784-793
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/21
    ジャーナル フリー

    【目的】聴覚障害者における画像検査において,呼吸停止不良による画質の低下は,画像診断に直結する問題である.音以外による指示の検討はこれまでもされているが,明るさの変化を利用した定量的な検討は少ない.本研究の目的は,部屋の明るさの変化を呼吸停止指示として用いることができるかを検討したものである.【方法】14名の模擬患者を対象にMR装置を用いて,2D FIESTA法とLAVA-Flex法を使用し,自由呼吸下,音声による呼吸停止指示(音声指示),部屋の明るさの変化による呼吸停止指示(明暗指示)にて撮像を行い,比較を実施した.【結果】2D FIESTA法による肝臓上縁の位置変動は,自由呼吸下では位置変動が大きく,音声指示と明暗指示では,位置変動の少ない結果であった.また,LAVA-Flex法による画像は,自由呼吸下ではモーションアーチファクトによる画質の低下は著しく,対して音声指示と明暗指示ではモーションアーチファクトが少なく,両者は視覚評価で有意差はなく同等であった.【結語】部屋の明るさの変化による視覚的な呼吸停止指示は音声による呼吸停止指示と同程度の呼吸停止効果があり,臨床応用が可能であると示唆される.

  • 大谷 昂, 金本 雅行, 尾崎 公美, 谷内田 拓也, 松田 祐貴, 木戸屋 栄次
    2023 年 79 巻 8 号 p. 794-801
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/19
    ジャーナル フリー

    【目的】肝臓のmagnetic resonance imaging(MRI)検査において,全肝の呼吸同期併用拡散強調画像(respiratory-triggered-diffusion-weighted imaging: R-DWI)は磁場不均一の影響により肝臓頭側の横隔膜ドーム下の画質低下が問題となる.そこでドーム下に範囲を絞った呼吸停止下DWI(breath-hold-DWI: B-DWI)の追加撮像の有用性を検討した.【方法】3.0 TのMR装置を使用し,2022年7月から8月に当院でethoxybenzyl(EOB)-MRI検査を受けた22例(男性14名,女性8名,平均年齢69.0±11.7歳)を対象とした.R-DWIとB-DWIのドーム下の視認性について放射線科医1名と放射線技師3名で4段階(1~4点)での視覚評価を行った.また,各DWIのapparent diffusion coefficient(ADC)値を比較した.【結果】R-DWIと比較してB-DWIではドーム下の視認性が向上した(2.67±0.71 vs. 3.25±0.43, p<0.05).各DWIのADC値に有意差はみられなかった(p>0.05).【結語】B-DWIはドーム下の視認性に優れ,R-DWIを補完する役割が期待できるため,EOB-MRI検査において追加撮像する有用性は高い.

  • 中村 優斗, 甲谷 理温, 佐藤 舜, 柴田 成, 阿部 俊憲, 三村 浩朗, 犬伏 正幸
    2023 年 79 巻 8 号 p. 802-809
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/26
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,小児核医学検査を想定した低液量の99mTc-MAAを投与した時のシリンジと投与ルート内の残留率を評価することである.【方法】99mTc-MAAの残留率について,放射性医薬品の違いによる影響,プラスチックシリンジ吸引から投与までの経過時間の影響,共洗い回数と経過時間の影響,および体重別投与量における液量の違いによる影響について,ガンマカメラで撮像したプラナー画像を用いて検討した.【結果】99mTc-MAA, 99mTc-MAG3,および123I-IMPの残留率は,それぞれ41.3±1.6%,14.4±0.6%,14.6±2.0%と99mTc-MAAのみ明らかに残留率が高値を示した.経過時間の延長に伴い残留率は増加し,30分で41.3%と高残留率となった.標識用99mTcO4の液量の違いによる残量率の変化は認められなかった.共洗い回数が1回以上では残留率に変化は認められなかった.いずれの体重別投与量においても残留率は40%前後を示した.【結語】小児核医学検査に用いられる放射性医薬品において,99mTc-MAAは残留率が最も高く,プラスチックシリンジに吸引してから投与までの経過時間に最も影響を受けた.

資料
  • 馬淵 龍
    2023 年 79 巻 8 号 p. 810-817
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/30
    ジャーナル フリー

    X線computed tomography(CT)検査によって得られる三次元(3D)画像は診断や治療に広く利用されている.その種類は多岐にわたり,各診療科と協議を重ねたうえで作成画像を決定している.しかしながら,作成に携わる診療放射線技師は複数であり,作成画像にばらつきが生じてしまう.そこで今回われわれは,当院内のインターネットを利用し閲覧が可能なWebホスティングサービスを利用した3D画像作成マニュアルを作成し,提供すべき3D画像の標準化を図ることにした.なかでもHyperText Markup Language(HTML)を利用した動的コンテンツを作成・掲載することで作成手順や目的を明確化し,臨床および教育の場において有用なツールとした.

  • 髙田 賢, 近藤 賢洋, 古川 雅一
    2023 年 79 巻 8 号 p. 818-823
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/22
    ジャーナル フリー

    【目的】デリバリー供給18F-fludeoxyglucose(FDG)によるpositron emission tomography検査において,放射性薬剤自動投与装置の筐体表面6カ所の漏洩線量率を調査した.【方法】デリバリー供給FDG製剤の放射能量を実測し,検定時刻の90分前に放射性薬剤自動投与装置にFDG製剤をセットした状態で筐体の前後,左右および上下面の漏洩線量率をγ線用シンチレーションサーベイメータおよび電離箱式サーベイメータにて計測した.【結果】デリバリー供給FDG製剤の放射能量は326.8–333.7 MBqであった.筐体の前後左右および上面における漏洩線量率は7 µSv/h以下であり装置仕様を満たしていた.筐体下面では40 µSv/hを超過する漏洩線量率が確認された.

特別企画 会員インタビュー~日本放射線技術学会に貢献された人々~
第50 回秋季学術大会「学術委員会企画」
教育講座─MRIの基礎と応用技術─
教育講座―将来に向かう電子線の放射線治療の再考―
教育講座―人工知能(AI)を用いた画像再構成技術の潮流―
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